介護疲れ:長男絞殺容疑「母の私が死んだら生活できない」
毎日新聞 2015年03月15日 23時20分
生まれつき重い知的障害を持つ長男(54)の首を絞めて殺害したとして、大阪府警旭署は15日、母親で無職の栢森敞子(かやもり・しょうこ)容疑者(80)=大阪市旭区高殿6=を殺人の疑いで逮捕した。食事や排せつが自力でできない長男を栢森容疑者が一人で介護していたとみられ、「疲れた。私が死んだら息子は生活できないので、今のうちに天国に連れて行ってあげようと思った」と認めているという。
逮捕容疑は15日未明、自宅2階の居間の布団で寝ていた長男の稔さんの首をタオルで絞めたり、口や鼻を手でふさいだりして窒息死させたとしている。府警は司法解剖して詳しい死因を調べる。
旭署によると、栢森容疑者は午前7時ごろ、大阪府内に住む長女(52)に「殺してしまった。早く来てほしい」と電話した。
夫は認知症で施設に入所しており、栢森容疑者は十数年前から稔さんと2人暮らしだった。稔さんは平日に障害者向けの作業所に通うこともあったが、身の回りの世話は栢森容疑者が一人でしていたとみられる。栢森容疑者は過去に軽い脳梗塞(こうそく)を患い、「体が言うことを聞かない時もあった」と説明しているという。
近所の40代女性は「母親は町会の夏祭りを手伝うなど、真面目で社交的な人だった。介護の悩みを聞いたことはなかった。地域の中でもっと早く気付いてあげられたらよかった」と話した。【津久井達、椋田佳代】