The New York Times

スマホ決済事業は、なぜ儲からないのか

米スクエアは徐々に融資事業へシフト

レジで精算業務をスクエアで行うカフェ。2015年3月6日ニューヨークにて(写真:Yana Paskova/The New York Times)

スクエアとは、いったい何の会社なのか。

設立6年になる同社が当初から手掛けている事業は、スマートフォンやタブレットに接続できる、小型で真四角のクレジットカードリーダーを提供することだ。この装置を使えば、小さな商店や会社でもクレジットカードでの支払いを受け付けることができる。

しかし、同社は昨年、事業の方向性を変えた。5月には、スクエアを利用する小規模事業者向けに、融資プログラム「スクエア・キャピタル」を導入。また、ユーザー同士が互いの口座に自由に送金し合える、「スクエア・キャッシュ」というスマートフォンのアプリも展開している。そしてこの3月には、即時入金サービスと入金取り消し補償という新サービスを導入する予定で、両者はいずれも小規模事業者にとって便利なものとなるはずだという。

「小規模な事業には詳しい」と自負

こうした展開のどれもが、スクエアが何を目指しているかを物語っている。日々のクレジットカードの処理を通じて集められた大量のデータをテコにして、小規模事業者のためのサービス提供企業になろうとしているのだ。同社の事業の成否は、従来からの顧客を満足させながら、いかに新たなサービスで顧客を引きつけられるかにかかっている。

「私たちには大きな競争優位性がある」。スクエアの取締役で、同社に出資しているベンチャーキャピタル、セコイア・キャピタルのパートナーでもあるローロフ・ボタは言う。「スクエアの利用者となるような企業に関して、当社ほどよくわかっている会社はほかにない」。

スクエアによると、同社はこれまでもつねにデータにフォーカスしてきたという。しかし、しばらくの間、同社は消費者との接点となるサービスに重点を置いていた。

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徹底的な敗戦から70年。これまで日本は幸いにも戦争をせずに来た。だが、今や隣国との緊張関係に加え、テロの脅威が日本人の安全を揺るがす。テロと戦争の境目があいまいになる世界で、気がつけばその日本も当事者になっていた。今、そこにある危機を真剣に考える。

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