イギリスの森で「妖精の家」が急増…立ち退きを迫られる事態も
西洋の子どもたちにとって、妖精は身近な存在。多くの子どもたちが森には妖精が住んでいると信じており、妖精たちのために木に扉を取りつけ、「家」を作ってあげるのだ。
そして、扉の中に妖精宛ての手紙やオモチャを入れておいたりする。森でこんな妖精の家を目にしたら、それはたしかに微笑ましい光景かもしれない。
A fairy door I found in the woods. pic.twitter.com/kvlI4UzBhO
— Jake Birkett (@GreyAlien) 2013, 5月 27
Here are some more of the tiny doors in the Somerset woods of Wayford!! Very unusual.. Apparently fairies live in them pic.twitter.com/2V1Mgmau
— Tom EatYourOwnEars (@EatYourOwnEars) 2012, 12月 30
Cut little fairy doors in the trees at wayford woods : ) pic.twitter.com/9uXJcycpJg
— cressie graef (@cressiegraef) 2013, 2月 23
しかし、英イングランド南西部サマセットシャーの森、Wayford Woods(ウェイフォード・ウッズ)では、妖精の家が増えすぎてしまい、”立ち退き”を余儀なくされる事態も起きている。
この森は、16世紀エリザベス朝時代の建物が残る荘園の一部だが、誰でも入って散歩をすることができる。森の管理を委託されているSteven Acremanさんによると、2000年ごろから、子どもたちがウェイフォード・ウッズの木に妖精の扉を取りつけるようになった。そうすれば、妖精たちがこの森に”引っ越して”くることができるからだ。
その後、扉はどんどん増えていき、ウェイフォード・ウッズは「妖精の森」として知られるようになった。今では200個近い扉が取りつけられている。1本の木に扉が10個もついていたり、木の周りに小さなブランコや滑り台など、遊び場まで作ってあったりするケースもあるのだとか。
ただ、中にはベニア板を張り付けただけだったり、扉に派手な色が塗ってあったり、プラスチックの飾りがついていたり、ラメ(妖精の粉)がふりかけてあったり、と、森の美観を損ねると言わざるを得ない家も多々あり、やむを得ず”立ち退いて”もらったものもあるそうだ。
しかし、自分が取りつけた扉がなくなっていれば、子どもたちはショックを受けるし、そのことでクレームが来ることもあり、Acremanさんは頭を抱えている。
「わたしは妖精反対派ではありません」としながらも、「このまま放置すれば、収拾がつかなくなります。”妖精の管理”が必要でしょう」と述べている。
積極的に扉を取りはずすことはできればしたくない、扉をつける場合はせめて”品質管理”をしてほしいという複雑な心境のようだ。
Acremanさんたちの措置や考え方に対して、「自然は自然のまま楽しむべき」「木にネジを差し込んだりむのは、やっぱりよくないでしょう」と、理解を示す意見ももちろんある。
しかし、「子どもの想像力をこわすことはしないで」「大人にも魔法やファンタジーは必要でしょう」「ウェイフォードの妖精は荷物をまとめて出ていかなきゃいけないみたい」「あそこでは歓迎されてないんだな」と、妖精に同情的な声のほうが多い印象だ。そして「みんな、これからは”美しいおうち”を作るようにして」と呼びかける人も。
はたして、森の妖精の運命やいかに。
- 出典元:A forest in England is banning fairy doors - Mashable(3/5)