【コラム】米国をめぐる韓日の外交戦、勝敗は明らかだ

過去1年間、日本はワシントンを舞台に巨額資金を投じロビー活動
連邦議会での安倍首相の演説まで推進
韓国の予算額は日本の1財団にも及ばず戦略もなし

 同財団を設立した笹川良一氏は、A級戦犯容疑で裁判を受けた元事業家だ。笹川財団の米国関連予算は、78億ウォン(約8億4600万円)に達する。また日本の外務省は、国の広報などに使われる広報文化予算として、昨年の3倍に上る520億円を策定した。韓国の対米広報文化予算は10億ウォン(約1億900万円)にすぎない。笹川財団の7分の1というレベルだ。米国は、俗に言う「カネがものを言う(money talks)国」だ。米国議会の補佐官陣の中で代表的なアジア通に挙げられる人物が、最近相次いで笹川財団などにポストを移した理由も、こうした事情と無関係ではないだろう。最近テロに遭ったリッパート駐韓米国大使も、まさに議会補佐官出身だ。

 日本は、安倍首相が米国を訪問する4月末より前に、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)と日米安保ガイドライン改正作業を終えたいという立場だ。この二つの協定は、経済と安全保障、両分野で米日関係を一層堅固なものにする。安倍政権は、歴史問題での挑発を行いつつも、米国が望むことは徹底して聞き入れるというやり方で米国の不満を鎮めてきた。安倍首相が推進する米国議会での演説も、実現する可能性が高いという。そうなれば、米国議会で演説した初の日本の首相として記録される(原文ママ)。韓国の立場からすれば、歴史問題をめぐり最も退行的で、挑発を繰り返してきた安倍首相が、日本の新たな歴史を書く主人公になることを意味する。

 これに対し韓国の対米外交は、これまで奔走してはきたが、足踏み状態から抜け出せずにいる。最近ソウルを訪れた米国のシンクタンクの関係者は「ワシントンに来る韓国の人々は、そろって歴史問題で日本を非難し、米国を説き伏せようとするかのような、全く同じ話ばかり繰り返してきた。今では、韓国に対する疲労感が高まっている」と伝えた。最近では歴史問題をめぐって、米国の国務次官による、日本の肩を持つかのような発言が飛び出した。加えて韓国には、笹川財団のような、国のために巨額の資金を投じる企業もない。政・官・民の協力もほとんどない。国家的レベルの戦略や計画もなく、ばらばらにワシントンでの戦いに出向いているのだ。このまま行けば、韓日外交戦の勝敗がどちらに傾くかは、火を見るよりも明らかだ。

朴斗植(パク・トゥシク)論説委員
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース