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 大型サイクロン「パム」に直撃された南太平洋の島国バヌアツでは16日、オーストラリアなどから物資を載せた軍輸送機や緊急支援団体が現地入りし、支援活動を本格化させた。首都ポートビラ以外の被害状況の情報はいまだに入らず、関係者には焦りもみえる。

 人道支援団体ケア・オーストラリアのトム・ペリーさんは電話取材に、「もう4日になるのに、離島など地方の状況がわからない。水や食糧が不足しているのではないかと心配だ」と話した。島を行き来する船舶の多くは強風や高波で壊れ、航空機を使うしかない。現地の滑走路が使えるか、軍の哨戒機などで確認している状況だという。

 ポートビラでは多数の避難所が設置され、衛星用受信アンテナが修理されて通信状況は改善したが、断水が続いている。ガソリンスタンドには住民の長い列ができ、路上に倒木が散乱しているという。

 仙台の国連防災世界会議に出席していたバヌアツのロンズデール大統領は16日に日本を離れる前に、AP通信に死者6人と負傷者30人が確認されたと説明。「怪物に襲われた。開発したすべてが消えてしまった」と語った。豪州約4億6千万円、ニュージーランド約2億2千万円、英国約3億6千万円など、各国はバヌアツや、同様に被災したツバルなどへの支援を決めた。(シドニー=郷富佐子)