「ワシントンで菊の香りが強くなった」。少し前、米国ワシントンを訪れた学者に、韓日の歴史問題をめぐる米国の官・民の雰囲気を尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。菊は日本の「国花」だ。米国内の親日派・知日派を「菊クラブ」または「菊派」と呼ぶ。菊の香りが強まったということは、日本の存在感が大きくなったという意味だ。
韓国と日本は、2014年だけ見ても、ワシントンで両国間の歴史問題をめぐり激しい外交戦を繰り広げた。政府や国会関係者、民間の専門家らを競ってワシントンに派遣した。米国は、韓国と日本を動かせる力を持つ、事実上唯一の国だ。この米国を自国に有利な側に向けようという戦いの主な舞台となったのが、ワシントンだった。
米国はこれまで、厳格に中立を守ってきた。外から見ると、勝負の重りは韓日どちらにも容易には傾きそうにない。米国政府だけでなく、学界やシンクタンクの関係者までも、中立的態度を示している状態だ。
それでも韓国内部には、ワシントンの戦いの最終的な勝者は当然韓国だろうと、鉄のように信じる雰囲気がある。日本は米国と戦争した国で、韓国は日本の侵略と収奪に苦しんできた被害者だ。この歴史的事実を理解している米国が、被害者・韓国をのけ者にして加害者・日本の手を取るはずがない、というわけだ。これが、過去1年にわたり韓国を支配してきた国民感情だった。
しかしワシントンの状況は、韓国人の期待とは正反対の方向に流れつつある。過去1年余りにわたり、日本は、それまでできなかったタブーを一つ、二つと破り、立地を広げてきた。その代表例が、米国連邦議会に「ジャパン・コーカス(親日議員連盟)」ができたことだ。日本は常に、米国議会に親日議連ができることを願ってきたが、太平洋戦争を挑発した歴史が原因で、容易には実現しなかった。03年と07年に、米国連邦議会下院および上院で相次いで「コリア・コーカス」が誕生するのを見守るしかなかった。しかし「ジャパン・コーカス」には、発足からわずか1年で68人が名を連ねた。「コリア・コーカス」に属する下院議員は63人だ。
日本のワシントン攻勢は、これだけにとどまらない。オバマ政権で国家情報長官(DNI)を務めたデニス・ブレア元海軍大将は昨年5月、笹川平和財団のワシントン代表に就任した。DNIは、米国政府内に16ある情報機関をまとめ、大統領に報告される全ての情報をコントロールする責任者だ。そのような人物が、日本のロビイストに変身したのだ。ブレア元海軍大将は今年初め、韓国が日本の歴史を問題にしていることをめぐって「日本は過去にひどいことをしたが、韓国もベトナム戦争当時、極めて無慈悲だった」とためらうことなく妄言を発した。