中国:経済鈍化や大気汚染…李克強首相の2時間記者会見
毎日新聞 2015年03月15日 21時32分(最終更新 03月16日 00時09分)
【北京・石原聖、井出晋平、隅俊之】中国の李克強首相は15日、全国人民代表大会(全人代=国会)閉幕後に開いた約2時間に及ぶ記者会見で、経済成長の鈍化や深刻な大気汚染など山積する問題への取り組みを強化し、国民の不安解消に努力する姿勢を強調した。反腐敗キャンペーンについては「国民の支持」を前面に出し、継続する方針を示した。
「目標の実現は容易ではない」。李首相は、前年より0・5ポイント引き下げて7%前後とした経済成長率目標について、そう話した。成長の速度よりも質を重視し、投資主導から消費主導の成長に構造転換を図るためだ。
だが、足元の経済統計は軒並み鈍化している。李首相は「ここ数年は大規模な景気対策を講じておらず、政策の余地は大きい」と説明。「道具箱にはまだ道具がたくさんある」として、状況に応じて景気テコ入れに動く考えを明らかにした。また、銀行の不良債権増加など金融面のリスクも懸念されていることを念頭に、「個別のリスク発生は容認する」としつつ、「金融システムのリスクは発生させない」と明言した。
大気汚染を巡っては、全人代前に元国営テレビキャスターが、国有大手石油企業2社が汚染対策を妨げていると動画サイトに公開したドキュメンタリーで告発した。海外メディアからこれについて質問された李首相は、「新しい環境保護法を厳格に執行する。お飾りではない」と強調。「いかなる企業でも責任を追及する。垂れ流す企業は計り知れない対価を払ってもらう」と述べ、厳罰で臨む姿勢を鮮明にした。
反腐敗キャンペーンに関しては「高い地位の者も対象となり効果は明らかだ。国民の支持も得ている」と評価。「法治」「行政手続き簡素化と権限譲渡」「公務員の意識改革」を進め、「権力の介入が金を呼ぶ」土壌を改善するとした。官僚の不作為も腐敗の一種として「厳しく責任を問う」と語った。
一方、次期行政長官選挙で民主的な制度を求める道路占拠が続いた香港については「中央政府が香港政策を引き締めるのではと懸念する人もいるが、その必要はない」と述べ、1国2制度の原則を厳守すると強調した。