一碗の茶に「もてなしの心」を込める茶の湯。
千利休以来の伝統は400年以上大切に受け継がれ今も多くの人々を魅了し続けています。
道具や装いが春を意識したしつらえに変わる3月。
武者小路千家で春の茶事を楽しみます。
「趣味Do楽春の茶事を楽しむ」。
今回は「正午の茶事」後半です。
武者小路千家家元の千宗守さんです。
今回もよろしくお願い致します。
こちらこそ。
さあ今回はいよいよ濃茶薄茶を頂けるんですね。
この濃茶を飲まないで帰りたいとおっしゃってた方が前回おられましたね。
アハハッすみません。
満足してしまったんですが…。
今回はもうどうしても飲んで頂きますよ。
はい。
分量にすれば三口ないし三口半。
僅かな分量なんですがねこの濃茶をおいしく召し上がるためにあのような「炭点前」もそうですしそれから「懐石」というねごちそう…。
だいぶ簡略とはいえ大変なごちそうだったでしょ?それにお酒もありましたね白酒がね。
胃袋の中をごちそうとお酒で満たして十分に濃いお茶を迎える態勢が整ったわけですよね物理的に。
そして飲まれる濃茶が大変「甘露の味」がするんですよね。
それを体験して頂きたい。
それと同時に今回はそのまま続いて薄茶に入る…濃茶と薄茶併せてしっかりお稽古をして頂きたいと思います。
では今回もよろしくお願い致します。
正午の茶事の流れです。
前回は初座の迎付から懐石に至るまでを学びました。
今回は後座を体験します。
客は中立ちのあともう一度席入りし濃茶薄茶を頂いて退席します。
亭主が後座の準備を終えるまで客は外の腰掛けで一旦待ちます。
(銅鑼の音)亭主は準備が整うと銅鑼の音で客に知らせます。
客は再び手と口を清め茶室に席入りします。
先生今回もよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
この中立ちのあとこのお部屋に入られましてだいぶ雰囲気が変わりましたけれども。
床の間に今度はお花がありますね。
これは真ん中に飾ってあるという事でねこの後半の席はお花が主人公ですよとそういう事になりますね。
視覚的に春をとても感じますね。
そうです。
正にそのように季節感を表す。
それを目で感じるという事ですよね。
加えて後座の席では外に掛けてあった簾が外され部屋が明るくなります。
席入りが終わると濃茶の点前に入ります。
亭主が道具を持って茶室に入ってきます。
席に着くと道具を清めるため腰から帛紗を取り出します。
そして清めに使う帛紗を客の前で改めて点検する「四方さばき」を行います。
それが終わると帛紗を畳んで右手に持ち左手に茶入れを持って清めます。
続いて茶杓も清めます。
次に茶碗にお湯を入れ茶筅を浸してなじませます。
これを「茶筅とおじ」と言います。
そういう動作ですね。
はい。
茶碗を湯で温め最後に茶巾で拭い道具の清めは終わります。
亭主はまず茶杓を使って人数分の抹茶を入れていきます。
残りの抹茶は直接茶入れから回して出します。
たくさん入れましたね。
湯を茶碗に適量注ぎ茶筅で丁寧に練っていきます。
濃茶を点てる事を「練る」と言います。
練り終わると茶碗の正面を客に向けて置き出し帛紗を添えます。
正客はその出し帛紗と茶碗を受け取って席に戻ります。
自分の前に茶碗を置き出し帛紗をその左に添えて居ずまいを正します。
それでは前回お稽古したとおりに頂いてみて下さい。
正客は客一同の方に茶碗と出し帛紗を置き挨拶をします。
亭主の出し帛紗を上座に預けると茶碗を置き自分の出し帛紗を取り出して広げます。
茶碗を出し帛紗の上にのせて軽く押し頂きます。
正面を避けるため茶碗を90度ほど回して頂きます。
(亭主)いかがでございましょうか?とても結構でございます。
(亭主)ありがとうございます。
あとは人数を意識して3人さんでしたら1/3というのを意識して頂いてみて下さい。
そのあと2〜3口ほど濃茶を頂きます。
はい結構ですね。
男性は茶碗を持ったまま飲み口を拭いますが女性の場合は比較的手が小さいため茶碗を畳の上に置いて拭います。
ここは忘れやすいところですからね。
正客は次客に濃茶を譲りそれを全員で飲み回していきます。
お濃茶いかがでしたか?はい。
とても香りも良くて甘みもあっておいしく頂きました。
とても緊張したんですけれどもこのお濃い茶のために今まで教わった事が生かされていくという事なんですか?はい。
懐石頂きましたよね。
その懐石でおなかの具合もちょうどいい具合になっています。
そのために前回の懐石があったわけですよね。
お詰めは濃茶を頂き終えると茶碗を正客に戻します。
ひと膝進めて迎えて頂きましょうか。
正客はその茶碗を受け取ります。
それではこの戻りましたお茶碗。
隣の出し帛紗をちょっと直して頂いて。
ここでちょっと変わってますがお茶碗右左と持って頂いて。
底きれいでしょ?これをね皆さんにもお見せします。
ちょっと手伸ばして頂いて。
いかがですか?とてもきれいですね。
そうなんです。
それで膝前に戻して頂いていいんですけどもね。
この「きれいですね」というのはね…ですのでそれを鑑賞すると点てた方もね「あっ上手に点ったんか」とちょっと安心するわけですね。
次に茶碗の形や作り色合いを拝見します。
懐紙をちょっと取って頂いてこの輪を手前にして頂いて。
それでお茶碗の下に。
お茶碗を低いところで…。
拝見する。
よく高く上げて「危ないな」というね。
そういう感じを亭主に与えないように低いところでご覧頂きます。
お茶碗いかがですか?ぽってりとしてとても手になじんで。
そうですね。
そういった特徴とかね…。
あとちょっと上が白いでしょ?そうですね。
こういったところもこのお茶碗の特徴になりますので。
ちょっと春めいていると。
そういったところを鑑賞されたらいいと思います。
大変おいしく頂きました。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
拝見が終わると正客は亭主と茶碗についての問答を交わし薄茶に移ります。
続き薄とは時間を短縮するために濃茶を練った主茶碗で続けて薄茶を点てる点前です。
一人一碗ずつ薄茶が点てられます。
亭主は湯で茶碗を清め直し薄茶の準備を始めます。
それでは今から薄茶が始まります。
お濃茶が終わってすぐこのままの流れで薄茶にいくんですね。
そうなんです。
そういう事になっております。
そうなんですね。
薄茶席ではたばこ盆と干菓子が出されます。
客はこの時濃茶まで続いていた緊張を解きほぐし気分を入れ変えます。
春の訪れを知らせるワラビに似せたあめ細工と菜の花をイメージしたせんべいが出されました。
とても明るくてかわいらしいお菓子ですね。
春らしいお菓子になりますね。
それからそちらのたばこ盆と言いますけれども昔のたばこを頂く一セットをくんだ物ですけれどもね。
「一服する」と申しますでしょ?それと同じでこの薄茶席は「どうぞお気楽に」というそういう意味を込めてこのたばこ盆を持ってきます。
お濃茶よりも薄茶の方がちょっとくつろいだ雰囲気で。
そうなんです。
もう肩の力抜いて頂いて結構ですので。
はい。
一碗目の薄茶は濃茶で使った主茶碗で点てられています。
正客はこの茶碗を次客に譲ります。
正客にはまだ使われていない茶碗でお茶が点てられるからです。
次客は正客より先に薄茶を頂きます。
お点前頂戴致します。
亭主は替えの茶碗を使い改めて正客のために薄茶を点てていきます。
茶杓に一さじ半ほどの抹茶を入れそこに湯を適量そそぐと茶筅を取ります。
薄茶は円を描くようにすばやく点てます。
最後に茶碗の正面を客に向けて出します。
正客は次客との間に茶碗を置き挨拶します。
茶碗を戻すと亭主にも挨拶を済ませ薄茶を頂きます。
右手で茶碗を取り左手に直接のせます。
軽く押し頂くと茶碗を90度ほど回し口をつけます。
濃茶と違い薄茶は全て頂ききります。
最後に飲み口を指で軽く拭い茶碗の正面を戻します。
いかがでした?とてもおいしかったです。
濃茶とはまた違ってとても飲みやすくて爽やかで。
そうですね。
だいぶ違いますでしょ。
はい。
続き薄では薄茶を頂き終わったあとに道具を拝見します。
この日使われた濃茶の茶入れです。
めでたい春の茶事に合わせて祝いの意味を持つ「養老」という銘が付いた茶入れでした。
濃茶の茶入れを包む仕覆です。
春の訪れを告げる梅の花の模様があしらわれています。
次に薄茶で使われた道具です。
この茶杓は江戸時代に桜の名所として知られた寺の古材から作られています。
茶杓の先には11代家元が筆で印を書き残しています。
客との問答を交わしたあと亭主は道具を持って茶室を出ます。
客はその後退席し正午の茶事は終わります。
正午の茶事全て終わりました。
ご苦労さまでした。
ほんとにありがとうございました。
そして教えて下さった芳野先生にも…。
ありがとうございました。
はいご苦労さん。
全て体験しましてああ今までのいろいろ教わりました事は全てお濃茶を最高の状態でおいしく頂くためだったんだという事がよく分かりましたしご亭主のもてなしの心尽くし本当に感心感動致しました。
さあいよいよ次回最終回となりますが最終回は?そこでねこの芳野がいろいろ趣向を凝らした…「立礼」椅子テーブルでする茶会ですかね。
気楽な雰囲気での茶会をね春らしい茶会を用意してくれておりますんですよ。
次回もどうぞよろしくお願い致します。
よろしく。
(テーマ音楽)2015/03/16(月) 21:30〜21:55
NHKEテレ1大阪
趣味Do楽 茶の湯 武者小路千家“春の茶事を楽しむ”第3回「茶事(後編)」[解][字]
千利休以来400年の歴史を誇る武者小路千家の茶の湯を学ぶ、全4回。第3回は「茶事を学ぶ(後編)」。茶事で、アナウンサーが濃茶と薄茶の作法を体験。道具も拝見する。
詳細情報
番組内容
千利休以来、400年以上に渡り人々を魅了してきた茶の湯。その精神を受け継ぎ発展させてきた武者小路千家に学ぶ4回シリーズ。第3回は「茶事を学ぶ(後編)」。正午の茶事の後半、後座の席入りで茶室に入った後、いよいよ濃茶を頂く。その後、続けて薄茶も。最後は道具の拝見。春にふさわしい主茶碗や、梅の花があしらわれた仕覆(しふく)、かつての家元の印が記された貴重な茶杓、茶器など、春の趣向を楽しむ。
出演者
【出演】茶道(武者小路千家家元)…千宗守,茶道教授…芳野宗春,岩槻里子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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