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「1強」時代を迎えた流通再編のあり方

2015/3/13付
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 流通業界で再編の動きが加速している。コンビニエンスストア3位のファミリーマートと、コンビニやスーパーを持つユニーグループ・ホールディングスが経営統合の交渉に入った。食品スーパーではマルエツなど3社が統合し、売上高首位の新企業が誕生した。

 背景に、小売りの各分野で「1強」と呼ぶべき特定の企業が勢力を伸ばしている現象がある。増税の影響もあり、消費者がモノの価値を見極める目は厳しくなった。大量仕入れと安値販売だけでは生き残りは難しい。後を追う企業の経営には一層の工夫が要る。

 「1強」とはコンビニならセブン―イレブン・ジャパン、カジュアル衣料では「ユニクロ」のファーストリテイリング、家具のニトリホールディングスなどを指す。独自商品を企画し、情報システムの整備で消費の動向をきめ細かく分析している点が共通する。

 ファミリーマートとユニーグループのコンビニの店舗数を単純に足すと、セブン―イレブンとほぼ同数だ。しかし1日当たりの売上高では見劣りしている。規模拡大による効率化や既存商品の融通だけに頼らず、新鮮な商品の開発など地道な努力が欠かせない。

 会長と社長の路線対立で経営の混乱が続く大塚家具の例も、若い世代をつかんだニトリという「1強」の存在が根元にある。2番手以下の流通業にとって、分野を問わず、「1強」への対抗策が不可避の課題になりつつある。

 生き残り策の一つが、「1強」のまねではなく、新しい需要を掘り起こすことだ。コンビニ2位のローソンは「健康」を前面に、新店舗の開発や異業種との提携に力を入れている。

 百貨店業界では、高齢者に的を絞った店づくりによる成功例などがある。それぞれの分野で知恵を絞りたい。買い物の選択肢が増えることは、地域の魅力の向上にもつながる。

 「1強」側も、油断すれば経営の基盤は揺らぐ。外食業界の例では、洋食のファストフードで「1強」だった日本マクドナルドホールディングスが売り上げを落としている。異物混入問題の痛手もあるが、消費者の健康志向などからうどんチェーンやコンビニに客が流れた影響も大きい。

 バブルとデフレ、増税を経て消費者は価値と価格のバランスを冷静に見極めるようになった。流通業も厳しい現実を直視すべきだ。

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