2015年3月15日日曜日

日経平均株価が上がっても、持っている株だけ上がらない理由


3月15日の日経平均株価は263円上がりました。上記図はその内訳です。

日経平均株価は225銘柄で構成されます。つまり、常識的に考えると1銘柄の影響力は225分の1です。でも、実際はそうなっていません。なんと263円のうち123円はファナック(証券コード6954)一社の株高によるものです。この日ファナック株は13%上がっていますが、それでも寄与しすぎです。
そして、263円も上がったのに、3割以上の銘柄は値下がり、あるいは変わらずです。これが日経平均株価が上がっているのに持っている株が上がらない理由の一つです。今日はこれ以外にも『持ってる株だけ上がらない理由』について色々書いていきます。
日経平均株価とTOPIXの概要については以前まとめています。)



23銘柄で構成率50%

知っている方も多いと思いますが、まずは構成率について考えます。日経平均株価への寄与度を確認できるサイトを下のほうまでスクロールすると、構成率が見られます。


ファーストリテイリング(証券コード9983)が9.43%ということは、日経平均株価19,254円のうち1,800円以上がファーストリテイリングによって支えられているということです。ファナック、ソフトバンク(証券コード9984)、KDDI(証券コード9433)を入れると20%を越えます。

一方下位はというと…、



ほぼ0%の銘柄が並んでいます。この辺の銘柄は上がっても下がっても日経平均株価にはほとんど無関係ということです。ユニチカ(証券コード3103)は0.01%なので、ファーストリテイリングの約1,000分の1の構成率です。今の1,000倍株価が上がって、ようやく日経平均株価への影響力が同じになるということです。

構成率を上から足していくとわかりますが、日経平均株価は上位23銘柄で構成率の半分を占めています。日本には上場企業が約3,600社あり、日経平均株価はそのうち225社で構成され、その日経平均株価を実際に動かしているのは極少数の企業の株価ということです。これでは日本の株式市場の実態を表しているとは到底言えません。
(日経平均株価は少ない銘柄数で意図的に操作しやすいので、ファーストリテイリングやファナックの株を買い込むことで日経平均を釣り上げたり、その逆をしたりといった作戦はよく使われます。)


マザーズには公的資金が入りづらい

次は個人投資家が好きな新興市場の株が上がらない問題について書きます。以下はマザーズ指数とTOPIXの過去3年間のグラフです。


2012年末に安倍政権が樹立して以降、急速にマザーズ指数が伸びています。その後2013年5月のバーナンキショック、2014年1月の新興国ショックの直前にピークを付け、それ以降当時の高値は更新していません。つまり、マザーズ指数は熱しやすく冷めやすい市場だということが言えます。言い換えると、早く買わないと高値掴みをしやすい市場ということです。
(その間もTOPIXは概ね堅調に推移していますね。TOPIXは長期系の機関投資家がよく見ているので、ジワジワ動く傾向にあります。)

そして更に注目なのが、2014年秋以降、マザーズ指数が横ばいからやや下げ貴重で、TOPIXが上がっていることです。これは、GPIF(=公的年金)の資金が流入しているからです。
(GPIFは2014年10月末に日本株を約10兆円買い増す方針に変更しました。それ以降、年金ファンドの買い注文が日本株を支えています。)

年金ファンドは新興株をほとんど買いません。値動きの激しい新興株に投資するのはリスクが高すぎるからです。いわゆる官製相場になっている今は、新興株よりも大型株を買うのがよさそうです。


業種別に見る

ぼくは業種別に見るのが大好きなので、今回も業種別に見てみます。業種別の騰落率を見られるサイトで3年前比と前年比の伸び率の順位を調べてみました。

順位3年前比前年比
1輸送用機器輸送用機器
2通信精密機器
3保険鉄道・バス
4小売業化学
5精密機器電気機器
6電気機器医薬品
7ゴム小売業
8証券銀行
9化学ゴム
10医薬品その他金融
11鉄道・バス食品
12機械商社
13食品その他製造
14その他製造倉庫
15サービス繊維
16不動産サービス
17その他金融機械
18陸運陸運
19商社自動車
20銀行ガス
21倉庫ガラス・土石
22建設水産
23自動車造船
24造船建設
25ガス海運
26ガラス・土石証券
27繊維非鉄・金属
28水産鉄鋼
29海運電力
30鉄鋼石油・石炭製品
31非鉄・金属不動産
32石油・石炭製品通信
33空運鉱業
34電力保険
35パルプ・紙パルプ・紙
36鉱業空運
(3年前比に比べて順位が上がっている業種をオレンジ、下がっている業種を緑にしました。特に変動が激しかった業種を赤字にしました。)

3年前比よりも前年比の順位のほうが高い業種が多いですね。これは一部の業種の順位が大幅に下落し、それ以外がジワジワ上がっていることを示しています。大幅に下落した業種というのは、金融や不動産、通信業です。
どうでしょう。昨年買った株が全然上がらないという方、これらの業種を買っていませんか?これらの株は2013年は確かに上がりましたが、昨年買っても手遅れだった業種です。
(残念ながら通信・不動産などは特に個人投資家が好きな業種です。2014年に出遅れながら買った人が多いと思われます。)


次に、業種別に指数にどの程度影響力を持っているかをグラフで見てみます。

(SBI証券から引用)

日経平均株価は電機機器、小売、情報通信、輸送用機器が多いですね。しかし、小売業はファーストリテイリング、通信業はソフトバンクとKDDIを差し引くとかなりウェイトが下がります。それを除くと、医薬品・化学などのウェイトも高いです。これらの業種は前年比でもしっかり上がっています。
一方TOPIXは輸送用機器、電機機器、銀行が重要ですね。こちらもウェイトの高い業種は3年前比でも前年比でも上位の伸び率で、ジワジワ上がり続けています。

色々と見てきましたが最後にまとめると、持っている株だけ上がらない理由は指数にあまり関係ない銘柄ばかり買っているからという当たり前の結論に至りますね。


おまけ…下がるときだけ連動する理由

持ってる株だけ上がらないだけでなく、下がるときだけ連動するという方も多いと思います。ここまで読んでいただいた方はお分かりかと思いますが、これは『上がるとき一足早く上がったから』が理由です。一足早く上がり、上がりきったところで買い、下がるときは皆一緒に下がるというわけですね。
株は高く売ることにばかり注目されがちですが、安く買えればそれだけで半分勝ったも同然です。高値掴みには気をつけたいですね…。
(むしろ先に上がる銘柄は先に下がることが多いです。景気に敏感に反応するという特徴を持っているからです。)

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