藤原学思
2015年3月14日19時52分
東武伊勢崎線・竹ノ塚駅(東京都足立区)近くの踏切で4人が死傷した事故から15日で10年を迎える。母を亡くした加山圭子さん(59)は、ほかの踏切事故の遺族らとともに、事故の根絶や調査のあり方を問い続けてきた。「なぜ母が死ななくてはならなかったのか」。その疑問が加山さんをなお突き動かす。
今月1日、横浜市の自宅にいた加山さんに、知人からメールが届いた。「竹ノ塚の踏切で事故があったみたいだよ」。母、高橋俊枝(としえ)さん(当時75)が2005年に亡くなった踏切で、車が電車と衝突し、男性運転手が心肺停止――。胸騒ぎが治まらなかった。
月に1度ほど、今は誰も住まぬ実家の掃除をするため、竹ノ塚駅を訪れる。踏切に立ち、母の笑顔を思い浮かべて話しかける。
「工事、進んでるよ」
「開かずの踏切」として知られてきた。朝のラッシュ時には最大58分間、閉まったままになる。母の事故前から高架化を求める地元の声は強かった。
事故から7年半後の12年11月、区が主体となって1・7キロの区間で高架化工事が始まった。総事業費は約540億円。国240億円、区110億円、都100億円、東武鉄道90億円を負担する。5本の線路のうち下りの急行が走る線路は来年4月ごろ、ほかの4本も21年3月までに高架化される予定だ。
あの日、母はクリーニング店で、結婚50年を迎えたばかりの父の冬物を受け取った帰りに事故に遭った。準急電車は時速90キロで自転車ごと母をはね飛ばした。
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