イギリスの森で「妖精の家」が急増…立ち退きを迫られる事態も

2015年03月14日 07時09分

2015年03月14日 23時45分

flickr_WatcherInTheWoods
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西洋の子どもたちにとって、妖精は身近な存在。多くの子どもたちが森には妖精が住んでいると信じており、妖精たちのために木に扉を取りつけ、「家」を作ってあげるのだ。

そして、扉の中に妖精宛ての手紙やオモチャを入れておいたりする。森でこんな妖精の家を目にしたら、それはたしかに微笑ましい光景かもしれない。



しかし、英イングランド南西部サマセットシャーの森、Wayford Woods(ウェイフォード・ウッズ)では、妖精の家が増えすぎてしまい、”立ち退き”を余儀なくされる事態も起きている。

この森は、16世紀エリザベス朝時代の建物が残る荘園の一部だが、誰でも入って散歩をすることができる。森の管理を委託されているSteven Acremanさんによると、2000年ごろから、子どもたちがウェイフォード・ウッズの木に妖精の扉を取りつけるようになった。そうすれば、妖精たちがこの森に”引っ越して”くることができるからだ。

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その後、扉はどんどん増えていき、ウェイフォード・ウッズは「妖精の森」として知られるようになった。今では200個近い扉が取りつけられている。1本の木に扉が10個もついていたり、木の周りに小さなブランコや滑り台など、遊び場まで作ってあったりするケースもあるのだとか。

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ただ、中にはベニア板を張り付けただけだったり、扉に派手な色が塗ってあったり、プラスチックの飾りがついていたり、ラメ(妖精の粉)がふりかけてあったり、と、森の美観を損ねると言わざるを得ない家も多々あり、やむを得ず”立ち退いて”もらったものもあるそうだ。

しかし、自分が取りつけた扉がなくなっていれば、子どもたちはショックを受けるし、そのことでクレームが来ることもあり、Acremanさんは頭を抱えている。

「わたしは妖精反対派ではありません」としながらも、「このまま放置すれば、収拾がつかなくなります。”妖精の管理”が必要でしょう」と述べている。

積極的に扉を取りはずすことはできればしたくない、扉をつける場合はせめて”品質管理”をしてほしいという複雑な心境のようだ。

Acremanさんたちの措置や考え方に対して、「自然は自然のまま楽しむべき」「木にネジを差し込んだりむのは、やっぱりよくないでしょう」と、理解を示す意見ももちろんある。

しかし、「子どもの想像力をこわすことはしないで」「大人にも魔法やファンタジーは必要でしょう」「ウェイフォードの妖精は荷物をまとめて出ていかなきゃいけないみたい」「あそこでは歓迎されてないんだな」と、妖精に同情的な声のほうが多い印象だ。そして「みんな、これからは”美しいおうち”を作るようにして」と呼びかける人も。

はたして、森の妖精の運命やいかに。