国連防災世界会議:「最も進んだバリアフリー」実践
毎日新聞 2015年03月16日 08時00分
仙台市で開催中の国連防災世界会議は、障害者の参加に最大限配慮し、国連の会議としては「最もバリアフリーが進んだ会議」(国連担当者)になっている。本会議の作業部会に、障害者と防災に関するテーマを初めて採用。18日に採択される予定の新行動指針にも、障害者が地域防災に主体的に参加することの重要性が盛り込まれる見通しで、障害者を防災の主要な担い手とする考え方の世界への発信を目指す。
メイン会場では、参加者の希望に応じ国際手話と日本語の手話をそれぞれ手配。主要な会合では発言内容がモニターに表示される。会場への送迎用バスには車いす仕様車も準備した。国際的盲ろう者団体の副代表を務める南米エクアドルのソニア・ビラクレスさん(61)には、会議用の文書が点字で画面表示される機器が貸し出された。「必要なものが全てそろっている。さまざまな国を訪れたが、日本が一番」と笑顔を見せる。聴覚と手足に障害があるドイツの非政府組織(NGO)メンバー、ステファン・ヘルビンさん(44)は、会議の音声の字幕がリアルタイムで表示される端末を借りた。「多くの情報を得る機会が保障されているのは重要で素晴らしい」
取り組みは「日本財団」の提案で実現した。きっかけは、東日本大震災で障害者の死亡率が高かったこと。内閣府の資料によると、全人口の4.5%が死亡した宮城県南三陸町では、障害者の死亡率は3倍近い13%(125人)に達した。
日本財団で障害者支援に当たる本山勝寛チームリーダーは「障害者を防災訓練や対策検討の段階から主要な担い手として位置付ける視点が重要だ。世界に同様の取り組みが広がることを期待する」と話した。【八田浩輔、藤沢美由紀】