みなさんは「大阪ダックツアー」をご存知でしょうか?
「大阪ダックツアー」とは、「かっぱバス」という愛称の水陸両用バスに乗って大阪市内を巡る観光ツアーのことです。

(水陸両用バスの「かっぱバス」)
「かっぱバス」なのにダックツアー?と思われる方もおられるかもしれませんが、ダックツアーとは、水陸両用車を利用した観光ツアーの総称だそうです。
この「かっぱバス」ですが、見た目はバスとも船ともいえないような独特のスタイルをしています。かわいらしいラッピングが施されているのですが、いかつい装甲車といった印象です。ちなみに、車両ナンバーは808。なにわ八百八橋にちなんで付けられたそうです。
入口はとても高い位置にあり、タラップを使って乗り込みました。
乗り込むと、座席の配置等はバスといった感じなのですが、座席が防水仕様となっており、足下には座布団型の救命用具(もしものときに浮き輪の役割を果たします)が設置されているなど、船らしいところも随所に見られます。また、窓にはガラスがなく、屋根はあるもののオープンカーの様な開放感があります。
(水陸両用バスの内部)
運転席はバスと船を両方合わせたような感じです。
(運転席の写真)
ツアーは、京阪天満橋駅のすぐ近く、大川沿いにある川の駅「はちけんや」からスタートしました。
川の駅「はちけんや」が出発地点なので、すっかり川の中からツアーが始まると思っていたのですが、まずは陸上での大阪観光から始まりました。大阪歴史博物館、大阪府庁、大阪城、大阪市公館といった名所・旧跡などの横を通り抜け、桜之宮公園に向かいます。
日頃なじみ深い大阪市内ですが、ガイドさんによる案内を聞きながら観光すると新たな発見があり、思いのほか楽しむことができました。観光案内でもしっかりと笑いを取るところなどは、さすが大阪のガイドさんです。他府県から来られた観光客の方にとっては、観光名所を回るよりも、この“しゃべり”を体験することで、大阪に来たという実感が沸くのではないでしょうか?いい仕事しています。
なお、「かっぱバス」という可愛い愛称とはうらはらに、路線バスの天井を見下ろせるくらいの大きさがあるとともに、バスとも船ともいえない独特の外観をしていることもあって、乗っているとかなり目立ちます。交差点で止まっていると、歩行者のみなさんからの好奇心に満ちた視線を感じました。また、子どもたちが手を振ってくれることも…。最初は少し恥ずかしい気もしましたが、慣れてくると気にならなくなり、手を振り返す余裕も生まれ、これはこれで楽しいと感じるようになりました。
(「かっぱバス」から見た大阪城)
ツアー開始から20分ほどで桜之宮公園に到着しました。ここでバスの運転手さんから船の船長さんに操縦者が交代し、クルマから船となった「かっぱバス」は、川沿いのスロープから川の中に入りました。このツアー最大の見せ場というだけあって、かなりの水しぶきが上がり、なかなか迫力がありました。
(派手にあがる水しぶき!その横で、バスの運転手さんがお見送り)
ちなみにバスは、クルマ用のエンジンから、スクリューを動かすためのエンジンに切り替わるものの、それ以外は陸上を走ってきた時のままです。派手な変形などは特になくて、ちょっと残念な気もしました。
船となった「かっぱバス」は大川を下り中之島公園の手前まで往復します。
造幣局や出発地点の川の駅「はちけんや」、大阪城などを川から眺めながらゆったりと進むのはとても心地よく、中には居眠りしている人もいるほど。これからさらなる活用が望まれる水上の魅力を体感することが出来ました。
大阪でお花見というと造幣局の通り抜けが有名ですが、大川沿いにもたくさんの桜の木が植えられており、とてもきれいだとガイドさんが教えてくれました。船から眺めることができたらいいなと思ったら、やはり桜のシーズンは「大阪ダックツアー」のお客さんが最も多い時期だそうです。
(大川沿いの景色)
(川の上からも大阪城が見えます)
ちなみに、ガイドさんのおしゃべりにゆったりというリズムは無縁です。
ツアーを始めた頃は、バスが流されていると勘違いされた沿川の方から警察に通報されたことがあったとか、両手で手を振ると「流されているので助けて!」と訴えているように思われるから片手で手を振って欲しいなどなど、とどまることはありませんでした。
水上からの景色やゆったりと漂う心地よさを経験した後は、桜之宮公園に戻り再上陸しました。
上陸後はここでいったん休憩します。そのすきに出発時に見ることができなかった車両の後ろ側に回って、スクリューなどを観察しました。
(「かっぱバス」のスクリュー、意外と小さい)
(「かっぱバス」の背面、水の中に入るため排気口がかなり上にあります)
操縦者がバスの運転手さんに再び交代したあと、バスとして陸上から大阪市内を巡ります。国道一号線を西へと進み、梅田から御堂筋を南下して道頓堀を通過する時には、おなじみのグリコの看板を観ることが出来ました。ガイドさんいわく、大阪城よりも人気があるそうで、「グリコの看板を観る時が、お客さんの一番嬉しそうにされる瞬間」なのだそうです。メディア等でたくさん取り上げられていることもあって、すっかりと大阪の顔になっているようです。
(「かっぱバス」から見た御堂筋)
(道頓堀のグリコの看板)
その後は、堺筋から本町通を経て、出発地でもある川の駅「はちけんや」に戻りました。
珍しい水陸両用バスに乗車(乗船?)し、ガイドさんによる軽快な観光案内を聞きながら、水上と陸上の両方から大阪を観光できる「大阪ダックツアー」は、とても楽しく貴重な体験となりました。
この日は残暑が厳しかったものの、涼しい風が吹いていたこともあって、比較的心地よい気候のもとでツアーを楽しむことができましたが、「かっぱバス」の窓にはガラスがないため暑さや寒さ、雨などの気象条件によってはつらく感じることもあるそうです。しかしながら、水都大阪ならではの魅力を感じることができるツアーだと思います。
ご興味のある方は、是非「大阪ダックツアー」に参加してみてください。(詳細は
「大阪ダックツアー」のホームページをご覧ください)
「大阪ダックツアー」に限らず、「
北浜テラス」や「
ベイ&リバーサイドパーティーOSAKA」など、最近は少しずつですが、大阪の水辺や水上の魅力を体験できる機会が増えてきました。
大阪にいても、水辺や水上の魅力を体験したことがあり、しっかりと語れる方は少ないと思います。先ずは大阪にお住まいやお勤めのみなさんが体験することで、水都大阪の魅力を広くアピールするきっかけにして欲しいと思います。