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磨いた連携 魂は続くよ 会社またぎ運行特急「はくたか」「北越」 きょう引退

「はくたか・北越サミット」に携わってきた車掌の津川圭介さん=JR金沢駅で

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 JR西日本と東日本をまたいで走る特急「はくたか」と「北越」の引退が十三日に迫る。両列車の乗務員らは社の垣根を越えて「サミット」と呼ばれる交流会を重ね、より良いサービスを模索してきた。現場の議論から生まれたサービスも少なくない。両社が共同運行する北陸新幹線には、そんな「特急魂」も引き継がれる。(松本浩司、日下部弘太)

 「直江津駅で休憩所が一緒なのに、顔を合わせてもあいさつ程度。それが寂しかった」。はくたか車掌の津川圭介さん(30)が数年前の光景を思い出す。はくたかも北越も、直江津で東西の乗務員が交代するが「全くの他人」という印象だったという。

 それがこの二年で大きく変わった。二社間の調整を担っていた二人の現場長が「会社の壁を越えてサービス向上をできないか」と発案。JR西には「サンダーバード」で交流組織がすでにあり、自然と「はくたか・北越サミット」が生まれた。

 二〇一三年四月、二社と第三セクター北越急行の三十人が初めて会い、アイデアを出し合った。新幹線開業が決まり、両特急の廃止話も浮上していたが、走り続ける限り最善を尽くしたいという思いは同じだった。

 交流会の議論を基に、東西でバラバラだった車内改札の順番を統一するなど改善。直江津で交わす「業務引継書」も改良され、他の列車にも使われるモデル様式になった。

「はくたか・北越サミット」の最終回で記念写真に納まる乗務員ら=新潟県上越市で(JR西日本提供)

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 乗務員たちは電話番号を交換し、懇親会で酒を飲んだ。「この席のお客さん酔っ払っているんで気を付けて。小さい子がいますとか、ちょっと気になれば言うんです」(津川さん)。顔見知りの気安さから、引き継ぎはさらに細やかになった。社の壁はとけ、その後JR西と東海をまたぐ「しらさぎ」「ひだ」にも組織ができた。

 昨年十一月に開かれた四回目で最後の交流会には、北陸新幹線の乗務員も加わった。参加した五十人はほとんど敬語も使わず意見を出し合い、「はくたか」車内で配る記念カードなど惜別企画を練った。

 両特急の引退後、乗務員たちも各職場に散ることになる。交流会では新幹線の担当者に「引継証」が手渡された。

 東西の線路をつなぐもてなしの心は、新幹線に託される。

 

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