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書かなければ忘れられてしまう――元記者が綴(つづ)る被災地の知られざるリアル

[2014年08月12日]

2011年12月28日に福島県浪江町請戸地区で岡さんが撮影したもの。無数に転がる四角い巨大な石は津波によって打ち上げられた波消しブロック。左奥に第一原発の排気塔が見える

東日本大震災による原発事故が起きてから、3年が過ぎた。被災地の外では事故の記憶が薄れつつあるなか、本書に出てくる原発作業員の肉声は鮮烈に響く――。

「初めて原発を見たときは、かっこいいと思ったんですよね。1トンくらいあるボルトとか初めて見て、かっけえなあって」

「“原発テーマパーク”でも造ったら繁盛するんじゃねえの。第一原発エクストリームツアーして、そのあと防護服のコスプレして記念写真撮ってやるんだ」

著者の岡 映里(おか・えり)氏は女性だ。震災当時は週刊誌記者で、年齢は33歳。夫とは別居中で、親とも絶縁状態だったと本著『境界の町で』で明かされている。

震災直後から被災地に入り、原発の事故現場に作業員を送り出す下請け会社社長の「彼」との出会いがきっかけで、福島の警戒区域に通い詰めるようになった。

以来、原発に勤める作業員と共に酒を飲んだり、その親方である「彼」に恋心を抱いたり……。前出の作業員らの肉声は、そうした濃密な関係のなかでつかみ取ることができた言葉だ。

―震災後、4月上旬には高線量の警戒区域に入っていますね。内部被曝(ひばく)の恐怖心はなかった?

 なかったといえば嘘になりますが……。今思えば週刊誌記者として、テレビや新聞に負けないネタを取りたかったんだと思います。「彼」と初めて出会ったときは、自分を原発作業員として1F(福島第一原発)に送り込んでもらいたいと思っていました。でも、女性は原発内では働けないと知らされて、悔しかったですね。


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