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【戦後70年~大空襲・証言(6)】「このままでは死んでしまう!」びしょ濡れの布団かぶり火の粉の中へ「火だるまになって倒れる人も…」吉田昭子さん(78)=東京都府中市在住

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【戦後70年~大空襲・証言(6)】
「このままでは死んでしまう!」びしょ濡れの布団かぶり火の粉の中へ「火だるまになって倒れる人も…」吉田昭子さん(78)=東京都府中市在住

昭和20年5月25日深夜にあった「山の手大空襲」の記憶を語る吉田昭子さん=2月5日、東京都府中市(石井那納子撮影)

 父は学のある人だったけれど、非常事態を生き抜く能力はいまひとつだったわね。ヤミ米だとか、ヤミ屋が「どうだ買わないか」と持ってくるような食べ物にも極力手を出さない、高潔な人っていったら聞こえは良いけれど…。

 実際、近所には「ヤミの食べ物は絶対に食べない」という厳格な家庭があって、一家みんなが餓死したケースもあったのよ。

 きれい事を言っていたら生きていけない時代だったでしょう。わが家の子供たちが飢えることなく生き延びられたのは、つくづく母のおかげだわ。家族一緒に支え合っていたからどんなに苦しい時代も乗り越えることができた。そう考えると、子供たちを疎開をさせなかった父の方針も間違っていなかったし、弟と私を守ってくれた兄もさすがだなって、家族を誇りに思えるのよ。

 先の大戦から70年という節目の年を迎え、産経新聞社会部は引き続き、後世に伝える戦争体験者の「声」を集めています。遠い戦地に赴き生還された方、戦争で大切な人を失った方、戦火を避けるため疎開生活をされた方、戦中戦後の苦しい生活などの体験談や情報、写真など語り継ぐべき「声」をお寄せください。

 宛先は〒100-8077(住所不要)産経新聞社会部「声」係。FAXは03・3275・8750。Eメールはnews@sankei.co.jp

 お寄せいただいた「声」をもとに、記者が取材に伺うこともあります。

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