ソニーが液晶テレビ BRAVIA の4K対応製品3シリーズ8モデルを発表しました。謳い文句は「テレビは大画面4K時代へ ソニーはプレミアム4K。」今年こそ本格普及を見込む4Kテレビ市場において、早くも4Kのなかでも上等をアピールします。
商品構成は、上位から
X9500B シリーズ
85V型 7月26日発売 200万円前後(市場想定価格、いずれも税別
65V型 5月24日発売 80万円前後
X9200B シリーズ
65V 5月24日発売 65万円前後
55V 5月24日発売 45万円前後
X8500B シリーズ
70V型 6月28日発売 65万円前後
65V型 6月14日発売 56万円前後
55V型 6月14日発売 36万円前後
49V型 6月14日発売 32万円前後
新機能としては、最上位のX9500Bではバックライトに新たに直下型エリア駆動LEDを採用。X-tended Dynamic Range PRO と名づけた高輝度・ハイダイナミックレンジ化機能を搭載します。ひとつ下のモデル 9200Bでは、エッジ型エリア駆動LEDバックライトで PRO抜きの X-tended Dynamic Range 。
マーケティング的な名称としては、4K超解像の X-Reality PRO、広色域のトリルミナスディスプレイと並ぶ位置づけです。
X-tended Dynamic Range / PRO のデモ (写真では正しく伝わらないので、単なるセットアップの参考に)。
エリア駆動と拡張ダイナミックレンジの威力は、ソニーの表現では「明るい部分に従来の3倍の電流を集中 (して高輝度化。PROがつかないほうは同2倍。画面全体を白色時と比較して)」
会場の体験デモでは、左から最上位X9500B の X-tended Dynamic Range PRO, X9200BのPROなし拡張ダイナミックレンジ、右に昨年のモデルX9200A で比較。暗いステージでスポットライトを浴びる歌手や奏者と、暗い観客席との対比といった映像でした。
新製品の2機種では明るい部分の輝度が明確に高いため、並べてみると昨年のX9200Aは全体にぼんやりと、「古くなってバックライトが衰えてきたモニタ」にすら見えます(昨年の最上位機種なのに)。ソニーはカタログスペックでは最高輝度を公表していませんが、前年の4Kモデルと比較して輝度自体が向上しているとのこと。
(機種そのものの評価ではなくデモの印象というメタな視点では、今年1月の CES 2014 でドルビーがシャープ製2Kテレビで示していた DolbyVision の HDRデモほどの目が潰れる!感はなし。ただDolbyVision のHDR はコンテンツがもともとHDRで撮ったCG宇宙空間+キラキラのメカやライトだったことが大きいかもしれません)。
音部分の進化の目玉は、最最上位よりひとつ下の X9200B で導入されています (最上位のX9500B は税別の市場想定価格が 80万円または200万円なので、そこはスピーカーも買おうよという話です)。
X9200B は、重心の低いクサビ形のウェッジ型を採用して、余裕のある筐体に前面サブウーファーを内蔵しました。低音は指向性が低く、サブウーファーは一般にそれほど置き場所に気を使われませんが、背面サブウーファーだった昨年モデルと比較すれば、確かに正面に立った時の迫力は変わってきます。
X9200Bシリーズではまた磁性流体スピーカーの振動板に新たにグラスファイバーを採用したことで音質を改善しており、サブウーファーの配置も含めて総合的に「テレビ一台でも臨場感」価値を向上させています。
新規格は、HDMI 2.0対応、H.265/HEVCデコーダ搭載、HDCP 2.2対応で「将来、放送やネット配信などのサービスで提供される4K信号を入力し、再生表示することができます」(4K放送が対応規格の範囲だった場合)。
また4K普及モデルのX8500Bシリーズを含め「快速設計」をキーワードに、全機種で起動から各種機能の切り替え、複数ソースからのコンテンツ選択も含めて高速化・快適化を計っています。
発表会の質疑より。
Q 今年から始まる4K放送。対応するのか?(4Kテレビが非対応の場合、) 4Kテレビを買ったのだから4K放送が見られると思ったお客さんに非対応であることをどう説明する?
A 4K放送については実際の詳細が発表されていないため、まだどうなるか分からない。(新機種はH.265/HEVCデコーダ内蔵など新規格に対応するが)、仕様によっては、非対応になる可能性もあるだろう。
Q テレビ事業は分社化されるが、影響は。
A ソニーというグループ内部での組織改変の話。われわれの活動、サービスやマーケティングについては影響はないと考えている。安心して買って欲しい。
Q 販売目標は。
A 具体的には発表していない。が、金額構成で大型(46V以上)を50%以上にしたい。現在は40%台。4Kは25%(金額)だが、これも伸ばしたい。ソニーだけでなく市場全体として。
Q (2013年度の4Kテレビにおける) ソニーのシェアは7割というが、今後の見通しは?
A 7割は異常と思っている。このまま続くとすれば、市場全体から見て健全ではない。他社からも4Kが出揃うため競争は激しくなるが、価格競争にはしない。プレミアム性能の訴求など、さまざまな施策をしてゆく。結果として今年も70%になるかは分からないが、ナンバーワンを目指してゆく。
Q 増税反動は
A 3月に入ってから、確かに増税前の特需はあった。前年の3割増。通年ではそれほど大きな影響はないと思っている。むしろ新商品やFIFAのようなイベントにあわせて需要を作ってゆきたい。
Q 価格競争にはしたくない、というが、テレビとして利益を上げるためには。
A 4KとフルHDの価格差はどの程度であるべきか、総合的な価値を考えて今回、この価格設定にした。
Q (最後は麻倉御大) 画作り、音作りで特にこだわった点は?
A (しばし言葉に詰まってから)
ひとつ言えるのは、直下型がほしいと多くの人に言われた。(なので、今回の最上位は直下型エリア駆動LED)
音については、9200A(前世代)は、音や映画が好きな人からはまだまだといわれた。(フロントサブウーファーやスピーカーの改良などを通じて) まだ足りないかもしれないけれど、かなり出来る範囲のことは反映してきた。
(余談。発表会後の雑談で麻倉怜士氏いわく、最後の質問の理由は「みんなシェアがどうとかそんな質問ばっかして、誰もものづくりのことを尋ねないからさ」)