■続く低成長とデフレ懸念
昨年第4四半期(10-12月)の経済成長率は、前四半期比でわずか0.4%だった。韓銀の当初予想(1%前後)には遠く及ばなかった。
今年も入っても状況は好転しなかった。1月の全産業生産指数は前月比で1.7%減少した。特に鉱工業生産指数の下落幅(3.7%下落)は2008年の世界的な金融危機以降で最大だった。韓国経済を支えてきた輸出もマイナスに転落した。2月の消費者物価上昇率が0.5%にとどまったことも韓銀の利下げを促した。今年初めにたばこが値上げされた効果を除けば、2月の消費者物価は過去初めてのマイナス(0.06%下落)だった。
韓銀金融通貨委は利下げを発表した決定文で、「今後韓国経済は緩やかな回復を示すとみられるが、当初予想した成長を下回るとみられる」と指摘した。これは今年1、2月の決定文には盛り込まれなかった文言だ。景気低迷の泥沼が深まっていると韓銀が判断した格好だ。李総裁は「内需回復の兆しは微弱だ」と述べた。
■家計債務の増加懸念
韓銀は政策金利を昨年10月以来据え置いた理由である家計債務の急増について、「政府と協力し、家計債務の管理を強化していく」と説明した。現在総額1089兆ウォン(約117兆円)に達している家計債務が今回の利下げでさらに膨らむ事態に備えるとはしているが、具体的な対策は示されなかった。家計債務の急増は、チェ副首相が不動産市場を活性化させるため、住宅ローンの融資掛目(LTV)、返済比率(DTI)を昨年緩和したことが引き金になった側面がある。このため、韓銀は政府が対策を示すべきだと主張している。李総裁は「韓銀と財政当局、金融当局が共に解決に当たるべきだ」と述べ、企画財政部と金融委員会がそれぞれ役割を果たすことを要求した。
韓銀は同日、企画財政部、国土交通部、金融委員会、金融監督院と共に、家計債務の現状と認識を共有し、安定的な管理方向を検討するため「家計債務管理協議体」を設置することも明らかにした。