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救命具になる敷布団、津波耐え水に浮く 滋賀の会社開発

琵琶湖で敷布団が波に耐えるか実験を行う青山社長(2014年2月、彦根市石寺町)
琵琶湖で敷布団が波に耐えるか実験を行う青山社長(2014年2月、彦根市石寺町)

 津波に耐えて水に浮く敷布団を、滋賀県東近江市の寝具製造会社「NAテック」が、京都大防災研究所の協力を得て開発した。青山栄次社長(38)が東日本大震災をきっかけに日常使う布団を救命具にできないかと、琵琶湖に浮かべて実験を繰り返し、商品化に成功した。

 敷布団はシングル布団と同じサイズで、商品名は「SAVING FLOATER」。体積の98%が空洞の発泡ポリエチレンの粒を中に入れ、通常の半分程度の重さ2・5キロに抑えた。化学繊維の布を31に区切って、耐水やクッション性を高めた上、つかまるための取っ手や反射材、名前や血液型を記入する札や貴重品を入れるポケットも備えている。

 青山社長は震災直後の2011年3月から開発に乗り出し、布団に入れる数百種類のビーズ素材を水に浮かべたり、荒天時に彦根市の湖岸で200回以上も自ら布団に乗ったりして実験を重ねた。

 さらに14年夏から京都大防災研究所の平石哲也教授(57)=海岸工学=と共同研究を行い、100キロの重しでも3日間沈まないことを実証した。平石教授は「まず沈まない。津波だけでなく、洪水や高潮など水害全般の救命具として有効だ。水に漬かっても、表面の水を拭くだけで布団として再度使える」と評価する。

 青山社長は「人生の3分の1は布団の上で過ごす。津波などの水害や、船の転覆で失われる命を救いたい」と話している。

 布団は1点4万円(税別)。4月発売予定で、予約を受け付けている。問い合わせは同社TEL0749(45)2646。

【 2015年03月15日 14時00分 】

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