新社会人が身につけたいことの一つがお金との付き合い方だ。会社員なら定期的に給料は入るが、なるべく無駄な支出を抑え、将来のための貯蓄や自己研さんなどにお金を回したい。
4月から北陸地方で会社員生活を始める八島未来さん(仮名、22)の目下の心配の一つは銀行だ。都内で学生生活を送っていた間は大手銀行の口座を持ち、不便は感じなかった。ところが赴任先の新居の周りには大手どころか地元の銀行のATMもない。コンビニエンスストアは「手数料がかかりそう」と話す。
新社会人がまずしなければならないのは生活費を管理する銀行を決めること。一般には給料が振り込まれる銀行と一致させれば、同じ口座から小遣いを引き出したり、公共料金などを払ったりでき、管理がしやすい。給料の振込先は会社が決めることもあるが、選べるならメリットが大きいものにしたい。
■強みや特徴を確認
大手銀行、地方銀行、ゆうちょ銀行、インターネット専業銀行、JAバンク――。一口に銀行といっても様々な種類がある。預金や振り込みといった基本的な機能に変わりはないが、店舗の所在地、ATMの数や提携先、手数料などには違いがある。
例えば大手銀行は主要な都市部に店舗やATMが多く、幅広く金融商品・サービスを扱うのが特徴。ゆうちょ銀行はATMが全国に約2万7000台と銀行で最大規模で、夜間も手数料がかからない。地方では地銀の店舗やATMが多く、遠方に引っ越す予定がなければ有力な選択肢になる。インターネット専業銀行なら預金金利が高めだ。
ファイナンシャルプランナー(FP)の三輪鉄郎氏は銀行選びの一番の手掛かりとして「なるべく手数料を払わずにATMを使えること」を挙げる。口座を持つ銀行のATMでお金を引き出す場合、平日の昼間なら無料だが、夜間や休日は108~216円かかることが多い。自宅や会社の近くか通勤途中にATMがある銀行を選べば、手数料を気にせず使いやすい。
手数料を節約する効果は小さくない。毎月1回ずつ108円の手数料を払ったとすると単純計算で年間約1300円かかる。大手銀行の足元の普通預金の金利(0.02%)で考えると、650万円を1年間預けた利息に匹敵する。