茨城空港:いばらの道…利用客、予測の25〜52%
毎日新聞 2015年03月16日 11時33分(最終更新 03月16日 13時27分)
茨城空港(茨城県小美玉市)が開港5年を迎えた。羽田、成田両空港に次ぐ「首都圏第3空港」として整備されたが、東日本大震災などの影響もあり、年間利用者数は需要予測の25〜52%にとどまる。1月には国内線を唯一運航するスカイマークが経営破綻し、さらなる苦境に立たされている。【松本尚也】
今月上旬の茨城空港ターミナルビル内は、中国の格安航空会社「春秋航空」の乗客らでにぎわい、中国語が飛び交った。会社員の丁姣娜さん(29)は「ツアー代金は成田空港発着の半額。安く済んだ分、たくさん化粧品や薬を買いたい」と話した。
同社は2010年7月から上海との間に就航した。現在週8往復の定期便の平均搭乗率は約90%をキープする同空港のドル箱路線。しかし、現在の同空港の定期便は、上海便のほか、10年4月就航のスカイマークの国内便のみ。空港の年間利用者はこの5年間、約20万〜約42万人にとどまり、国や県の当初見込み(81万人)に遠く及ばない。
建設当時から「税金の無駄遣い」との批判もあり、県は、利用者確保のため、民間バス会社に委託して空港−東京駅間の直行バスを運行。14年度は委託費約1億円を計上し、1日6往復。空港利用者は500円で乗車できる。着陸料が成田の半額、羽田の3分の1という安さをアピールし、路線誘致を目指してきた。
だが、開港時唯一の定期便だった韓国・アシアナ航空のソウル便は、開港翌年の大震災の翌日に運休。スカイマークの国内線は同社の経営破綻のため、5路線週8往復から、米子便を運休するなど4路線(札幌、神戸、福岡、那覇)週5往復に減った。
さらなる減便に危機感を募らせる県は15年度当初予算案などに計11億1901万円を計上。法人契約した場合、初回往復利用時に乗客に2万円の旅行券を交付するなど利用促進策を強化することにした。橋本昌知事は3日の県議会で、「路線維持のため、搭乗実績を確保することが重要」と理解を求めた。
ただし、県の空港に関する財政支出は15年度予算案を含め160億円以上。「(促進策は)県内全体に効果が及んでいない。このままだと金食い虫になりかねない」(県議)との声も出ている。