政府は16日、社会保障と税の共通番号(マイナンバー)の利用範囲を示した。銀行の預金口座に共通番号の付与を促し、税務調査などに活用するだけでなく、医療分野での利用も始める。ただ、日本医師会などの反発を踏まえ、当初は、予防接種情報など対象範囲を一部にとどめる方針だ。
16日のマイナンバー等分科会で、今国会に提出するマイナンバー法改正案の概要を示した。
第1の柱は、銀行預金へのマイナンバーの付与だ。ひとりの人が持つ複数の銀行口座を名寄せできるようにする。ペイオフ時の預金の払い戻しに役立てるほか、生活保護を受けている人や社会保険料の未納者の資金力の調査や税務調査の効率を高めるねらいだ。
2018年から、銀行に口座開設の申請用紙にマイナンバーを記入する欄を作ってもらい、預金者が登録する仕組みとする。既存口座の預金者に対しても、郵送などで登録を促す。
登録はいずれも任意で強制力はない。必要に応じて、3年後の21年をめどに義務化を検討することも明記した。
医療分野での活用範囲を広げるのが第2の柱だ。現行法で認められているのは、保険料の徴収などに限られているが、乳幼児が受けた予防接種や成人のメタボ健診など一部の医療情報への付番を可能にする。
病院での診療記録全般に活用できれば、医療費の削減につながるとされるが、慎重論が根強いため今回は一部にとどめ、今後の検討課題とする。
マイナンバーは10月から日本に住むすべての人に市町村が12桁の番号を通知し、16年から運用を始める。政府はマイナンバーの普及を目指し、サービスの拡充を打ち出している。電気やガスなどの引っ越し時の手続きをネット上でできるサービスも提供する。