ふるさと納税「急きょ中止」の裏側とは?
先日、ふるさと納税を巡って、興味深いことがあった。石川県加賀市が、インターネットの商品サイトを活用して寄付額の半分を電子マネーで還元する特典付きの「ふるさと納税」を急きょ中止したのだ。
加賀市のホームページでは、
皆様よりご支援頂きました加賀市ふるさと納税(DMMマネー進呈)ですが、
諸般の事情により、3月4日をもって終了させて頂くことになりました。
既にお申込み頂いた方に関しましては、当初のご説明通り、対応させて頂きます。
3月末日までの予定を変更いたしましたことについて謹んでお詫び申し上げます。
と書かれていた(http://www.city.kaga.ishikawa.jp/article/ar_detail.php?ev_init=1&arm_id=101-0576-2981)。
これは、①地方分権、地方自治とは何か、という地方行政制度からの論点と、②あのDMMが関係している、という企業サイドの論点が、ふるさと納税を通じて絡み合っている、面白い案件だ。ただし、マスコミでは、この2点を取り上げた記事はあまり見かけないので、今週のテーマにしてみた。
ふるさと納税とは何か。この制度は2007年、第一次安倍晋三政権の時に、菅義偉(すがよしひで)総務大臣の発案で、筆者も設立の際に深く関わったものだ。自分で選んだ自治体に寄付すると、払った住民税の一定割合までを税額控除する(http://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/080430_2_kojin.html)。要するに、払った住民税の一定割合までについて、自らで使う先を決められるのだ。
その当時、菅氏は「地方で生まれ育って都会に出る人が多いが、税の一部を自分の故郷や好きな町などに納税し、恩返しをしたいという要望は強い。地域活性化や過疎対策にもなる」といっており、「国民が自分で好きな地方へおカネを回す仕組みができないか」というご下問があった。当時の安倍首相も賛成だった。
それを実現するためには、寄付金制度とその寄付金を「税額控除」すればできるので、当時、官邸にいた筆者は、菅氏にこの話を伝えたら、菅氏から、総務省に研究会を作るから座長その他人選を頼むといわれた。
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