海底の武蔵ネット中継 専門家「100%間違いない」
2015年3月14日6時0分 スポーツ報知
米マイクロソフトの共同創業者で世界長者番付の常連でもあるポール・アレン氏(62)は13日、太平洋戦争でフィリピン中部シブヤン海に沈んだ、旧日本軍の戦艦「武蔵」とみられる船体の潜水調査の様子をインターネット上で生中継した。
中継では、巨大ヨットから約1000メートルの海底まで下ろした無人潜水機器で撮影した映像を、約2時間半にわたって公開。艦首右舷に巻き上げられた巨大ないかり、主砲の砲塔を設置していた砲座部分の大きな穴も、はっきりと映し出された。
呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム、広島県呉市)の統括・相原謙次さんは「今回の映像で自信が確信に変わりました。まさに武蔵です。多くのことが新たな裏付けになった一方で、今までの研究と異なる部分もある」と興奮気味。今後については「フィリピン政府と日本の外務省との話し合いになると思いますが、沈没した戦艦は船体自体が墓標であり、手を合わせるべきところ。引き揚げには賛成できません」とする。同館の戸高一成館長も「大きさや部品から、武蔵であることは100%間違いない」と強調した。
武蔵の元乗員で砲術士だった原口静彦さん(93)=長崎県南島原市=は、中継映像を見て「久しぶりにお会いした」と感激した様子。主砲の操作に携わった日々を「武蔵はあまりにも広くて慣れるのが大変だった。艦内で迷子になる人も多かった」と懐かしみながら「変わり果てた姿は見たくなかった。船内にはまだ多くの人がいるだろう。引き揚げてもらいたくない」と涙ぐんだ。