大江健三郎氏「慰安婦問題は日本の女性軽視が原因」

小説『水死』の韓国語版出版に合わせ来韓

大江健三郎氏「慰安婦問題は日本の女性軽視が原因」

 「私の小説『水死』のテーマは父親の死だ。私は小説の中の父親を通じ、天皇制イデオロギーにはまった全体主義の日本の大人たちを描こうとした」

 1994年にノーベル文学賞を受賞した作家の大江健三郎氏(80)が13日、小説『水死』の韓国語版の出版を記念して、ソウル・弘大前のブックカフェで記者懇談会を行った。『水死』は2009年に発表した長編小説で、天皇主義者の「父親」が、皇居に対する自爆攻撃を実行しようとするものの、目的を果たせず溺死するという内容だ。「小説の中の『父親』は、敗戦が必至となる中で『天皇と共に死のう』と考えた。天皇の死によって敗戦を早める方がましだと。これはそれまでの日本の滅亡を意味する」。

 大江氏はこの小説を通じ、日本社会の女性差別が慰安婦問題の原因になったと主張した。「女性の軽視は『暴力的な男性のような天皇絶対主義』が戦後も依然として残っているからだ。国家のためには女性を犠牲にしてもよいという考えが従軍慰安婦を生んだ。日本の女性だけでなく、植民地の女性までも動員された。日本政府が十分な謝罪をしたとは考えられない。国家が謝罪、賠償しなければならない。それを否定するのは、日本が依然として女性を無視しているからだ。日本国民の罪意識は強い。日本が女性への暴力を正当化してきた後進性を認めるべきだ」。

朴海鉉(パク・ヘヒョン)文学専門記者
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