官邸サイドは一時ホッとしたが・・・
7年ぶりに来日したドイツのアンゲラ・メルケル首相が残した「宿題」の持つ意味は小さくない。
3月9日午前の東京・築地の朝新聞社浜離宮朝日ホールでの講演、同日夕の安倍晋三首相との日独首脳会談、その後の共同記者会見、そして10日午前の岡田克也民主党代表との会談――メルケル首相は相手と場によって発言内容を調整していたのだ。
そもそも首相官邸は、実はメルケル首相が首脳会談前にセットされていた講演で歴史認識問題について言及し、安倍・メルケル会談で安倍首相が8月15日に発表する「戦後70年談話」に“注文”をつけてくるのではないかと心配していた。ところが、直接的な言及はなく、官邸側は安堵した。
だが、メルケル首相は講演で、先に亡くなったヴァイツゼッカー元大統領が欧州終戦の1945年5月8日を「解放の日」と呼んだことを紹介した上で「それはナチスの蛮行からの解放であり、ドイツが引き起こした第2次大戦の恐怖からの解放であり、そしてショアー(ユダヤ人絶滅政策)という文明の破壊からの解放でした」と語った。
さらに「そうした苦しみがドイツによって欧州に、そして世界に広がってしまったにも拘わらず和解の手がドイツに差し伸べられたことをドイツ人は忘れません。当時はまだ若いドイツ連邦共和国に対して多くの信頼が寄せられたことは私たちの幸運でした。こうしてドイツは国際社会への道のりを拓くことができたのです」と述べ、やんわりとクギを刺すことを忘れなかった。
そしてトップ会談でも、ナチス・ドイツの行為を検証してきた戦後ドイツの経験について言及したものの、戦後70年に関する発言はなく、官邸サイドはほっとしたという。
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