
少し前に米アップルが自動車業界に参入するのでは、という噂がネット上で流れました。ネットメディアや有識者のブログでは、自動車産業の特殊性から、現実的にアップルの業界参入は難しいのではないか、という意見が多数を占めていましたが、私は可能性はゼロではないと思っています。たとえばフィスカーモーターズのような新興メーカーとのジョイントベンチャーなら不可能ではない、と思います。つまり、クルマの基本構造はフィスカーが担当、GUIやインテリアデザイン、マーケティングはアップルが担当、といった具合です。
クルマの技術的進歩は止まる所を知らず、環境性能と走行性能の両立はかなりの所まで進んでいます。一方、他業界に比べて圧倒的に立ち遅れていると感じるのがGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェイス)です。国産車にせよ、輸入車にせよ、純正にせよ、社外にせよ、ナビゲーションを含むインフォテインメントシステムは、アップルやアンドロイド端末に使い慣れた現代人にとっては極めて使い勝手の悪い代物となってしまっています。ディスプレイの粗さもさることながら、動きのサクサク感(ヌルヌル感)は皆無、ほとんどのモノが直観的には操作出来ず、一々分厚いマニュアルと格闘しなくてはなりません。
これだけスマホやタブレットが浸透しているにも関わらず、クルマのGUIがここまで旧態依然としているのは違和感すら覚えます。クルマのGUIなんてこんなモン、と作り手側もユーザー側も諦めている感すらあります。クルマの走行性能がどうの、というのは我々のようなエンスージアストにとっては一大事ですが、一般のユーザー、とりわけ若者にとってはむしろGUIの使い勝手の方がアピールするのではないか、という気がします。アップルが今後自動車業界に参入するかどうかは未知数ですが、もし参入したら惨々たる現状を打破して、iPhoneが携帯業界もたらしてくれたようなパラダイムシフトを期待したい所です。
Posted at 2015/03/10 08:37:55 | |
自動車工学・理論 | クルマ