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高まる緊張…中国「断固たる措置」とミャンマーに警告 南部国境、爆弾着弾で中国側住民13人死傷
【北京=川越一】ミャンマー軍機の爆弾が中国領内に着弾し、住民13人が死傷者した事態について、中国の李克強首相は15日の記者会見で、中国政府がミャンマー側に激しく抗議したことを明らかにし、「わが国人民の生命、財産の安全を断固として保護する」と述べ、強い決意を表明した。
ミャンマーに近い南部雲南省の国境地帯では、中国空軍が戦闘機の哨戒を強化したほか、対空、対地上攻撃用の重火器を装備した中国陸軍部隊の展開も伝えられるなど、緊張が高まっている。
国営新華社通信によると、中国軍制服組のトップ、范長竜・中央軍事委員会副主席は14日、今回の事態を受けて、ミャンマー軍のミン・アウン・フライン総司令官と緊急に電話会談し、事態の再発防止や当事者の処罰を要求。同様のケースが再び起きれば、中国軍が「断固たる措置を取る」と警告した。
これに対し、総司令官は、現地に要員を派遣し、中国と共同で調査する考えを伝えた。中国側の発表では、総司令官は「関係者の責任追及」にも言及したとしているが、他方でミャンマー大統領府高官は「政府軍による攻撃ではない」と述べるなど、情報に不明確な点も残る。
ミャンマー北東部では、中国との国境地帯で少数民族武装勢力に対する政府軍の掃討作戦が激化。中国外務省の劉振民次官は、事態発生直後の13日夜、北京駐在のミャンマー大使を呼んで強く抗議していた。