Updated: Tokyo  2015/03/14 00:25  |  New York  2015/03/13 11:25  |  London  2015/03/13 15:25
 

ドル建て日本株の成績向上、米国勢に焦りも-S&P500しのぐ

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  (ブルームバーグ):為替のボラティリティ(変動性)が落ち着いている中、ドルベースでみた日本株のパフォーマンスが上向いている。これまで本国株式相場の好調から日本株を軽んじてきた米国投資家の間では持たざるリスクを感じ、焦り始めている向きもいるようだ。

ドルベースのTOPIX は、昨年まで6年連続で米国株に対しアンダーパフォームしてきたが、ことしは8.2%上昇し、0.3%高の米S&P500種株価指数 をアウトパフォームする。アベノミクス相場で日本株が急騰した2013年でさえ、米国株のパフォーマンスが勝った。しかし、ことしの米国株は先進24カ国の中でギリシャ、シンガポールに次ぐワースト3位と低迷、グローバルポートフォリオの成績てこ入れのため、今後は好調な日本株に資金を振り向ける可能性がある。

1990年から日本株への投資経験を持つ英アルタスキャピタルのリチャード・ウィッタル氏(シンガポール在住)は、「ドルベースでTOPIXがS&P500指数をアウトパフォームしたのは長い期間で初めて。海外投資家は日本に興味を持つだろう」と言う。現状の日本株は海外勢と国内年金資金がそろって買い越し傾向で、「市場で売り手がいなくなる驚きの状況。われわれは日本に重点投資している」と述べた。

14年の投資部門別売買動向によると、海外投資家は日本株を6年連続で買い越したが、買越額は8527億円と過去最高の15兆円以上買った前年から急減。地域別では、アジアと欧州投資家が1兆1000億円買い越したのに対し、北米投資家は187億円の売り越し。海外勢はことし1月には8932億円 売り越し、うち5000億円以上が北米からの売りだった。

為替安定も再評価を後押し

一方、過去4週間で海外勢の動きは一転、日本株を現物とTOPIX先物、日経平均先物で2兆1500億円買い越した。2月中旬に発表された昨年10-12月期の国内総生産(GDP)が3四半期ぶりにプラス成長へ回帰し、1月貿易統計で輸出数量が前年比プラス11%と急増するなど、日本経済持ち直しへの期待感も浮上している。

LGTキャピタル・パートナーズのグローバルストラテジスト、熊田幹夫氏(香港在勤)は「為替が安定している中で日本株が良いパフォーマンスを示し、海外勢は日本株を無視することが難しくなった。これからもどんどん買ってくるだろう。それが日本株を上昇させる要因になる」とみている。

13年にTOPIXは51%上昇し、円は18%下落、14年のTOPIXは8.1%上昇、円は12%下げた。CLSAアジアパシフィック・マーケッツのクリストファー・ウッド氏は、「日本株をどう見るかは、昨年どう扱ったかによって変わる」とし、「為替をヘッジした投資家にとっては良かったが、全ての投資家がヘッジできるわけではない。そういう投資家は為替でひどい目にあった」と振り返る。

世界93の株価指数の年初来パフォーマンスをドルベースでみると、TOPIXの上昇率は先進国で最も大きい。一方、ドル・円相場の1カ月インプライド・ボラティリティは9.8%と、13年6月の17.4%に比べて低下している。

モルガン・スタンレーのアジア・新興市場戦略責任者、ジョナサン・ガーナー氏(香港在勤)は「海外勢は日本株を買っているが、まだアンダーウエート」と分析。企業業績はコンセンサスを上回り、「TOPIXは年末には1685ポイントまで上がるだろう」と予想した。日本株をアンダーウエートしている向きにとっては最近の上昇はプレッシャーになっており、「海外勢は徐々に日本株のストーリーを信じるようになってきた」と話している。

13日のTOPIXは前日比0.9%高の1560.33と3日続伸し、2007年12月11日以来の高値となった。一方、ドル・円相場は1ドル=121円30銭-40銭台で推移し、東京株式市場の12日の終値時点121円37銭に比べて小動きだった。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net;東京 Anna Kitanaka akitanaka@bloomberg.net

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net;東京 Anna Kitanaka akitanaka@bloomberg.net

更新日時: 2015/03/13 15:48 JST

 
 
 
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