ソメイヨシノ:上野公園に6本並ぶ兄弟木…これが元祖か?

毎日新聞 2015年03月12日 20時08分(最終更新 03月12日 23時16分)

上野動物園表門前にあるソメイヨシノ(中央)。原木の可能性が高いという=東京都台東区で2015年3月12日、大場あい撮影
上野動物園表門前にあるソメイヨシノ(中央)。原木の可能性が高いという=東京都台東区で2015年3月12日、大場あい撮影

 千葉大のチームの分析で、上野公園(東京都台東区)の一角に植えられたソメイヨシノ1本とエドヒガン系のコマツオトメなどの桜6本が、共通の親を持つ兄弟木であることが分かった。チームの中村郁郎・同大教授(植物分子育種学)は「兄弟木が規則正しく計画的に並んでおり、植木職人が優れた品種を作り出すため交配してできた種を植えたのではないか。このソメイヨシノが原木となり、全国に広がった可能性がある」と話す。

 21日から都内で開催される日本育種学会で発表する。ソメイヨシノは全て1本の木から接ぎ木で増やされたクローン。江戸時代に染井村(現在の東京都豊島区駒込)の植木職人が育成し、売り出したとされるが、誕生の経緯には謎が多い。

 分析した桜は上野動物園表門前に植えられている。遺伝子型を詳細に調べた結果、親木が共通していた。チームは、自然にこれらの桜が誕生したのではなく、植木職人が品種改良で作った複数の種を植え、その中からソメイヨシノが生まれた可能性があると推測している。

 樹木医によると、このソメイヨシノの樹齢は100年程度。一方、戊辰戦争(1868年)の際に、桜がある一角は焼け残ったとの情報もある。中村教授は「今後、ソメイヨシノの両親に当たる木も特定したい」と話す。【大場あい】

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