自衛隊:国連決議なくも派遣 人道支援要件拡大…政府提示

毎日新聞 2015年03月13日 11時45分(最終更新 03月13日 12時59分)

 政府は13日午前、安全保障法制に関する与党協議会で、昨年7月の閣議決定を受けた関連法案の枠組みを示した。国連平和維持活動(PKO)以外での自衛隊の人道復興支援活動はPKO法改正で対応。PKO派遣の要件を定めた現在の「PKO参加5原則」に準じた5原則を新設し、国連決議がなくても、国際機関や地域的機関の要請などで派遣を可能にする。自衛隊の海外派遣の要件が拡大する。自民、公明両党は20日の合意を目指す。

 現行のPKO参加5原則は、(1)停戦合意が成立(2)紛争当事者が日本の国連平和維持隊への参加に同意(3)国連平和維持隊が中立的立場を厳守(4)基本方針が満たされない場合は撤収できる(5)武器使用は生命の防護のための必要最小限を基本−−で構成されている。

 今回のPKO法改正では、まず、PKOへ参加する場合の5原則について、(5)の武器使用権限に「業務遂行にあたり『自己保存型』などを超える武器使用が可能」と加え、停戦監視など治安維持活動をできるよう拡大する。

 さらに、PKO以外の人道復興支援については、PKO参加5原則のうち、「国連平和維持隊」を「当該ミッション」と置き換えた5原則を別途策定。派遣の要件として、国連決議や「国際機関、地域的機関の要請」に基づく活動のほか、「領域国の要請がある活動で、(安全保障理事会など)国連主要機関が支持または称賛する場合」も可能とした。

 治安維持活動を行う際には、国会の事前承認を義務づけるが、それ以外の人道復興支援活動の際の事前承認は不要とする。

 一方、国際紛争時に他国を後方支援するための自衛隊派遣の恒久法では、現に戦闘行為を行っている現場では支援活動をしない▽領域国の政府などの同意がある▽これらが満たされない状況となった場合は撤収する−−とした。

 後方支援の内容は、燃料などの補給、輸送のほか弾薬の提供も盛り込み、武器の提供は除外した。戦闘での遭難者の捜索・救助も可能とした。救助では活動場所が「現に戦闘行為を行っている現場」となった場合も継続が許容される場合があるとした。【飼手勇介、宮島寛】

◆PKO以外の人道復興支援活動

<新5原則>

(1)紛争当事国間の停戦合意

(2)紛争当事国が当該ミッションへの日本の参加に同意

(3)当該ミッションが、特定の紛争当事国に偏ることなく、中立的立場を厳守

(4)基本方針((1)〜(3))が満たされない場合は撤収

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