勝山市の環境保全推進コーディネーターを務める前園泰徳さん(40)は、小中学校で環境の授業を手伝うだけでなく、同市の豊かな自然を舞台に野外調査の面白さを知り、成果を情報発信する大切さを考えてもらう活動をしてきた。これまでの取り組みを聞いた。
――生き物に関わるようになった原点は。
高校の生物の先生がしょっちゅう野外調査に連れて行ってくれました。千葉の公立高校に通っていたのですが、制服がない自由な校風で、ショウジョウバエの飼育・研究など大学レベルのこともしました。そういった環境で生物のおもしろさに触れました。
――以前は奄美大島で環境教育をされていました。勝山市に移ったきっかけは。
大学の研究が終わったら帰るはずだった奄美大島で、自然が簡単に失われていくのを目にしました。地元の人が貴重さを知らなければ、すぐに島の自然が失われる危機感から、奄美大島の龍郷町で環境教育の専門職を2006年から一昨年まで続けました。
その職が急に終わることになったのですが、たまたま環境教育学会で知り合った勝山市教委から講演を依頼されたのがきっかけで、仕事も決めて頂きました。
――勝山市の自然の魅力は。
奄美では当時、日本で唯一、行政が配置した環境教育専門職員と言われました。「自然豊かな奄美だからうまくいった」と言われますが、勝山にもかつての日本らしい景色と生き物がセットで残っています。オオタカやカモシカ、ゲンジボタルが人里近くで見られ、驚きました。
――普段はどんな活動を。
平日は小中学校を訪ね、担任の先生と一緒に環境の授業を手伝っています。一般的な環境教育以外に、子どもにパソコンの扱いやプレゼンテーション(人前での発表)方法を身につけさせることを重視しています。その一番良い材料が、勝山の身近な自然なんです。