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各国から寄せ集めて観光気分 侍J苦しめた「欧州代表」の実態

日刊ゲンダイ 3月11日(水)12時17分配信

「ヨーロッパには各国にリーグがあって、それぞれに交流があるわけではない。欧州代表といっても、ボクも母国でプレーしている選手以外はよく知らないんだ。今回、初めて話をする選手もいるくらいだから」

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 イタリア人メンバーの一人として、10日の侍ジャパンとの強化試合に臨んだ欧州代表のマエストリ(29=オリックス)が苦笑いを浮かべてこう言った。

「そもそも今回の強化試合は当初、キューバ代表が相手だった。が、先方の都合で白紙となり、困ったNPBが苦肉の策で呼んだのが欧州代表。欧州代表なんてものは存在せず、各国の寄せ集め集団というのが実態です。12球団の首脳陣からは、そんなものが強化試合といえるのか、そんな試合に開幕前の大事な時期の主力選手を日本代表として派遣する意味があるのか、と大ブーイングでした」(マスコミ関係者)

 名ばかりの「欧州代表」だから、そのメンバーも推して知るべし。イタリアリーグのボローニャでプレーするバリオ(26)はこう言った。

「ボクは普段、トレーニングジムなどで働きながら野球をしている。ボク以外にもオフの間は工場で袋づめをしている選手や建設現場で働いている選手もいる。みな、メジャーや日本ではプレーできないことは分かっている。だから、この機会に日本を楽しみたいと思って来たんだ」

 観光気分。実際、オランダから来日した選手数人は3日の来日以降、たびたび銀座や六本木、渋谷に出没しては夜の東京を満喫しているそうで、イタリアの一部選手も「シブヤが気に入った。エキサイティングだね」と満足そうだ。

 打線の中軸を担ったスミス(28=オランダ)、マルティネス(26=スペイン)、サムス(28=オランダ)の3人は野球で飯を食っている「プロ」だが、こちらは日本へ「就職活動」にやってきた。3番に入ったスミスは試合前にこう言っていた。

「日本相手にいいプレーをすれば、日本のチームがボクらを獲得してくれるかもしれないだろ。ボクを含めて中軸の2人は過去にメジャーやマイナーでプレーした経験があるし、日本のレベルでもやれると信じている。一本でも多くヒットを打ってアピールしたい。チームとして試合に勝つのは……難しいだろうからね(笑い)」

 そんな相手にしかし、侍ジャパンは大苦戦。七回まで1−3とリードを許し、スタンドのため息を誘った。ようやく八回裏に5番・筒香(DeNA)、6番・松田(ソフトバンク)の連続適時打で同点とし、7番・雄平(ヤクルト)の中前打で勝ち越し。4−3で辛勝したが、情けないにもほどがある。

最終更新:3月11日(水)12時17分

日刊ゲンダイ