これまで本作を楽しみにして下さっていた皆様、力及ばず申し訳ありません。
この先話が長くなるのでまず要点を先に書きますと。
@「境界のないセカイ」の講談社からの単行本発売はなし
A「境界のないセカイ」のマンガボックスでの連載は15話で打ち切り
B「境界のないセカイ」企画の再建先を募集中
C「境界のないセカイ」以外でもお仕事募集中
……ということです。
連載中止の理由ですが、講談社さんからの表現上の問題から単行本発売中止決定し、これによりマンガボックスさんが本作で収益をあげられる見込みがなくなったことです(詳しい経緯はまた後述します)。
単行本発売中止の発表からこれまで、問題箇所の修正を前提に改めて発売へと向かえないか交渉を行ってきましたが、残念ながら決定を覆すことはできませんでした。
作者としては当然ですが、せっかくそこそこ人気も出てきて読者さんもついてくださっている作品をこのまま終わらせてしまうのは勿体ないと考えています。
それで現在幾つか伝手のある他の出版社さんに連載の移籍ができないか、打診を始めております。
ここをご覧になっている編集・出版の方へ
もしこの連載企画の継続(またはリスタートでも)について興味をお持ちくださるようでしたら
メールアドレス ikuya☆ikuyadaikokudou.sakura.ne.jp(☆を半角@に)
または
twitterアカウント ikuyadaikokudou
までご連絡下さいませ。
とりあえず、3月末まではマンガボックスサイト上で1〜3話及び最新話は確認できます。
それ以外の話数についてもデジタルデータは私の手元にありますので、いつでもお見せすることは可能です。
よろしくお願いいたします。
それと急に仕事がなくなったのもですから、私のこの先のスケジュールがポカーンと空いております。本件に関わらなくともお仕事お受けできますので、そちらの方でもご連絡お待ちしております。
読者の皆様へ
上に書いたように連載継続に向けて働きかけてはおりますので、いつになるかは判りませんがまた続きを公開できることをお待ちいただけたら幸いです。
そして今回の連載中止に関してはマンガボックスアプリ/サイト上での告知はされないと思うのでこのことを知らない他の読者さんや、また一人でも多く出版業界の方の目にとまるようにSNS等での情報拡散などにお力を貸して頂けると助かります。
もし本作の移籍・継続が叶わなかったとしても、その時は商業単行本とは違う形になりますがこれまで執筆した分をまとめたいと考えています。
どうかよろしくお願いいたします。
経緯について。
単行本の発売については昨年中に既に決定しており、2月上旬には単行本作業も終了、講談社さんのサイトで発売が告知され、Amazonなどで予約も始まっている状況でした。
ところが2月中旬になって講談社社内で問題が生じたという話が持ち上がります。
この時点では「少なくとも発売延期なる」とマンガボックス編集部内で説明はされたものの、詳細はまだ講談社社内で検討中でるとのことで何が問題であるのかの具体的な報告は降りてこない状態でした。
そのため、その間も報告を待ちながら「境界のないセカイ」の原稿は継続して進行中でした。
2月末、結果単行本発売の中止と理由である問題になっている表現について講談社さんから報告を受けました。
3月に入り、それを受けて改善案の提示により中止を延期に引き戻せないかとマンガボックス編集部から講談社への交渉をお願いしましたが、残念ながら決定は覆ることはありませんでした。
2月末の時点で最後の更新分となる15話原稿は完成・提出済みでしたので3/15現在マンガボックスにはそのままの16話に続く予定の原稿が掲載されています。
16話のネーム打ち合わせは終了していましたので、本来であれば次回から第二ヒロインである聡美を中心としたエピソードが展開される予定でした。
なおこういう話になるとお金の心配をして下さる方もいらっしゃると思うので先回りしてお答えしてしまうと、既に私が進めていた作業などへのお金での補償についてもお話は進んでいます。
ですからそのあたりのことではご心配無用だと思っています。
本作で問題になった表現について。
講談社さんが危惧した部分は作中で"男女の性にもとづく役割を強調している"部分で、「男は男らしく女は女らしくするべき」というメッセージが断定的に読み取れることだと伺っています。
(私への窓口はマンガボックスさんの担当編集氏なので、伝聞になっています)
これに対して起こるかもしれない性的マイノリティの個人・団体からのクレームを回避したい、とのことでした。
このオペレータの台詞が同姓を愛する方々にとっては酷いことを言っている、という認識はありました。
だったらなぜそれを言わせたのか。
この作品は男女の性別の行き来が可能になった世界を描いています。
その世界ではセクシュアリティに特に疑問を持たない、無関心な人たちは「男(女)が好きなら女(男)になれば良いのでは?」と考える人が比較的多いのではないか、と考えていました。
そして物語が進む中で主人公はヒロインをはじめとして性の越境を行った人に触れる中で、こうした無関心から来る考え方にすこしづつ疑問を抱いていき、最終的には多様な生き方に寛容な考えを持たせていくつもりでおりました。
ここの描写は背景世界の説明の一部であり、主人公の変化を描く過程の一部でした。
問題となった描写は作品世界内の個人の発言でしか無いこともあるし、それが現実世界において好ましくない意見だとしてもいずれ作品総体としては否定されていく意見であるので、最終的には問題なくなると判断していたのです。
また第5話執筆前後でのマンガボックス編集部との打ち合わせにおいても、ここは問題になるまいという判断がされていました。
しかし、単行本化に当たって問題となって浮上してきたわけです。
単行本化の段階で問題となるとわかっていれば、背景世界の提示はそれが必要となる直前まで後回しにすることもできましたし、連載中の打ち合わせの中で回避することもできたはずです。
この出版担当の講談社-編集担当のマンガボックス-著者の3者の連携がきちんと取れていなかったことが今回の連載終了に至ったいちばん大きな原因であるように思われます。
結果、本来作中で肯定する意図のない(むしろ後に否定したい)部分が問題となって発行中止となるのは無念でなりません。
この講談社さんの危惧を解消する方法として、該当する部分の修正はもとより、問題となった描写に対して対になるようなエピソード(具体的には"性別を変えることなく同性を愛せないか葛藤する少年少女のお話"など)を描いて単行本1巻分の内でも作品のメッセージを中立化できないかと考えていました。
しかしそれは形にする前に講談社さんから決定は覆らない旨の通知を受けることになってしまったので、現在は私の手元に修正案のプロットがあるだけ、という状態で今に至っています。
もし本作を引き継いでくださる出版社さんがいらっしゃいましたら、これらの修正についてもぜひご相談させていただきたいと思っています。
あと付け加えるならもうひとつ。
性転換を題材にしている割にはコメディ部分が強すぎるのではないか?という指摘もあったと聞きます。
これについては、そうであるのかもしれません。
おふざけが強すぎると不快に思われる方もいるのかもしれません。
ただ一方で、シリアスに性転換の苦悩のみを描いたとしても、それを前面に出した場合読もうと考えてくださる当事者の方々と、元から性転換に関心を抱いている方が中心になってしまうのではないかという心配もあるのです。
マイノリティが被差別的な感情を抱くのって、マジョリティ側が別に悪気はなく問題に無関心であるために発生することも良くあると思うんです。
だとしたら、まずそんな無関心な層にも届くような、基本コミカルなラブコメでありつつ時折シリアスな面も見せるようなそんな作品もアリなのではないか、と。
ターゲット客層が広いマンガボックスさんで描くとなったときから考えていました。
無関心であった読者さんが、いつか現実にマイノリティの方に出会ったときに「何か自分と違う」っていきなり彼/彼女を否定しまうのではなく、「そういえばどっかのマンガでなんか似た感じの登場人物がいったけな」というぐらいの気持ちで接しやすくなる、そんな風になったらいいな、というのがこの作品に込めた私の密かな願いでした。
作品の外でこんなこと語るのはマンガ描きとしてちょっと恥ずかしいですけどね。
さらに付け加えるならもうひとつ。
作者という立場からすると、企業としてリスクを冒しがたい立場は理解できるものの、講談社さんの判断は守りに入りすぎているんじゃないかと思っています。
しかし作者という立場から一歩引いた立場にで考えると、講談社さんが萎縮する事にも同情的な気持ちにもなってきています。
というのは最近、特に渋谷区が同棲カップルをサポートする条例を出して以降、性的マイノリティに関わる言説が過激になってきているようなそんな空気を感じるからです。
先週渋谷区で同棲カップル支援を批判するデモがあったと聞いて驚きました。
批判的な考えの人がいることは判っていましたが、デモという行動をとるほどに拒絶感が強いのか、と。
性的マイノリティへの世間の理解は確実に進んでいると感じるのですが、同時にこれに関わる対立も深く、対立と共に支援する人も、反発する人も発する言葉が強くなっている気がします。
編集さんの一人は「タイミングが悪かった」とも仰ってました。
こんな空気の中では、出版社もこの話題に安易に触れることは危険だ、関わらないでおこうという判断も出てきてしまうのかなあ…と。
せっかく性的マイノリティへの理解が進んできたのに、一転して腫れ物扱いされてしまうようになってしまったら不幸でしかないな…と心配もしてしまうのです。
そんなのは杞憂ですんでくれたら良いのですけれど。
既に出版されてる作品で境界のないセカイよりこの表現大丈夫なの?って作品はあると思いますがなんとも残念でなりません。
ただ不人気じゃないことは読者なら皆分かっているでしょうし問題の部分を訂正すれば必ず他の出版社が声をかけると思います。
啓ちゃんたちにいつ会えるか分かりませんがまた連載再開が決まったら絶対読みます。単行本が発売すれば絶対最終巻まで買います。
なのでこの先のネームを貯めて早い内に復活することを願います。
わたしも講談社で仕事をしていたりもするので内情は知ってますが、「週刊現代」を出している出版社の人間がどの口で言うのかと。
なんか別の理由があるんだと思いますよ。
最近はヤングジャンプが性的マイノリティ作品に非常に積極的です。
少しコネクションありますが、お声が消しましょうか?