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 第2次世界大戦中の1941年、英国のチャーチル政権で米国の戦争協力を引き出そうと、「マグナ・カルタ(大憲章)」(1215年)の4部ある最古の写本の一つを米国に寄贈する計画が浮上した。計画を裏付ける英政府の内部文書が13日、ロンドンの大英図書館で始まるマグナ・カルタ発布800周年の特別展で初めて一般公開される。

 大英図書館などによると、文書は英外務省が作成。当時、ニューヨークでの展示を終えて米国内に留め置かれていた写本を、まだ参戦していなかった米国に寄贈する計画だった。

 文書には「わが国を守るために提案できるのはこれくらいしかない」とある。1776年建国の米国が中世ヨーロッパのルーツを示す書物を切望しているとの見方も書かれていた。だが、写本は英東部の聖堂の所蔵で政府の一存で寄贈できず、46年に英国に戻った。

 マグナ・カルタは、イングランド王の恣意(しい)的な課税など悪政に反発した貴族たちが、貴族や市民の権利を明文化し、王に認めさせたもの。近代の民主主義に多大な影響を与えた。(ロンドン=渡辺志帆)