以前、1分間顧客サービス という本を読んで、「顧客中心のビジョン」を作ることが、熱狂的なファンを作るために必要と書かれていた。チームを自分で率いている以上、チームがどういう価値を提供するのかを示すようなビジョンは必要だと感じた。
チームのビジョンを立てようとは思ったものの、以下のような疑問が出てきた。
- 良いビジョンとは何なのか
- ビジョンをどう伝えるか
これらの疑問を解決する手助けになると良いと思い、「ザ・ビジョン」という本を読んだ。
- 作者: ケン・ブランチャード,ジェシー・ストーナー,田辺希久子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2004/01/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 7人 クリック: 63回
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この本は1分間マネジャーシリーズを書いた、ケン・ブランチャードによって書かれた本である。良いビジョンとはなにか、どうやってそのビジョンを作っていくか、などについて、お馴染みのスタイルである小説形式を用いて教えてくれる。ページ数は200ページ強とそこそこ多いが、小説形式なためすぐ読め、ビジョンに関する知識が得られるので面白かった。
上に書いた疑問に対する答えが一定この本に書かれていたので、今回はその疑問にしたがってブログにまとめておこうと思う。
良いビジョンとはなにか
この本では、説得力あるビジョンを生み出すためには、以下の三つの基本要素を満たしている必要があるとしている。
- 有意義な目的
- 明確な価値観
- 未来のイメージ
それぞれ目的、価値観、未来のイメージとは何か。
目的とは何か
目的とは、その会社やチームの、顧客に対する「なぜ」を語っているものである。
例えばこの本では、ビジョンを作ろうとしている会社は保険業を行っているのだけど、「保険を提供する」というのは、事業の目的ではないとしている。そうではなくて、顧客の視点に立ち、顧客が何を求めているのかを明確に表したものが目的となる。これから考えると、この会社の保険業の目的は「顧客に将来の安心を提供すること」となる。
この話はWhatとWhyの違いなんだろうなと思った。この会社の目的は何ですかと聞かれると、よくWhatのほうを言いがちになってしまう。例えば、自分の会社は保険を提供しているとか、あるWebサービスを提供しているとか。でもそうではなくて、なぜそれを提供しているのかというWhyを、目的としてきちんとビジョンに含める必要があるのだなと思った。
ちなみに、この本を読んだ上で、Qiitaの社長のインタビューに書かれていた内容を読んだら、良いビジョンが作られているんだなーと感じた。
「そもそも、ぼくらがなぜプログラマー向けのサービスをやっているのかというと、『世界の進化を加速させたいから』なんです。そのために自分たちが得意な領域で切り込めるとしたら何かと考えたときに、『ソフトウェア開発の環境を良くする』ということに行き着きました。
Qiitaのエンジニア社長、海野弘成がコード書きをやめて経営に集中する理由 | HRナビ
「世界の進化を加速させる」が目的で、それを達成するために「ソフトウェア開発の環境を良くする」ことをするとちゃんと書かれている。
明確な価値観
価値観とは、「目的を達成するために、日々どのように行動すればよいか」について示したものとしている。つまりHowが価値観ということだと思う。
価値観がビジョンに必要と言っているのは、おもしろいなーと思った。今日【後編】大先輩のフリークアウトCTOが語ってくれた、マネジメントの深くてイイ話 / 飲み会で探るエンジニアのホンネ #naoya_sushi 編 を読んでいたけど、この中に以下の様な文章が書かれていた。
— naoya:いや、僕は一番ビックリした話が、KPIってあるじゃないですか。あれを決めると、時としてモラルハザードが起こるんですよ。たとえば、売上だけがKPIだってなると、社員はみんな売上を最大化するぞってなって、それこそ画面全部広告にするみたいなことが起こったりする。
これはおそらく会社の目的は決めて、その会社の目的を達成するための指標は決めたはいいものの、ちゃんとした価値観を浸透させなかったために、モラルハザードが起こるんじゃないかと思った。価値観として、「ユーザーを第一とし、ユーザーの体験を損なうようなことはしない」と決めていたら、広告を全面に出すというのはやってはいけないことであるということが共有されるのではないかと思った。
未来のイメージ
未来のイメージとは、最終結果がどうなっていてほしいかを、あいまいではなく、はっきりと示したものである。つまり、会社としてチームとしてサービスとして、どこを目指すかが示されているものである。つまりこれはWhereである。
「1分間顧客サービス」 において、「顧客中心のビジョン」と言われていたのは、この未来のイメージを指していると思う。そのため、この本におけるビジョンは「1分間顧客サービス」よりも広い意味でのビジョンと考えられる。
最終結果がどうなっていて欲しいかをつくり上げるのは大切なことだと思う。もし何もない状況でサービスを提供しようとすると、サービスを良くするために、何をすればよいかがよく分からなくなることが多い。一方で、最終的な理想型を示すことが出来れば、現実との差分をはっきりと意識することができるため、その差分を埋めていくということでサービスを理想に近づけるという事ができるようになる。
これがうまくいった例としては、NASAのアポロ計画がある。NASAは、「1960年代中に人類を月に立たせる」という具体的かつ強烈なイメージをまず作ったと言われている。そのため、すべての職員がこの場所にむかって進んだため、驚異的な技術進歩が行われたらしい。
他にもGoogleは「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。」と明示的にいっていて、これも明確な未来のイメージになっていると思う。
もし自分がビジョンを作るときには、この明確な未来のイメージが立てられているかを一番強く意識したいと感じた。
良いビジョンのまとめ
まとめると、良いビジョンはどこに向かうか(Where)、なぜそこに向かうか(Why)、どうやってそこに向かうか(How)が明確に具体的に示されているものだと感じた。特に具体的にというのがポイントだと思う。他の会社のミッションなども参考にしつつ、ビジョンをきちんと作っていきたい。
ビジョンをどう伝えるか
また、ビジョンを作ったとしても、どうやってそれを伝えれば良いのかというのが疑問に思った。ビジョンをただ作ったとしても、それに対してメンバーが共感をしていないならば、それは形骸化したビジョンであると感じるからだ。
この本の中では
ビジョンづくりは現在進行形のプロセスであり、たえずそれについて話し合っていく必要がある
と書かれている。つまりビジョンというのは作ったら終わりというものではなくて、それを前提としてたえずメンバーとそれについて話し合い、ビジョンを現在に適応できる形に変えていきながら伝えていくということらしい。あんまり納得はいかないけど、ただ決めた人が言ってるだけじゃだめだよなーとは思った。
まとめ
「ザ・ビジョン」を読んで、良いビジョンとはなにか、ビジョンをどう伝えるかに焦点を絞り、まとめてみた。これを参考にチームのミッションやビジョンを作っていきたいと良さそう。
さらにビジョンについて知るために、次は「ビジョナリーカンパニー」を読みたい。
- 作者: ジムコリンズ;ジェリーポラス
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2014/08/29
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参考資料
- 作者: ケン・ブランチャード,ジェシー・ストーナー,田辺希久子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2004/01/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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