機動戦士ガンダムSEED CE73−STARGAZER−
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[2006/06/25]
 
 
■戦争、災害、モビルスーツ。それぞれの描写について非常にこだわりがあると聞いておりますが?

え、そうなんですか(苦笑)‥‥。

ビジュアル的には、映画的/実写的に作りたいって思っている。我々が普段テレビ/スクリーンで見ている映像っていうのはレンズを通して撮られたある種の人工的な画面。ニュースキャスターのUPがテレビ画面に映ったとしても視点(カメラ)が被写体に寄って撮っている訳ではなく、遠くはなれたところからズームで撮っている画面なわけです。 『・・金八先生』の武田鉄矢のUPも、こっちの壁をとっぱらって遠くからカメラを入れてズームで撮っている。トレンディドラマの玄関のシーンもこっちの壁のない、セットの中で撮られている。でも、われわれはそれがもうテレビの画面としては当たり前の画面と感じてしまっているわけです。黒澤作品なんかは部屋のなかでもこっちの壁をとりはらってものすごい後方から望遠で撮っている。

チャーリー・シーンの『メジャーリーグ』っていう映画もやっぱりみる と嘘にみえちゃう。なんでかって言ったらカメラはフィールドに中に入って撮っているから。我々が普段見ているプロ野球はセンターのバックスクリーンの横から、あるいはベンチの横のカメラブースからカメラを入れてズームで寄って撮られた絵像を見せられていて、それに慣れている からそうではない映像をみると嘘っぽく感じてしまう。 というわけでビジュアル的なリアリティを感じさせる画面を作ろうとすると、このズームで切り取られた画面、望遠レンズで切り取られた画面 で構成していかないと、なかなかその<感じ>は出せないものであり、本作品に関してはその望遠レンズでとられた画面作りを基本にしようと考えている。 あとストーリー的には「社会性」を大事にしたいかな‥‥と思っている。たとえば、南海の孤島でゴジラがエビラやカマキラスと戦っても面白くもなんともない。なんでっていったらそこに社会性がないから。ファンタジー(非日常)っていうのはあくまで現実(日常)の中でそれが起こるから面白いのであってやっぱりゴジラはビルを壊してないと駄目。反対側を描く、反対側で描くということは大事。MSという巨大ロボットの非日常的異質感を描こうと思ったらきちんと日常を描いてやらないとそのすごさは出てこない。非日常同士がドンパチやったって見た目は派手に見えても、所詮は南海の孤島でゴジラとエビラが戦っているだけで、見ている我々にしてみれば全然危機感もないし、心に残らない映像になってしまう。

人の感覚とは所詮相対性であり、「幸せ」を強調して感じさせようと思 えば「不幸」をどれだけ描けるかであり、その対比としてしか表現出来 ないものなの。描きたいものがあればその反対側で描くしかないのである。感情を演出とはそういうことなのだろうと思う。



■西澤 晋プロフィール
「ガンダムSEED」、「ガンダムSEED DESTINY」と、シリーズを通して絵コンテを担当。主なTVアニメーション監督作品には「め組の大吾」、「ヒカルの碁」など。
 
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