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「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.43


Fujifilm X-Trans CMOSのRAW現像対応 (X-M1 を含む)





文:湯浅立志
フォトグラファー
1961年群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオのカメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。写真関連の執筆多数。有限会社Y2代表。(社)日本広告写真家協会会員。


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「Capture One Pro 7」 39,900円
対応OS:Windows Vista/7/8
Mac OS X 10.6.8〜10.8.2

日本総代理店:DNPフォトルシオ
http://www.fotolusio.jp/business/
captureone/index.html

Phase One
http://www.phaseone.com/






まず、バージョンアップのお知らせから。

この原稿執筆直前にCaptureOne7がマイナーバージョンアップした。バージョンナンバーは7.1.5になる。

この前のバージョン7.1.4が一部のMacユーザーでバグが起きるという点があり、それのバグフィックスと、新しいOS、Macだと10.9、Windowsだと8.1に正式に対応したバージョンになる。

7.1.4のバグはサムネイルとビューアの表示が違うという、致命的なバグだった。かく言う僕も7.1.4にバージョンアップしてすぐこのバグに当たってしまい、そうそうにその前のバージョン7.1.3に戻した。いつものように情報が少ないので、自分の環境だけの問題なのか? アプリケーションのバグなのか?なかなか判断が付かなかった。Windowsの方はこのようなバグはなかったようで、さらに混乱してしまった。僕も仕事上で、C1を使わない日がないと言うくらいヘビーなユーザーなので、切に安定をお願いしたいと思う。

なお、7.1.5を使い始めてまだ日が浅い状態だが、今のところ、特にバグには当たっていない。僕だけなのかもしれないので、気をつけながらアップデートしていただきたいと思う。

今回はようやくアップデートした7.1.5なので、本来なら7.1.4で対応していたFujifilm X-M1のRAW現像対応について書いていきたい。

予備知識として、こちらのWebサイトを参照していただきたい。
X-Trans CMOS

最近、ミラーレス一眼が流行りだが、いつも持ち歩ける高性能なカメラと言うことで、この手のミラーレス一眼をお求めになる人も多いだろう。僕も女房用として、Fujifilm X-M1を発売後すぐに買った。購入の決め手になったのは、APS-CサイズでRAW記録できるもの。しかも、専用の現像ソフトを使わず、汎用の現像ソフトで現像できることを条件にセレクトした。

フジのX-Trans CMOSは特殊な構造の撮像素子なので、シグマのフォビオンのように自社現像ソフト以外では難しいのだろうか? という危惧もあったが、早い段階でCaptureOne7が対応してくれたのはありがたかった。

Xシリーズに関してはFUJIFILM X-Pro1が発売されて時間が経っているので、評判を見聞きしている方も多いだろう。良く言われるのは「カメラで撮ったままのJPEGがきれいなので、RAW現像はしなくてもいい」というような評価だ。

確かに自分で使ってみても、写真的にかなりきれいなJPEGが撮ったそのままで記録できている。それはそれで良いことなのだが、普段からRAW記録して、現像ソフトで調整することが当たり前になっている僕のような人間には、物足りないとしか思えない。もちろん、C1でJPEGを調整することもできるが、大幅な調整、たとえば色温度を極端に変えるなど、そういうことをすると、やはりRAW現像が欲しくなる。かと言って、せっかく手間暇掛けてRAW現像した結果、カメラ内で記録されたJPEGよりも画質が悪いのでは、わざわざRAW現像する意味もない。

本当にフジのXシリーズに関してはカメラ内生成のJPEGがベストなのか? 今回のC1 7.1.5で対応したバージョンになったので、そのあたりのことを検証してみた。


◀フジのX-Trans CMOSのRAW現像するにはいくつかの方法がある。

1つ目はカメラを買うと付属している「RAW FILE CONVERTER EX powered by SILKYPIX」

国産の現像ソフトであるシルキーピックスのX-Trans CMOSのRAW専用コンバーターだ。


◀次に画像ソフトの巨人、アドビのCamera RAW。これを元にしてLightroomでも、Photoshopにでもいける。

今回はCamera RAW 8.3 RCを使った。


◀そして、C1。

この3つの現像ソフト、そして撮影時に記録されたJPEGがどれだけ違うか?見てみよう。

なお、撮影はRAW+JPEGで記録している。画面はすべてクリックすると拡大画面が出る。


◀左がそれぞれの現像ソフトで現像したJPEGファイルをPhotoshop CCで開いて、並べて表示したもの。

現像ソフトの比較では常に問題になるのが、パラメータだが、デフォルト状態で現像している。シャープネスの掛かり具合がソフトによって、初期値が違うので、この結果がすべてではないが、比較検討としては十分だと考えている。

カメラ:Fujifilm X-M1

カメラの設定はホワイトバランス「太陽」、感度200、絞り優先モード F8.0 Standardカラー設定

レンズ:XC16-50mmF3.5-5.6 OIS

まず違うな~と思ったのは、青空の色。そして右のビルの壁面の色。ホワイトバランスが違ったのかと思うくらいの差になっている。C1が特別にこってりとした発色をする。カメラ内生成のJPEGはほどよい空の感じだと思う。このあたりの色の出し方が、フジのうまさなのだろう。

◀100%拡大して細部を見ていく。

まず真ん中部分。解像感はC1、カメラ内生成のJPEGが良い。他の2つは今ひとつと感じられる。


◀さらに拡大して200%。

アンテナの再現性を見ると、C1が一番良いのではないだろうか?


◀画角の左端を見てみる。

ここでの注目点は、C1だけ、写っている範囲が違う点だ。明らかにC1の画角が狭い。

なぜこんなことが起きてしまうのだろうか?


◀これはフジのXシリーズではレンズの収差や歪み補正をカメラ内でソフト的に行っているからだ。

C1がフジのX-Trans CMOSのRAW(拡張子RAF)を読み取ると、自動的にプロファイル補正を掛けるが、その初期設定が「From File」となっている。

僕の想像だが、RAFファイルに記録されている収差、歪み情報を読み取っているのではないか?と思う。

左がその画面だが、「ディストーション」が100%になっている。これは歪みを補正したと言うことだ。


◀そこで、プロファイルを他にしてみよう。

今のところ、C1ではフジのRAFに対してはこの3つの選択肢がある。


◀Genericプロファイルにすると、「ディストーション」も0%に設定し直される


◀同じRAWファイルを、左側は「Generic」プロファイルで、右側は初期設定の「From File」プロファイルで表示させてみた。

ここまで画角が変わると言うことに、かなり驚かされる。ズームレンズの広角側なので、焦点距離で数ミリ分くらいは違うのではないかと思うくらいの差だ。

ビルの形を見てみると、Genericプロファイルの方は湾曲している。

この歪みを取るために、画角がトリミングされてしまうのだ。


なお、すべてのレンズでここまで大規模に変わるわけではない。

左は単焦点レンズの「XF27mmF2.8」

プロファイルがどちらでも、それほどの変化はない。

つまり、そう言っては何だが、安いズームレンズなどでは、光学的に詰めて設計するよりも、後処理でソフト的に補完するという作り方になっているといえる。

これはなにもフジに限ったことではなく、ニコン、キヤノンでも同じように廉価なカメラ、レンズはそうなっている。

◀それではカメラ内生成のJPEGと、補正の掛かっていないGenericプロファイルとでは、どれだけ違うのか?見てみよう。

カメラ内生成のJPEGは、すでにレンズの歪み補正が掛かった完成状態と見てよいだろう。かたやC1でGenericプロファイルを使ったものは、まさに記録されたそのままの状態。


◀再び、各画像を比較してみよう。


◀まず、真ん中部分の樹木の葉だが、C1での現像が、もっとも葉の1枚1枚まで分離して見えると思う。


◀右端のビルの壁面タイル。

レンズの最も周辺になる部分だ。これもC1は優秀だと思う。


そして、左端。

写っている範囲の違いが如実に出る。

C1はディストーション調整でこの2枚の間くらいに調整する事も出来る。



今Xシリーズの場合、カメラでのJPEGが良いと信じられてきたが、C1を使うと、少し違った世界が見えてくるのではないか。そんな風に感じていただければ嬉しい。


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