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【政治】

復興予算で陸自ヘリ改修 無関係支出計14億円に

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 東日本大震災の復旧・復興を目的にした二〇一五年度政府予算案の復興特別会計(復興予算)に、防衛省の輸送ヘリ改修費など復興とは直接関係のない約十四億円が盛り込まれていることが分かった。復興予算は一二年の閣議決定で、使い道を原則被災地に限るよう厳格化したが、契約済みだった事業の後年度の支払い分が例外扱いとされた。本来は通常予算として一般会計に計上されるはずが、閣議決定から二年をへても復興財源が充てられている。

 最も予算額が大きいのは、防衛省の大型輸送ヘリCH47の改修費(十二億三千八百四十万円)。防衛省は「人員の救出・救助や物資の輸送などの災害対処能力に資する」と説明する。

 しかし、ヘリは陸上自衛隊高遊原(たかゆうばる)分屯地(熊本県)所属で、改修は一〇年の海面接触事故による部品交換などで、震災とは無関係だ。一一年度に契約され、一五年度予算案を含めると復興財源の充当は五年で二十五億円余りに上る。

 国際熱核融合実験炉計画の研究開発費(文部科学省所管)も、一五年度予算案に千二百九十五万円が盛り込まれた。実験炉の研究を行う日本原子力研究開発機構青森研究開発センター(青森県六ケ所村)の高速ネットワークの回線費で、複数年契約を理由に一二年度から計上が続く。

 被災地向けとはいえない国立国会図書館の震災資料デジタルアーカイブ事業にも、一五年度に一億四千三百三十六万円が充てられる。全国の震災に関する映像や文書を電子資料として収集、公開するアーカイブの運営費としている。

 民主党政権下の一二年十一月に行われた閣議決定は、反捕鯨団体の監視事業や沖縄県の国道整備費など、復興予算の流用が相次いで問題化したのが理由。使途は「被災地の復旧・復興、被災者の暮らしの再生」に限るとしたが、複数年契約を結んだ事業は「契約の法的安定性」を理由に、例外措置が認められた。

 三事業とも途中年度から一般会計に移すことは手続き的に可能だが、それをしない理由を担当者は「政府の方針に従っている」と口をそろえる。

 復興予算をめぐっては、復興期間と政府が定めた一一〜二〇年度までの十年間のうち、一五年度までの集中復興期間は二十五兆円の予算枠が確保されたが、一六年度以降の財源は決まっていない。 (木谷孝洋)

 <復興予算の使途に関する政府方針> 2011年7月に決定した「復興の基本方針」では、復興予算は全国のインフラ整備や中小企業支援、「クールジャパン」の推進など幅広い分野で認められた。その後、復興とは無関係の事業への支出が国会などで問題視されたことを受け、12年11月に使途を厳格化する方針を閣議決定。対象事業を「被災地の復旧・復興、被災者の暮らしの再生」に限定し、全国向け予算は認めないとしたが、既に複数年契約を結んだ事業は経過措置として計上を認めた。

 

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