■民間の保険はどの程度必要なのか、5つのポイントで検証(生命保険・医療保険・学資保険・火災保険など)

保険は、それについて無知なまま加入してしまうと、かなり「ぼったくられる」余地の大きい金融商品です。

しかし、多くの人がよく分からないままに金銭的に合理的な判断をしまま、「愛情」だの「思いやり」だの「お守り」だのと、抽象的な言葉にダマされて大金をつぎ込んでいることが多いようです。

保険会社の社員も自社商品のことしか知らない場合が多く、自社の商品は素晴らしいものだと洗脳されていることが少なくないので、買い手はキチンと勉強して合理的な判断を下す必要があります。

主な保険について、私見を簡単にまとめてみます。



◎生命保険

自分が死んだときに、残された家族が困らないようするための保険です。

独身者や結婚していても配偶者に稼ぐ力があるなら不要です。しかし、たいした金融資産を持たず、子供がいる場合などは、ほぼ必ず必要になるでしょう。

子供が独立するまでに必要な費用は大金になるので、生命保険で確保するしかありません。ただし、自分の死後、残された家族が受け取ることのできる「遺族年金」なども調べたうえで、必要額を計算すべきです。

「死んだら、○○○○万円もらえる」というようなシンプルな「定期保険」、もしくはさらに合理的で保険料の安い「死んだら、子供が○○歳になるまで、毎月○○万円もらえる」というような「収入保障保険(逓減型定期保険)」がいいと思います。ゴチャゴチャした特約はムダなので一切不要でしょう。

貯蓄も兼ねる「終身保険」は、自分で資産運用ができる人には不要です。手数料が高くて運用効率が悪すぎます。同じ理由から「個人年金」も不要だと思っています。税制メリットを享受したいなら、「確定拠出年金」の方がはるかにお得です。

「掛け捨て」ではない保険の中にも必ず「掛け捨て」部分はあります。そして、「掛け捨て」以外の貯蓄部分の受け取り保険金は、保険会社の倒産時には、半分以下になってしまうケースもあります。保険会社に資産運用を任せてはダメです。

(必読記事→マネープランの重要性



◎医療保険

長期入院や手術に備える保険です。

数百万円程度の貯蓄がある場合には基本的に不要で、「お守り」として加入するにしても最低限度にすべきでしょう。

医療保険は、想定しうる最大の不幸でどれだけもらえるのか。そして、そのためにいくら支払うのかを冷静に考えて判断するべきだと思っています。

生涯に何度も何度も長期入院を繰り返して、その結果たかだか100~200万円程度をゲットするために毎月数千円、トータルで100~200万円以上支払うのは、なんだかアホらしいですよね(通常の医療保険には、入院日数に制限あり)。

既に数百万円程度の貯蓄がある人は、それが保険料なしの万能保険になるでしょう。医療保険に支払う予定だったお金をよけておき、それをいざというときに使うようにすれば、かなりの高確率で医療保険への支払額より安く済むはずです。

診断時に大きな一時金があったり、入院日数が無制限だったりする「がん保険」のような医療保険であれば、そこそこの保険効果はあると思いますが、それにしても本当に必要なのかどうかは微妙なラインでしょう。

日本の公的医療保険はかなり充実していて、高額療養費以外にも、各種健康保険組合などで「月々○万円以上の支払いは全額組合で負担する」などの補助(一部負担金払戻金・療養費付加金など)があったりするので、医療保険を検討する前に、まずはそういうものをしっかり調べる必要があると思います。

(参考記事→健康保険とは


※生命保険や医療保険は、外資系や損保系の会社だと保険料が安いことがあるのですが、古くから日本にある大手生命保険会社だと、やたらと高い場合が多いです。バブル期に高い利回りを約束してしまったいわゆる「逆ザヤ」の影響が大きいのでしょう。大手生命保険会社の保険商品を選んでしまうと、その「逆ザヤの穴埋め」のために保険料を支払うことになってしまうかも。。。

検討に際しては、必ず数社の見積もりをとることをオススメします。また、ネット生保は比較的保険料が割安ですが、必ずしも最安とは限りません。





◎学資保険

子供の教育費に備える貯蓄型の保険です。私は利用していません。

「絶対にやめておけ!」というほどのものではありませんが、自分で資産運用ができる人には不要でしょう。

長期間に渡って利率が固定されてしまうので、インフレや市場金利の上昇時に大きく負ける可能性があり、そのくせ、約束された利率もたいしたことはありません。金融商品としてのコストもよく分からないし、保険会社の信用リスク(倒産とかの可能性)も負うことになります。


※「掛け捨てタイプ」のような保険は、保険会社が倒産してもその保障がほぼそのまま他社に引き継がれる可能性が高いですが、「掛け捨てではない貯蓄タイプ」の保険だと、保険会社の倒産と共に大きく減額されるケースもあります(倒産の可能性そのものはここでは論じませんが、過去の事例でもそのようになっています)。



◎保険に対する基本的な考え

私は基本的に、保険とは「個人の貯蓄では対応しきれないような大きな出費」に備えるべきものだという認識でいます。

極端な話をすれば、虫歯になったときに1000円がもらえる保険に、毎月10円支払う保険とかって意味あるの?ってことです。

「10円は安いけど、1000円もらってどうするの?気持ち良くなるだけ??」といえば、意味が通じるでしょうか。

ただ、そのような合理的な考えは、この保険大国・日本では一般的ではないことも事実なので、実は私も家族や親戚への手前、不要とは思いながらも、がん診断時の一時金等があるような医療保険に加入していたりするんですが・・(苦笑)

それでも、我が家で加入しているすべての生命保険と医療保険の合計保険料は、ひと月あたり1万円未満です。子供たちが独立するまでに必要と思われる保障を確保した私の生命保険(収入保障タイプ)と医療保険、あとは妻の医療保険だけです。
(それなりの金融資産もできてきたので、医療保険はそろそろ解約してもいいかなぁ、と考えているところです。)


そして、お金の運用に関しては、わざわざ高額な手数料を保険会社に支払って、その社員に家族を養わせたり、株主を喜ばせたり、各種事務費用等を負担したりせずに、自分で直接シンプルに運用した方がはるかに合理的だと考えています。ちなみに私はインデックス投資で資産形成を行っています。

(参考記事→インデックス投資とは



◎その他、損害保険(火災・地震・自動車・個人賠償責任・・)

これまでに書いてきたような保険への考えは、その他の損害保険を検討する場合にも同じことです。

具体的には、賃貸住まいなら借家人賠償保険、持ち家なら火災保険と地震保険、自動車を所有しているなら自動車任意保険などに加入する必要はあるでしょう。


保障と保険料のバランスの考え方も、基本的には生命保険と同じです。

貯蓄では対応できないよう大きな出費に備える必要があるので、例えば、自動車任意保険の対人賠償・対物賠償などの金額は無制限に設定するべきだと思います。

ちなみに損保の保険料も、ネット系の損害保険会社は安いですが、必ずしも最安とは限らず、外資系の方が安い場合もあります。国内大手損害保険会社の保険料が高いのは、生保と同じです。


そして、最後に、

個人賠償責任保険には絶対加入しとけ!

と言って、今回の記事を締めたいと思います。


個人賠償責任保険とは、日常生活の賠償責任を補償してくれる保険です。似たような名称で自動車保険や火災保険の特約などで付帯されていることが多いので、気づかないうちに加入していることも多いのですが、保険料が安いわりに、そのパワーは絶大です。数百円程度で数億円の補償を確保できたりします(保険料が安いので、私は他の保険の特約として付帯させています)。

誤って他人の高価なものを壊してしまったり、自転車で他人に怪我をさせてしまったときになどに効果を発揮します。しかも通常は、家族全員カバーされます。

私の親は、悪ガキだった私や私の弟を育てている中で、「何度もこの保険に救われた」と感慨深く述懐していました。

私が近所の住宅の窓ガラスを割ったり、誤って他人に怪我をさせる度に、この保険に助けられたそうです。私の弟は、街中で競輪選手と接触事故を起こし、その選手のレース用自転車(ブレーキなし)の超高額修理費用を請求されました。そんな自転車で街中を走るんじゃねぇ!とも思いましたが、我が家が個人賠償責任保険に加入していたお陰で、その競輪選手がその後オリンピックでメダルを獲得したとき、笑い話にすることができました。

(参考記事→私のいたずら武勇伝


まぁ、保険に関しても、最終的には各人の価値観や想定によって好きにすればいいのですが、その周辺知識はないよりもあったほうがいいですよね。






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プロフィール

虫とり小僧

Author:虫とり小僧


自分の全資産を「円」のみで保有していること(何もしないこと)は、それなりのリスクを伴う集中投資に近いものだと解釈して、私は購買力維持や資産形成を目的に、資産の一部を世界中の株式や債券などの保有にあてています。

約10年前から、なるべく手間とコストをかけずに実践している投資方法を、いつか我が子に伝えるかもしれないので、そのための備忘録を書いておくことにしました。

投資の実践といっても、ひと月に一度の自動積立と、たまにやるリバランスくらいですが…

[参考→インデックス投資とは]

Twitter:@mushitori
Facebook:Facebookページ


※好きなものは、歴史・格闘技(実践も観戦も)・筋トレなど。

※メディア掲載(出演)履歴
某大手テレビ局:2014年夏?
日経マネー:2013年10月号
日経新聞:2013年7月3日
NHK特報首都圏:2011年3月

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