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米大統領「行進は終わっていない」 血の日曜日から50年

2015/3/8 19:35
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 【ワシントン=吉野直也】米公民権運動の転機となった1965年の「セルマ大行進」から50年を迎えた7日、オバマ米大統領は行進の起点となった南部アラバマ州セルマを訪れ、演説した。「私たちのデモ行進はまだ終わっていない」と述べ、人種差別問題の解決に向け協力を呼びかけた。

 セルマ大行進は差別と脅迫により、有権者登録を妨害されていた黒人がセルマから州都のモントゴメリーまで抗議の行進を試みたが、騎馬警官らに阻止された。騎馬警官らはデモ行進する黒人に催涙ガスを撃ち込み、こん棒やムチで殴打し、多くの黒人が血だらけになって倒れ、病院に収容された。

 米メディアの目の前で起きた惨劇は米国だけでなく、世界中に「Bloody Sunday(血の日曜日)」として配信され、批判を巻き起こした。黒人解放運動の指導者、マーチン・ルーサー・キング牧師が率いるデモ隊は21日に改めてセルマを出発し、4日後にモントゴメリーに到着した。この行進が有権者登録での差別を禁じる投票権法制定に結びついた。

 7日は「血の日曜日」の舞台となったエドマンド・ペタス橋のたもとで式典を開いた。オバマ氏夫妻のほか、ブッシュ前大統領夫妻や、当時の行進に参加し、大けがを負った民主党のジョン・ルイス下院議員も出席した。式典には約4万人が集まり、出席者の一部は終了後、大統領を先頭に橋を行進して渡った。

 オバマ氏は演説で、昨年8月のミズーリ州ファーガソンでの黒人青年射殺事件に触れ「『血の日曜日』から50年。この国の人種差別の歴史はいまだ私たちの上に長い影を落としている。私たちはまだこの戦いに勝っていない」と訴えた。この事件を描いた映画「セルマ」が全米で公開中。日本でも6月に封切られる予定だ。

 米司法省が4日発表したファーガソンでの事件に関する報告書では過去3年間に地元警察に逮捕された容疑者の9割超が黒人だった点を指摘。「人種に基づく意図的な差別行為があった」と結論づけた。ホルダー司法長官は地元警察の解体も「あり得る」と語った。

 昨年はファーガソンだけでなく、白人警官が黒人男性を首を絞めて死なせたニューヨークの事件などが相次いだ。6日には米中西部ウィスコンシン州マディソンで白人の警察官が近くの住宅に入った黒人青年に発砲した。青年は病院に運ばれたものの、死亡した。黒人青年は丸腰で、現場には地元住民らが抗議のため集まり騒然となった。

 米CNNテレビの最新の世論調査によると、オバマ氏が大統領になってから白人と黒人の人種対立が悪化したと回答した人は39%で、改善したと答えた15%を大きく上回った。雇用、収入、司法、教育などで人種間の格差はなお残り、その不満が黒人射殺事件をきっかけに表面化する悪循環だ。

 黒人初の大統領となったオバマ氏の残り在任期間は2年間弱。黒人大統領であるが故に人種差別問題に積極的に取り組みにくいという心情が透ける。黒人社会には「もっと指導力を発揮してほしい」との声が根強い。「行動が求められている」。オバマ氏が演説で強調したこの言葉は、自身にも向けられている。

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オバマ、ジョン・ルイス、ブッシュ、ホルダー、セルマ

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