花咲港:流氷で出漁できず…巡視船、砕氷断念 北海道根室

毎日新聞 2015年03月13日 23時48分(最終更新 03月14日 00時15分)

船体の損傷を防ぐため、押し寄せた流氷をクレーンに付けた重りで砕く漁業者=北海道根室市花咲港で2015年3月13日午後2時4分、本間浩昭撮影
船体の損傷を防ぐため、押し寄せた流氷をクレーンに付けた重りで砕く漁業者=北海道根室市花咲港で2015年3月13日午後2時4分、本間浩昭撮影
花咲港
花咲港

 「不凍港」として知られる北海道根室市の花咲港に大量の流氷が押し寄せ、漁船の出入りができなくなっている。市場では13日も競りができず、9日から異例の5日連続休市に。市の要請を受けた根室海上保安部は砕氷型巡視船を出動させ航路確保を目指したが、重なり合った流氷がたちまち開氷面を埋めてしまい、約30分で作業を中止した。

 ◇異例の5日連続休市

 「港にこんなにびっしり氷が入ったのは初めて。出漁したいのはやまやまだが、こればかりはどうしようもない」。毛ガニ漁を営む佐藤洋一さん(64)=同市花咲港=は嘆く。

 オホーツク海の流氷は根室海峡を南下して根室半島に到達し、5日に「流氷接岸初日」を迎えた。平年より15日遅かったが、9日からは太平洋側に面した花咲港が一面流氷で埋まり、漁船の出入りもできない状態に陥った。

 元根室測候所職員の船山岩雄さん(69)によると、太平洋に出た流氷は、通常ならば潮流の関係で南西方向に流れる。しかし、今年は南寄りの風が続き、さらに今週、釧路から網走へ抜けた低気圧の影響で南〜南西寄りの強風にあおられ、根室半島に押し戻されたとみられるという。

 流氷が港に押し寄せると、FRP(ガラス強化プラスチック)製の漁船は損傷しかねない。このため、漁船のクレーンから鋼鉄の重りを周囲に落とし氷を割る漁業者もいる。根室海保によると、砕氷型巡視船が出動したのは2013年3月以来。海保の竹内行広部長は「開氷面がすぐ埋まってしまうほど密集度が高い」と限界を語る。

 太平洋側に面した近隣の落石漁港や歯舞漁港も流氷でびっしり覆われ、流氷を避けて別の漁港に漁船を移す漁業者もいる。今後の見通しについて船山さんは「強い北風が吹けば流氷が港から抜ける可能性があるが、週間予報では次の低気圧の接近は18日から19日にかけて。解消には時間がかかりそうだ」と話す。【本間浩昭】

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