はやぶさ2:打ち上げ100日 改良イオンエンジン順調に
2015年03月13日
昨年12月に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」が13日、打ち上げから100日を迎えた。打ち上げ直後の搭載機器の機能確認や、主エンジンのイオンエンジンの起動に成功し、計画に従ってエンジンを運転する巡航運転に入っている。今年11〜12月に地球の重力を利用して加速、軌道の方向を変える地球スイングバイを予定している。
はやぶさ2は、昨年12月3日に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。水や有機物が存在するとみられる小惑星「1999JU3」を目指し、2018年夏に到着後は衝突装置を使って小惑星表面に人工クレーター(くぼ地)を作り、内部からの物質採取に挑む。今月3日から、事前に立てた計画に沿ってイオンエンジンを稼働させ、予定の軌道を航行させる巡航運転を始めた。
初号機はやぶさは、早い段階でイオンエンジンや姿勢制御装置のトラブルに見舞われた。このため、はやぶさ2はイオンエンジンを改良し、姿勢制御装置は初号機よりも1台多い4台を載せている。さらに打ち上げ後は、初号機の教訓を生かし、使わなくても良い機器は温存しておく運用に取り組んでいる。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、A〜Dと4基あるイオンエンジンはすべて起動することを確認したうえで、最も調子が良いBの温存を決めた。姿勢制御装置も当面1台だけ使い、足りない分は太陽光が機体に与える圧力を利用して制御する。残り3台は、よりきめ細かな制御が必要な小惑星への接近の際に使うという。
JAXAの計画では、地球スイングバイに向けてイオンエンジンの連続運転を2回計画。運転時間は計600時間で、今月中に400時間の連続運転を終え、2回目の連続運転は6月上旬に予定している。この間に探査機を必要な速度に加速し、軌道を調節して地球スイングバイに備える。
はやぶさ2は13日午後2時現在、地球から距離3955万キロを秒速27.28キロで航行している。【永山悦子】