おとり捜査官・北見志穂 2015.03.09


(衝突音)
(運転手)ああっ!?おい大丈夫か?
(運転手)もしもしもしもし!?車が事故でそれでもって…女の人の腕が…!確かに見たんだよ!白髪の男と女の腕を…。
女の腕がこんなふうになっててさ!
(携帯電話)
(北見志穂)はい北見。
(袴田刑事)「俺だ袴田」ああ…朝一番起き抜けに聞きたくない声よね。
「こっちも寝ぼけた声は聞きたくもないが事件だ」「バラバラ死体だ」えっ!?女の左足だ。
(警察官)主任無線が入ってます。

(井原主任)えっ首が!?
(小泉刑事)主任向島パーキングエリアで左腕が…。
こっちは胴体だ!
(門倉署長)ごくろうさん。
ではまず今朝の6時40分。
首都高速5号池袋線上り高島平パーキングエリアで左足が発見された。
さらに高速中央環状線下り扇大橋パーキングエリアで頭部。
高速川口線下り入谷パーキングエリアで胴体。
高速6号向島線下り向島パーキングエリアで左腕と右足。
それぞれから発見されている。
いずれも電動ノコギリで切断されており同一人の遺体と断定された。
鑑定の結果被害者の血液型はO型。
身長は160センチ前後。
20代後半の女性と思われる。
昨夜の雨で遺体が濡れてたために死亡推定時刻を絞り込むのが難しいが前日の19時から今朝未明5時ということだ。
それから被害者の写真はコンピュータ処理したものだ。
死亡推定時刻がはっきりしない身元も不明じゃ手のつけようがねえな!右腕だけがまだ発見されていないがこの右腕に関しては目撃証言がある。
今朝午前2時北池袋パーキングエリアでスリップ事故がありこの事故を起こした30歳前後の白髪の男が女性の右腕を持っていたそうだ。
(井原)たまたま現場にあった赤いセダンを盗んで逃走したが車も白髪の若い男も行方はつかめていない。
事故を起こしたグレーの車はレンタカーだった。
所轄の調べで偽造した免許証で偽名で借り出されている。
白髪の若い男はケガを負っている可能性がある。
念のため救急病院その他洗い出してくれ。
それとガイシャの身元の割り出しだ。
この人…。
何?心当たりでもあるのか?
(電話)井原だ。
…ガイシャの身元が割れた。
(井原)ガイシャは豊胸手術をしており…その線からひと月前に…都内の美容整形で手術を受けた…小室京子28歳。
小室京子!?
(井原)何だ?私知ってます。
この被害者。
(パトカーのサイレン)
(井原)そうか大学の同級生か…。
美人で男子学生の人気者でした。
(ため息)こんなことになるなんて…。
この隣の若い男は?まさかコイツも同級生っていうんじゃないだろうな?正岡則夫っていう名です。
私たち3人心理学のゼミで一緒でした。
おいおい…。
その2人は恋人同士なのか?さあ…。
大学時代は正岡君の方が好意を持っていたようですが卒業した後は私京子さんにも正岡君にも会ってないものですから…。
この正岡っていうのはどんな男だ?まじめで成績優秀で…。
確か銀行に勤めてるはずです。
(井原)よし。
この正岡って男に接触してみてくれ。
私がですか!?署に来てもらうよりも…同級生のあんたの方が話しやすいだろ?妻が殺されれば亭主を疑い未婚の女が殺されれば恋人を疑う。
こいつは捜査の常道だ。
でもまだ彼が恋人だとも…。
そこんところを当たってもらいたいのさ。
とんだ同窓会になっちまったな。

(小室京子の笑い声)あの頃小室京子はいつも華やかに笑っていた。
男子学生たちの憧れのマドンナ女王様だった。
そして正岡則夫の目も小室京子しか見ていなかった。
(小室京子の笑い声)
(店員)いらっしゃいませ。
(正岡則夫)ごめん待たせちゃって。
銀行ってところは残業が多くて。
ううんこっちこそごめんなさい。
忙しいのに呼び出したりして。
卒業以来だから…6年ぶりか。
うん…元気そうね。
《よかった…白髪じゃない》
(店員)いらっしゃいませ。
コーヒー。
かしこまりました。
久しぶりに会ったんだ。
食事でもしよう。
土曜は大体休日出勤になっちゃうんだけど明日の土曜は休みだから今夜はゆっくりできるし。
うん…。
でも銀行ってところはこんなに競争の激しいとこだと思ってもいなかったな…。
僕のいる為替課なんか特にそうでさ。
まるで競馬の馬にでもなったみたいな気がする…。
あんまり張り切らない方がいいよ。
そうなんだけどこれも競馬と同じでね。
走らなくなると馬は殺されちゃうんだ。
でも僕は大丈夫。
完走もするし1着にもなる。
何だったら僕の馬券買わない?買っても損はさせないけど…。
正岡君の馬券ならもう買ってる人だっているんじゃない?…京子のことか。
学生の時よく正岡君の相談に私乗ったよね。
「どうしたら京子への思いを伝えられるか」って…。
いっつも私相談役だった。
…そうだったっけ?…そうよ!ほら京子へのバースデイプレゼント。
指輪買うのにも付き合ったじゃない…。
(正岡)「京子の誕生日にプレゼントして告白したら」って君がアドバイスしてくれたんだよな?
(店員)お似合いですよ。
違うんです。
私代理なんです。
細い金の指輪…。
京子喜んでたじゃない。
アイツとはこの頃うまくいってなくてさ…。
もうダメかもしれないな僕たち…。
(店員)お待たせいたしました。
彼女銀座でホステスしててさ…。
ホステスを!?最初の頃はほんのアルバイトの腰掛けのつもりだったんだけど今じゃ「自分には水商売が合ってるんじゃないか」って言い出したりして…。
そう…。
銀座でも高級なバーらしくてね。
客なんかも金のあるヤツらばっかりみたいで。
僕みたいなペイペイと付き合っているのがバカらしくなったんじゃない?最近じゃ会えば別れ話ばっかりだ…。
最近ではいつ会ったの?先週かな…?ここのところ僕も忙しくて連絡つかなくて。
最後に会った時彼女の様子に何かおかしなことはなかった?いいや。
そんなことは何も…。
…そういや最後に会った時妙なこと言ってたな。
妙なこと?うん。
「すごいもの見た」ってそう言ってた。
すごいもの?何それ?わかんない。
ただ「すごいものだ」ってそう言うばっかりで…。
すごいもの…?でも北見君どうして?まるで刑事みたいなこと…?確か君研究所に勤めてるって聞いてたけど?うん…科学捜査研究所って所で犯罪心理学研究してたんだけど今は…。

(久保寺刑事)正岡則夫さん署までご同行願いませんか?主任どういうことか説明してください!これじゃ話が違うじゃないですか。
主任は「同級生として接触してくれ」ってそう言ったんですよ!?それをいきなり参考人で任意同行だなんて強引過ぎます。
参考人じゃない。
彼はもう被疑者だ。
まもなく任意を逮捕に切り替える。
何ですって!?待ってください!それじゃ主任は私を騙したんですね?同級生だった私を裏切らせたんですね!?疑いがあるから呼んだんじゃねえか!カッカするな。
疑いって…。
ヤツにはアリバイがないのさ。
…どういうことです?北池袋のパーキングエリアで事故があったのは午前2時。
その2時過ぎにヤツはマンションにいなかった。
隣に住んでるOLがいつまでも鳴り続ける電話のベルを聞いてるんだ。
(井原)そろそろ本当のところを話してもらいましょうか?本当のことも何も…何度も言ってるように僕は何もしてません!京子が殺されたなんて…。
しかもバラバラ死体なんて…。
まだ信じられないくらいなんですから。
(小泉)あなたと殺された小室京子さんが最近よく口ゲンカをしてるのをマンションの住人が何人も見てるんですよ。
だからって殺したりなんか…。
それにあの晩だって僕が夜中の1時過ぎに家に帰ってすぐ寝ちゃったんですから!だったら2時過ぎにかかってきた電話になぜ出なかったんだ?眠ってて気付かなかっただけですよ!何度も言ってるじゃないですか!?そんなに僕のこと疑うんだったら家探しでも何でもしてください。
どう?背格好は似てます。
でも俺顔はっきり見てないし…。
髪も白髪だったしなあ…。
へぇ随分きれいになってるなあ。
男の一人暮らしとは思えねえな。
(大家)正岡さんはゴミ出しもきちんとしていてマンション生活のお手本みたいないい方なんですよ。
時々九州からお母さんが上京してきましてね。
「部屋が汚れているとうるさいんだ」って正岡さん笑ってましたから。
近頃の若いヤツは何食ってんだ!?う〜ん…。
カラースプレーですね。
白髪のカラースプレーか…。
こいつを使えば白髪の若い男になれるじゃないですか。
ヤツは何て言ってます?週末に時々髪の色を変えて出かけるのが唯一の楽しみなんだそうです。
ストレスの多いエリートコースを歩む彼にとってきっと唯一の気分転換なんですよ。
彼が小室京子を殺したとは私どうしても信じられないんです。
いいかバラバラ殺人の犯人は6号向島線から5号池袋線まで順々に遺体をばらまいたと考えられる。
少なくとも1時間はかかる。
北池袋パーキングエリアで事故の時右腕だけを残していたのが午前2時。
逆算すると…犯人は午前1時には首都高にのっていないと無理だ。
その午前1時頃正岡は何をしていたか…?確かに出かけてました。
でも夜中の1時過ぎに近所のコンビニで弁当買って帰宅してからはずっと部屋にいたんです。
本当です!えーっ…弁当はロースカツ弁当。
100円割引だったんです。
だがコンビニで確かめたがそんな事実はない。
コンビニの商品管理は徹底している。
彼の言ってることが本当ならば弁当が売れたという記録が必ず残されてるはずなんだ。
問題なのはヤツが嘘をついてるってことだ。
でも…100円割引の弁当だなんてそんな念の入った嘘つくでしょうか?今夜は泊まっていってもらうがその前にもうひとしぼりするか。
後は俺たちに任せて帰った帰った。
睡眠不足は…「お肌の敵」って言うじゃないか。
《もうじき彼がロースカツ弁当買ったと言ってる時間だわ…》
(店員)前に来た刑事さんにも言ったけど弁当買う人の顔なんていちいち覚えてませんって。
うちでは弁当の割引なんてしてませんし…。
食中毒が恐いですからね。
6時間ごとに新しいのが配達されて売れ残ったのは捨てるんです。
そう…。
(配達員)まいど〜。
(店員)ご苦労さま。
お願いします。
はい。
《弁当入れ替える時間…》ロースカツ弁当ありますか?ああはい。
100円引きでいいよ。

(ノック)主任ちょっと…。
何だ?正岡さんを釈放してください。
彼にはアリバイがあります。
事件のあった夜の1時過ぎに近所のコンビニで確かにロースカツ弁当買っています。
時間的に首都高で遺体を捨てるのは無理なはずです。
今さら何寝ぼけたことを…。
コンビニへは我々がちゃんと確認取ってあるんだよ。
彼の買ったロースカツ弁当100円割引されていた…それは本社のコンピュータの記録には残されていないものだったんです。
午前1時過ぎは新しい弁当が配達される時間なんです。
その時に棚に売れ残っていた弁当は回収され捨てられます。
彼は店員から買ったと思ったかもしれませんが実は配達員に声をかけているんです。
すみません。
あの…ロースカツ弁当あります?ああはい。
これ100円引きでいいや。
400円。
配達員はどうせ捨てるものだからと考えて売れ残っていたロースカツ弁当を売ったんです。
それも…気がとがめたものだから100円だけ割り引いて。
つまり配達員は不当に小遣い稼ぎをしたんです。
本社のコンピュータの記録に残るわけがありません。
正岡さんを釈放してください。
逮捕状執行したのは仕方ないかもしれないけどアリバイがあるのに身柄を拘束するのは明らかに行き過ぎだと思います。
南刑事。
(南刑事)はい。
本当にごめんなさいね。
君のせいじゃないよ。
それより君のおかげで僕の容疑が晴れた。
ありがとう。
ううん。
正岡君は何もしてないんだもの。
私が何もしなくてもいずれ容疑は晴れたはずよ。
あいつには…京子には僕の知らない男がいたのかな?正岡君…。
ごめん。
元気出して。
じゃあ。
あの男…あんたの昔の男か?またオヤジのセクハラ…。
デリカシーのない相棒を持つとやる気が起こってくるから不思議ですよね!考えてみると死体を始末するのにわざわざ目立つような変装をするっていうのもなぁ…。
いつまでそんなのつけてるんですか?おじさんが白髪に染めたってシャレにもならないわ。
いまだに白髪の若い男の行方がつかめていないとは…。
残された手がかりはガイシャ・小室京子が勤めていた銀座のバー「まりも」だ。
このまりもを内偵する必要がある。
…えっ!?幸いにもまりもは現在ホステス募集中だ。
あの…私が!?おとり捜査だ。
ホステスって柄じゃないがこれも仕事だ!
(笑い)銀座か…。
相棒の好みで安く飲ませてくれよ。

(ママ)OLしていてホステスは初めてなのね?はい…。
きれいね。
モテるでしょ?そんなことありません。
「そんなことない」じゃ困っちゃうんだけどな…。
この商売はね男にモテないのも困るし…男に溺れるのはもっと困るんだ。
いいわ。
働いてもらう。
今夜から来られるかしら?はい…。
いらっしゃいませ〜。
(客)おうママか。
こちら新人のルミちゃん。
おおっニューフェイスか…。
こっち来てこっち来て!よろしくお願いします。
いいなあニューフェイスは!初々しくて。
どうせ私は銀座の古ダヌキでございますよ!さてと…。
(みどり)どちら?トイレだよ。
おしぼり!えっ?新人はおしぼり持ってトイレの外で待つの!あっ…はい。
何よこれ。
やってられないわ…。
(ドアの開く音)どうぞ。
おおっサンキュー…。
何するんですか!?イタタタ…。
ルミちゃん何てことするのお客様に!?大丈夫ですか?ハハハ…いいからいいから。
ごめんなさいね。
おもしろい子じゃないか。
(ため息)気にすることないよ。
あの人ね新しい子にはいつもあんなことするの。
ホステスって大変なんですね…。
みどりさんはこの店長いんですか?ううん。
ホステスの世界って結構出入りが激しいの。
そうですか…。
急にお店を辞めて姿を消しちゃう子だって珍しくないしこの店から「琥珀」に移った子も行方不明らしいよ。
いけない…こういう話お店じゃダメなの。
お疲れ様でした。
お疲れ〜。
(ため息)
(河野)あんたもそうなのかい?はぁ!?落合3丁目までお願いします。
そうか小室京子の話は全く出ずか…。
ちっとも聞ける雰囲気じゃないわ。
どうもまりものママが「彼女のことは口にするな」って口止めしてるみたい。
まあそれも当然だろうな。
ホステスが殺されバラバラにされて首都高に捨てられたなんてこと噂になれば客足が遠退いちまう…。
自分たちの口で何も言い触らすことはないしな。
何だよ?やけに時間を気にしてるじゃないか?ちょっと正岡さんと会うことになってるの。
へぇおデイトですか?ひょっとして妬いてたりして!?バカ言ってんじゃねえや!頭でっかちで小うるさい女はあいにく俺の趣味じゃなくてさ!私も負け惜しみの強い男趣味じゃないですからね。
(主人)へいらっしゃい!悪いね時間外に。
あちらでお待ちです。
待った?ううん。
正岡君…。
ん?…大丈夫?ちゃんと寝てる?
(ため息)今思えばさ…京子にとって僕は本命でも何でもなかったんだよね。
じつはこれなんだけどさ…。
遠洋社…?京子宛の郵便物はまとめて郷里の熊本に届けるよう彼女のお母さんに頼まれててね。
それで昨日京子のマンションに行ってみたんだけど…。
そしたらその郵便物が届いて何となく気になって開けてみたんだ…。
ポルノ写真の投稿誌ってやつ。
その付箋の貼ってあるとこ開けてみて。
何で京子がこんな写真を投稿誌になんか…!?わからない。
ねぇこの写真撮った人間が京子のこと殺したのかな?断言はできないけど可能性はあるわね…。
許せないよ!殺された後こんな辱しめられるなんて…。
赤い目の女か…。
ストロボの瞬間の光が眼底の血管を写し出してしまったんですよ。
フラッシュを使う時はこんなふうに目が赤くならないよう素人でも注意するものなんですけど妙だと思いません?写真のテクニックはプロなのに目が赤いなんて初歩的なミスだな。
犯人がわざわざ送りつけてきた何かのメッセージなのかしら…?おっ出た!お得意の犯罪心理学。
よしこいつは俺が当たってみよう。
女性の編集長とはねぇ…。
(編集長)この写真なら今月の13日に会社の郵便受けに入ってた写真だ。
誰かが直に持って来たんだろうね。
うちみたいな雑誌では時々そんなことがある。
13日…!?日にちを覚えてたのは締め切りギリギリだったから。
いい写真なんで急いで差し替えたの。
バラバラにされた遺体が首都高で発見されたのが13日の未明…。
こんな…こんな写真をだね女性が自分で投稿してくるなんておかしいと思わなかったのか!?思いませんよ。
見られることで快感を覚える女もいるんですよ。
この写真が入ってた封筒は?そんなもの住所と名前だけ書き留めたらすぐに捨てちゃいますよ。
封筒がないんならせめて…送ってきた写真をもらいたいんだけどね。
断ったら?猥褻図画販売かなんかで逮捕するんですか?こういう投稿雑誌はね送られてきた写真が編集部以外に流出したとわかったらそれでもうおしまい。
編集部を信用してるからみんな安心してきわどい写真を送ってくれるんだ。
そんな読者の信頼を裏切るわけにはいかないんですよ。
「読者の信頼」か…。
いらっしゃいませ。
ああどうも。
いらっしゃいませ。
お待ちしていたんですよ。
いやあ忙しくてね…。
ルミちゃん。
はい?昨夜タクシー乗っちゃったでしょ?あれ私が頼んでいたのよ。
はっ…すいません。
今度から気をつけてね。
運転手の人何か言わなかった?いえ別に…。
本当にすいませんでした。
いいのよ。
そんなに気にしなくても。
これお願い。
はい。
いきましょう。
はい。
失礼します。
お作りして。
はい。
(客)相変わらず忙しいなまりもは。
(ママ)おかげさまで…。
うちはかわいい子揃いなんです。
(客)なるほど…。
あっ!?あらあら…。
私やるわ。
すいません。
拭いてらっしゃい。
はい。
(ママ)すいません新人なもので…。
(客)あの子もそうなのかい?あんたもそうなのかい?「あの子もそうなのか?」タクシーの運転手さんも同じようなこと言ってたし単なる偶然には思えないんですよね。
う〜ん…。
私明日にでも「琥珀」ってクラブ当たってみます。
ホステスの一人が行方不明になってるって噂なんですけどそのホステス以前にまりもに勤めていたのが引っかかるんですよね。
まりもにねぇ…。
(ママ)もう暖簾入れちゃうわね。
すいません遅くに…。
いいのよ。
袴田ちゃんなんか毎度のことなんだから。
後で雑炊でも作る?ああお願いします。
もうお腹ペコペコで…。
だと思った。
お野菜たっぷり入った栄養満点のとびきり特製をご馳走してあげる。
雑炊ぐらい家で作れよ。
飲み屋で「栄養満点」なんて聞くとムカムカするぜ!ムカムカするのは遠慮のないタバコの煙!例の写真拡大コピーしたやつだ。
拡大してみたがやっぱり場所は特定できない。
ここにほら…ダクトのようなものが見えるだろ?ビルの一室か倉庫のようには見えるんだがな…。
送られてきた写真はこの2つ折りにした紙に挟まれて封筒に入っていたそうだ。
…和紙のようですね?うん。
明日鑑識に回してみる。
…何かしら?この床の上に何か白いものが転がってるでしょ?ママルーペか何かあるかしら?はい。
これでいいかしら?ママもさすが年には勝てないとみえて秘密兵器があるな!何言ってるの!いきがって老眼鏡かけようとしない袴田ちゃんみたいなくたびれたおじさんのために用意してあるのよ。
人形の首だわ!そうよ雛人形の首よこれ!雛人形の首!?
(順子)朋子ちゃんもいい加減よね。
お店は勝手に辞めちゃうしさマンションにも帰ってないらしいわよ。
トモコさんて言うんですか?そのホステスさん。
そう。
高野朋子。
23なんてサバ読んでたけど26のはず。
ヤンキー上がりでさあ肩に蝶の刺青なんかしちゃってて。
まあどっかの男と駆け落ちでもしちゃってんじゃないの?…そう言えば彼女姿消す前に妙なこと言ってた。
「すんごいもの見ちゃった」って。
すごいもの…?「すごいもの見た」ってそう言ってた。
「すごいものを見た?」2人が同じようなことを言ってたなんて全くの偶然には思えないんですよね。
一体何を見たのかしら…?それにしても白髪の若い男はどこでどうしてるんだ。
捜査の網にいまだに引っかからないとは…。

(ママ)ルミちゃん。
ちょっと…。
さっき琥珀のママから電話があったわよ。
あそこの子に何だか色々聞き回ったそうじゃないの。
はぁそのことですか…。
「そのこと」って他にも何かあるっていうの!?あっいえ…すいません。
じつは私作家志望なんです。
つい興味のあることは首を突っ込みたくなっちゃって…。
銀座は意外と狭い世界なのよ。
気をつけてちょうだいね。
まりものママ私のこと怪しみ出してます。
もう限界です。
もう少しだ。
これまで録音したテープから電話のナンバーを大至急割り出してもらってる。
まりものママ謎のタクシーに何か関係してるんじゃないでしょうか。
どうもそんな気がして…。
妙にピリピリした反応からもその可能性はあるな。
頼む。
あの…袴田さんは?例の和紙の線をたどって岩槻へ行ってる。
岩槻!?鑑識の調べで埼玉県の小川町で作られている「細川紙」という手漉きの和紙だとわかってね。
その業者の1軒に岩槻で人形作りをしている70過ぎのおばあさんがわざわざその「細川紙」を買いに来るとかで…。
人形作り…。
(井原)「瓶清女」とかいう名前で岩槻では有名な雛人形の職人だそうだ。
留守か…。
すいません。
こちらの瓶清女さんは?
(川島)亡くなりましたよ。
ひと月ほど前に。
ひと月前?心臓マヒだったそうでしてね。
一人暮らしだったものだから発見が遅れて…。
息子が一人いるんですけど東京へ出て行ったっきり連絡が取れなくて…。
後の処理は市の福祉課がしたようです。
その…息子さんっていうのは?瓶厚志っていいましてね確か30のはずです。
カメアツシ…。
すいませんどんな字です?あれは10日ぐらい前だったかな?母親の葬儀にも帰らなかったその息子があの家に帰っているのを見かけましたよ。
しばらく見ない間に髪の毛すっかり真っ白になっちゃってあれ若白髪って言うのかな…。
白髪!?ええ…。
その厚志って息子ひょっとして写真の趣味があったんじゃ…?ええ。
趣味というよりプロ級ですよ。
芸術家肌だったお母さんの血を引いているのか中学生の頃からいいセンスしてましてね。
「写真のプロになる」って上京したんですよ。
ああどうぞこちらへ。
私写真の同好会の顧問をしてましてね。
彼も高校生の頃参加してたんですよ。
ほらこの写真。
よく撮れてるでしょう?彼の顔写真か何かありますか?さあ…。
昔同好会の集まりで記念写真を撮った記憶はあるんだが…。
これは彼のサインですね?ええ。
アツシカ…メ…。
アカメ!?間違いねえな!歯か…。
ちょっと失礼します。
いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ。
はい北見。
(井原)科捜研が例のナンバーを割り出した。
ほとんどが大手や個人タクシーの配車係だったが1本だけ不審な携帯電話の番号があった。
どうやらそのナンバーはママがかけたやつらしい…。
ママが…!?「そっちから電話してみてくれ」…はいわかりました。
(呼び出し音)
(河野)「はい」まりもです。
タクシーをお願いしたいんですけど…。
「あんたもそうなのか?」…ええ。
「あんたもすごいもの見たいんだろ?」…見たい!見たいわ!!どこまで行くの?すぐ近くだ。
何だか恐いわ…。
へっへっ…恐くなんかないさ。
もうすぐすごいもの見してやるよ。

(小泉)どこへ行く気なんですかね?高速1号羽田線を下ってじきに南大師パーキングエリアですよ。
(井原)うん。
あれだ。
もう始まってるぜ!今日はこれでもギャラリーは少ない方なんだぜ。
どうだすごいだろ?ここにいる連中はみんなそうなんだ。
みんな見て見られて興奮する連中ばかりなんだ。
こんなふうに女たちをあなたたちタクシーの運転手が連れてくるってわけね…。
やるのはいつも首都高速のパーキングエリアなんだ。
その日によってどこでやるのか場所も変わる。
客の方はタクシーに乗ってくる者も自分の車でやって来る者もいる。
売春を趣にしてるのね。
ただの売春だったら儲けはたかが知れてるが俺たちはギャラリーも案内してくるんだ。
1回やるだけでとてつもない儲けになるんだ。
あなたたちの連れてくる女の子たちが「こんなふうに人に見られてするのは嫌だ」って拒んだらどうなるの?秘密を知られたからってその女の子を殺すわけ!?そんなもったいないことするもんか!最初は嫌がっていてもなそのうちに人に見られなければ興奮しないようになるんだ。
どの女もそうだ。
あんたもそうなるんだよ!
(笑い)小室京子のことはどうなの!?「すごいもの見た」と彼女も言ってたそうだからどうせあなたが売春に引きずりこんだんでしょ!あんた…まさか警察の人間か!?あの晩あなたかあなたの仲間のタクシーが小室京子をどこかに乗せてった。
どこへ乗せて行ったのよ!?どこで殺したのよ!?どうして殺されなければならなかったの!?首都高売春の秘密を知られたから殺したの!?どうして遺体をバラバラにしなければならなかったの!?知らねえ…俺はそんなこと知らねえ!
(パトカーのサイレン)
(河野)俺は頼まれただけだよ。
頼まれただけだって言ってんだ。
(パトカーのサイレン)何だよ…。
連れてけ!北見大丈夫か?
(女性)痛いって言ってるでしょ!
(女性)離しってってば〜!
(女性)痛いの!痛いって言ってるのがわからないの!?言われたとおりにやったんだから…。
入れ!そうよ。
個人タクシーの運転手と組んでやってたのよ。
ホステスたちに安全で後腐れのない小遣い稼ぎを斡旋してその上前をはねてたっていうわけだな?殺された小室京子。
行方不明の高野朋子も誘い込んでたんだね?…でも言っときますけど私たちは殺してなんかいないわよ。
彼女たちが消えたこととは関係ないんですからね!本当よ!この期に及んで嘘ついたって始まらないじゃないの!ところで白髪の若い男に心当たりはないかな?ああ…いつだったかギャラリーの中で見かけたことがあったわ。
覗きの見物客の中にいたっていうのか!?何度か見かけたことがあったけど…その男がどうかしたの?白髪の若い男ねぇ…。
う〜んそいつだったらよく来てたよ。
いつも一人でさあ…何か陰気な感じだったな。
犯人である白髪の若い男は首都高売春を通じて獲物を物色してたんですよ。
小室京子がバラバラ死体で発見された日北池袋パーキングエリアでは売春の場所に指定されていた。
それを知っていた犯人…つまり白髪の若い男は遺体を処分する途中にパーキングに立ち寄った。
次の獲物を物色するために…。
しばらく捜査から外れてろ!大丈夫です軽い鞭打ちですから!何よ…これからって時に外そうなんて!?それで袴田のヤツどうしたのよ!肝心な時にいつもいないんだから…。
(電話)はい捜査本部。
…袴田さん!?一体どこにいるんですか!?えっ…白骨死体!?
(パトカーのサイレン)この歯を見つけたもんで県警に緊急連絡して掘り返してもらったところだ。
白骨化した遺体が一体。
それと最近埋めたと思われる女性の遺体が一体。
どちらもまだ身元は不明です。
蝶の刺青…。
彼女だわ!彼女って?行方不明のホステス高野朋子か!?彼女には肩に蝶の刺青があったって…。
(携帯電話)はい袴田。
…おうあんたか。
…あっ写真が!?今度もまたこの前と同じように郵便受けに入ってたの。
高野朋子…間違いないわ!赤目を見てピンときたのよ。
同じ人間が撮った写真だって。
よく電話してくれたな。
あんたがいい男だったら電話なんかするもんか!しょぼくれたパッとしない男だったから情報の一つもやろうとなんて気になったのさ!
(笑い)女心をくすぐるタイプだったとはねえ…。
…ったく言いたいこと言ってくれるよ!これ預からしてもらうよ!瓶清女宅の裏庭で発見された白骨遺体は少なくとも10年以上前に埋められたものと判明した。
県警の方で当時の行方不明者を当たったところガイシャは東南アジア出身のホステスの可能性が高い。
もう一体の遺体は歯形の照合から高野朋子26歳と断定された。
この高野朋子の遺体は右腕が電動ノコギリで切断されており現場ではその右腕は発見できなかった。
電動ノコギリの切断面そしてこの写真からいっても同一犯と考えられる。
犯人は白髪の若い男性瓶厚志30歳だ。
袴田さん彼について説明してくれ。
これは昔瓶厚志が撮った写真だ。
この「AKame」という彼のサインは「アカメ」と読める。
つまり小室京子と高野朋子の写真の目「赤目」は彼のサインだということになる。
人形職人の一人息子に生まれた瓶厚志は地元の高校を卒業後写真のプロを目指して上京。
大学に通学するが中退。
その後は定職にも就かず時折岩槻の母親の元に帰っては金をせびっていたようだが現住所その他連絡先は一切不明。
母親の家にあった瓶厚志の写真だ。
彼はなぜか白髪になったのは最近のことのようだ。
(門倉)これだけ…モンスターのようなことしでかしたのだ…。
白髪にもなるだろう!マリー・アントワネットだって処刑される前一夜にして白髪になったって言われてるくらいだ。
被害者の写真をあらかじめ撮った上で殺害。
死体をばらまいた後写真を出版社に送りつける。
快楽殺人…劇場型犯罪の典型だな。
(井原)それから第一の被害者小室京子の事件当夜の足取りが明らかになった。
久保寺君。
事件当夜の午前1時小室京子は売春グループの個人タクシーを使い平和島西パーキングエリアに行きそこのレストランを利用しています。
そのレストランでは一人でコーヒーを飲み1時半までその場にいたことがレストランの伝票から確認できました。
1時半…!?
(井原)北見!1時半に生存していたとなるとそれから瓶厚志が殺害して遺体をばらまくのは時間的に無理があるんじゃないでしょうか?我々は間違った思い込みをしていたようだ。
犯人は高速6号から中央環状線と順に巡って小室京子の遺体を捨てていき高速5号北池袋パーキングエリアにたどり着いたそう信じ込んでしまった。
だが瓶厚志の実家のある岩槻市に通じる東北自動車道を考えてみたらどうだろう?東北自動車道から外環道を経て高速5号の上りを走れば北池袋パーキングエリアがある。
瓶厚志が偽名で借りていたレンタカーの走行距離は80キロ。
岩槻と池袋付近を往復する距離だ。
つまり瓶厚志は小室京子の遺体を捨てた後北池袋パーキングエリアで事故を起こしたのではなく事故の後小室京子を殺害し遺体をばらまいた。
じゃあ事故の時瓶厚志が持ってた右腕は…?高野朋子の右腕だったんだ!レンタカーを借りた瓶厚志は実家の裏庭に高野朋子の遺体を埋め何らかの理由かで高野朋子の右腕だけを持ち帰った。
そして首都高速パーキングエリア売春を覗くために北池袋パーキングに行き事故を起こした。
まず高野朋子が殺され…その後に小室京子が…。
次の犠牲者を出す前に一刻も早く瓶厚志を捜し出すんだ!あらいらっしゃい。
お待ちかねよ。
何だ何だ!病人はさっさと帰って寝てろよ!こんなことになったのも袴田さんにも関係があるんですからね!肝心な時にサポートしてくれないんだから!何言ってやがる!ドジったのはそっちだろう!?「おとり捜査」だっていうのにわざわざ警察の人間だっていうことわかるようなことバラしちまったそうじゃないか!?あの時はつい夢中になっちゃったのよ。
あの運転手が京子の殺害に関係してくるかもしれないと思ったらカッとなっちゃって…。
俺も…酒はいいや。
あら珍しい!袴田ちゃんがお酒抜きだなんて。
相棒に気遣うなんて似合わないのはなしですよ。
俺にだってな飲みたくない時はあるのさ!はい…まずは仲良くこれでも突っついて。
すぐにイサキ焼くから。
活きのいいのがあるのよ!瓶厚志は一体どこにいるのかしら…?逃走に使った車もまだ見つからないなんて…。
2人の被害者の撮影現場は倉庫のようだ。
明日から徹底的に洗い出す。
「劇場型犯罪の典型」か!?主任も誰かさんにかぶれてきちまったようだ。
はぁ〜。
うっ痛え…。
(ため息)なぜ瓶厚志は右腕を埋めずに持ち帰ったのかしら…?京子の右腕もまだ見つかってない…。
何でそんなに右腕に固執するのかしら?
(パトカーのサイレン)発見された逃走に使われた車はあれです。
この倉庫は持ち主が倒産して現在使用されていません。
鍵を開けてもらうよう倉庫の管理会社に連絡してありますので。
気に入らねえなぁ…。
車が見つかったのがさぁ。
今まで発見されなかったのがいやにあっさり見つかったと思ってさ。
(久保寺)主任!倉庫を開けてもらいます。
(井原)ああ。
お願いします。
なんだ?この匂いは。
遺体は容疑者として手配中の瓶厚志30歳。
死因は首吊りによる窒息死。
争った跡もなく検死の結果自殺と判定された。
発見された女性の右腕は検死の結果間違いなく高野朋子の右腕と断定された。
現場で押収された電動ノコギリは被害者2人の遺体を切断したものである。
(井原)現場の状況から見て被害者2人はあの倉庫で写真を撮られ殺害されたとみていい。
(井原)あの倉庫は瓶厚志が偽名で借りていたものだった。
(門倉)しかし…何で高野朋子の右腕をそばに置いたまま瓶厚志は自殺したのかねぇ…。
北見。
その辺の心理分析は得意分野だろう?現場にあった右腕は宝物のように細川紙に丁寧に包まれていました。
恐らく瓶厚志は女性の手に対する偏愛性向があったと思われます。
その証拠に被害者ら2人のポートレートも一見豊かなバストが強調されてるように見えましたがよく見ると細いきれいな腕にピントが合っています。
恐らく瓶厚志は首都高パーキングエリア売春を目撃するうちにその美しい腕を自分のものにしたいという気持ちが抑えられなくなったんではないでしょうか。
女の腕を自分のものにしたいという歪んだ性愛に耐え切れなくなった瓶厚志は犯行を重ね自らの命も絶ったと…いうわけか。
はい。
恐らく。
以上被疑者死亡で送検する。
みんなご苦労さん。
(ママ)あらあらどうしちゃったの?事件は解決したっていうのに浮かない顔しちゃって…。
まあ飲め。
首輪も無事取れたんだしさ。
何で京子の右腕は見つからないのかしら?あ?平和島の倉庫岩槻の実家どこを調べても京子の右腕はなかった。
そんなことは特別珍しいことでもないさ。
長年刑事なんてやってるとなバラバラ事件なんてのにも何度かぶち当たる。
バラバラにされた死体は必ずしも全部揃うとは限らないんだ。
それよりお前首の方本当にもう大丈夫なのか?うん…。
このとおり。
ん?逆?はい。
小室京子は北池袋パーキングエリアの事故の後で殺害さればらまかれたことが判明しています。
捜査本部では当初北池袋パーキングエリアの事故で右腕が目撃されたことからこう高速を回って午前2時の北池袋パーキングエリアが最後と考えました。
でも…事故の後で殺害されたとなると小室京子の遺体をばらまいた時間は午前1時頃ではなく午前2時過ぎ…。
問題になるアリバイは午前1時ではなく2時以降となります。
…となるとあんたの同級生の正岡則夫。
彼にアリバイがないってことになるな。
自分が走り回って無実を証明した人間を今度は疑うなんて…。
これだから女はなぁ…。
私はただ京子の右腕が…小室京子の右腕がいまだに発見されないのが気になって仕方がないんです。
だからそのことは昨夜も言っただろう?バラバラ事件じゃ珍しくないって。
でも…!!事件は解決した。
北見。
個人的感情に流されるのもいい加減にしろ。
電話をくれてありがとう。
僕の方も連絡入れようと思ってたんだ。
君には色々お世話になったし。
一度お礼に食事でもと思って。
改めてありがとう。
こっちこそ色々嫌な思いさせてごめんなさい。
でもほんと嬉しかったんだ…。
君が僕の無実証明してくれたことが。
あは…。
でもよかった。
元気そうで。
馬車馬のように働かされてるからね。
でもそれがいいのかも知れない。
ねぇ?前にも言ったけどさ…僕の馬券買わない?ふ…。
何言ってるの?冗談じゃない。
僕は本気で言ってるんだ。
正岡君…。
ああっ!!間違えちったよー!…どうも報告書ってのは苦手だよな。
相棒に手伝ってもらえばよかったんじゃないんですか?あいつはおデイトだとさ。
昔馴染みの同級生と。
袴田さん宛です。
署内をあちこち回っちゃってたみたいで。
おぉサンキュ。
おぁー!岩槻の写真屋か。
(川島)「瓶厚志君の写真やっと見つけ出しました」「彼が大学に入学してすぐに帰郷した際写真クラブの会合に顔を見せその折撮ったものです」「お役に立ちますかどうか…。
後列左から3番目が彼です」チッ…。
今さらもう必要ねえなぁ。
僕は間違った選択をしたみたいだ。
本当に美しく大事なものを見失い気づかなかった…。
本当に美しくて清らかな女性は北見君…君だった。
(携帯電話)ちょっとごめんなさい。
はい。
北見です。
俺だ。
袴田!よーく聞けよ!ごめんユリコ〜。
あとで電話する。
ユリコだぁ?おい!?北見?北見ー!!チッ。
電源切っちまったよ…。
どうしたんだ?あいつは…北見は!自分からおとりになろうとしてるんですよ。
京子のことを思うと…あの高速見るたびに切なくなるわ。
正岡君?京子は…僕が思ってるような美しい女じゃなかった。
美しい女っていうのは身も心もきれいでなくちゃ。
君なら…北見君君なら母にも紹介できる。
堂々と自信持って紹介できる。
ちょっと待ってよ正岡君。
京子のことなら気にしなくていいんだ。
あいつは…売春してたような女なんだから。
売春!?じゃあ知ってたの?いや…でも新聞にだって何だってそのこと出てたじゃないか。
どうかした?ううん…!ねぇ京子の指輪どうしたのかしら?指輪?あなたがプレゼントした指輪…私が付き合って買った細い金の指輪。
投稿誌に載ってた写真には彼女の右手にあの指輪が確かに写ってたんだけど…。
出ようか?…うん。
君に…見せたいものがあるんだ。
北見!!袴田さん…!?どこへ行くつもり?運転手さん次の出口で降りてください。
まだ北見の居所はつかめないのか!?北見の携帯にメール打ってみます。
ここは…。
どうして鍵を?合鍵作っておいたんだ。
彼がここを借りた時に。
彼って…?もちろん…瓶厚志さ。
北見の電源が入った。
平和島エリアだ。
(小泉)平和島エリア。
平和島?チッ!あそこだ。
了解。
例の倉庫に急行します。
(パトカーのサイレン)あなたが京子を殺したのね?そうなのね?京子が売春してたことはマスコミには伏せてた。
せめても被害者の名誉のために伏せてくれって私が頼んだの。
でもあなた知ってた!
(正岡)だから僕を疑った。
それには気づいたさ。
だから君をここへ案内したんじゃないか。
正岡君…。
(フラッシュの音)
(フラッシュの音)
(正岡の笑い声)
(フラッシュの音)正岡君!!
(正岡の笑い声)あなたの部屋から右腕が見つかったそうよ!京子のでしょう!?京子のためにもお願い!自首して!
(正岡の笑い声)その右手には指輪をしてたんじゃない?あなたがプレゼントした指輪。
だから捨てられなかったのよ。
そうでしょう?京子だって同じ思いだったのよ。
高価な指輪が買えるようになってもその指輪をしてたのはあなたを愛してたから!京子…ほんとはあなたを愛してたのよ!!
(正岡)黙れ!!本当に愛してたなら…体を売るような真似なんてするもんか!京子は汚れてしまったんだよ。
僕が本気で愛してたのに…変わってしまったんだよ!汚れてしまったんだよ!!
(エンジン音)北見!!
(銃声)
(パトカーのサイレン)さあ立て!ほらっ!!急所は外れてるはずだ。
いつも言ってるだろう?いざって時は助けてやるって。
袴田さん…!
(井原)父親の転勤であんたは高校生の時岩槻に1年いた。
瓶厚志とはその時に趣味の写真を通じて知り合ったんだな?ええ…。
僕の写真の腕はからっきしだったけどあいつの写真のセンスはすばらしかった。
人付き合いの苦手なあいつが…なぜか2歳も年下の僕をかわいがってくれたんです。
10年前…あいつ無免許運転のバイクで女はねて死なしてしまったんです。
(正岡)女は東南アジアからの出稼ぎのホステスで。
あいつに助けを求められた僕は事件隠蔽しようとあいつの家の裏庭に遺体を埋めるの手伝ったんです。
それが…あの白骨死体だったわけか…。
(井原)あんたに借りができた瓶厚志は年下のあんたの言いなりになった。
つまり…立場が逆転したっていうわけだ。
(井原)成績優秀だったあんたは銀行へ就職。
プロの写真家になれなかった瓶厚志はアルバイトを転々としその生活はすさんでいった。
(井原)そして首都高パーキングエリア売春の覗きを始め気に入ったホステスに声をかけあの倉庫で写真撮影を始めた…。
高野朋子と…小室京子だ。
そしてあんたは瓶厚志の口から恋人の小室京子の信じられないような素顔を知らされる。
その売春に誘ったのは高野朋子だと聞かされた。
(高野朋子)そうよ。
私が誘ったのよ。
フフ…。
いいバイトになるって言ったら彼女すぐに話にのってきてさ。
嘘だ…!京子はそんなことをするような女じゃない!フッ!バッカみたい!!彼女が嫌がってやってたとでも思ってるの?彼女はねぇあんたが思ってるようなきれいなだけの女じゃないのよ。
見られながらやるのがすっごい刺激って喜んでた女なの!きれいなだけのお人形さんじゃ満足できないメス猫なのよ!う…嘘だ!!
(笑い)
(扉の開く音)やって来たあいつは遺体の処分を買って出た。
昔の借りを返すつもりだったんだろうがそれだけじゃない。
高野朋子に心を奪われていたヤツは…彼女の右腕が欲しかったんだ。
瓶厚志は高野朋子の右腕を切断し残りの遺体は裏庭に埋めた。
そうとは知らないあんたはあの夜深夜コンビニで弁当を買った後小室京子に電話を入れ平和島西パーキングエリアで待ち合わせてあの倉庫へ行って彼女を責めた…。
本当なのか…?体売ってたっていうのは。
ここで…いかがわしいポーズ取ってたっていうのは…。
愛し合ってると思ってたのに…信じてたのに!!
(小室京子)私だって…私だって愛してる。
それとこれとは別なのよ!別…?「愛してる」に…別も何もあるか!!あなたが…あなたが悪いのよ!仕事仕事で私を放っとくから…。
悪いのはあなたよ!!
(衝突音)京子…?京子…?京子…。
京子!!
(正岡)殺すつもりなんてなかった…。
あいつが…高野朋子の右腕を持ってんのに驚いてる暇なんてなかった。
パーキングエリアで事故を起こしその右腕を目撃されて警察に通報されたっていうことだった。
頭のいいあんたは目撃された高野朋子の右腕を逆手に取り小室京子をバラバラにして首都高にばらまくというトリックを思いついた。
そして…瓶厚志に罪をなすりつけようと殺人鬼に仕立て上げ自殺を装って始末したんだな。
投稿誌に写真を送ったのもヤツの犯行に見せるためだったんだろう?そのとおりです…。
ヤツの死体のそばに2人の右腕を置いておけば女の腕に固執した変質者の自殺という筋書きが完全にでき上がったのにな…。
そうすれば北見が疑問を持つこともなかった。
倉庫にあった小室京子の腕をあんた自分の冷蔵庫の中に移し変えた。
どうしてもあの指輪だけは外せなくて…。
あの指輪だけは…。
ゆ…指輪だけは…。
(泣き声)さすが…何日か銀座の水でもまれただけのことはあるなぁ。
命拾いしたお礼に…。
ンッ!待て。
俺がおごる!またイタ飯食わされちゃあたまんねぇからなぁ…。
よかったぁ…。
ほんのお礼に使い古しのコレあげようと思っただけなのに。
2015/03/09(月) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
おとり捜査官・北見志穂[再][字]

深夜の首都高速でバラバラ連続殺人!銀座高級クラブに潜入した美人女刑事

詳細情報
◇出演者
松下由樹、蟹江敬三、坂上忍、結城しのぶ、小木茂光 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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