FNN報道特別番組震災と原発と日本の覚悟 2015.03.11


≫東日本大震災。
その被害はあまりにも大きすぎた。
≫いやあ、ひどすぎますね…。
≫あれから4年。
津波によってすべてを破壊された岩手県沿岸部。
しかし今、街は新たに生まれ変わろうとしている。
それは、宮城でも。
東北人の底力は一歩一歩着実にその歩みを進めている。
ようやく、戻り始めた日常。
しかし…。
有る場所だけがほかの被災地と違っていた。
福島だ。
≫人が住めなくなった街はいまだ、闇の中。
一方、動物たちには異変が起きていた。
≫更に、番組は福島第1原発の内部を取材。
今、福島で何が起きているのか。
≫4年経った今こそ…。
≫ご覧いただいていますのは現在の福島第1原発です。
東日本大震災から4年です。
今現在も、汚染水の問題など課題は山積しています。
その原発からおよそ南に20kmほど離れた場所に廃炉作業の拠点となっています福島県楢葉町のJヴィレッジがあります。
こんにちは。
今日はこのJヴィレッジから生中継で番組をお伝えしてまいろうと思います。
私の隣には福島県出身の西田敏行さんに来ていただいています。
よろしくお願いいたします。
そして、皆さん本当によくご存じだと思います。
このJヴィレッジというのは日本サッカー代表の練習場だったところなんですね。
ただ、あの原発の事故以来この場所は作業員たちの姿で文字どおりあふれかえりまして作業員たちはここで防護服をつけてそして、マスクを着けてバスに乗って福島第1原発への作業へと向かっていた大事な、ここは拠点となってきた場所なんです。
そして、こちらをご覧いただきたいんですがこの横断幕、ご覧ください。
この作業員たちを応援する横断幕が今も掲げられたままとなっています。
「ありがとう」の文字がかすんできているくらい、年月を感じさせるものとなっています。
そして、この目の前のグラウンドなんですが、本来は芝の敷き詰められたグラウンドだったんですが今は駐車場となっていまして無数の車で埋め尽くされています。
ほとんどが作業員の方たちの車だということなんですけれどもここでは、毎日7000人の作業員の方たちがここから、ここに車を置いて廃炉作業へと24時間態勢で向かわれているということなんです。
被災3県の中でも宮城、岩手の両県と比べますとやはり、福島県というのは福島第1原発の事故によって大きく復興が阻まれています。
西田さんの目からご覧になってもその辺りは心が痛むというひと言で…。
≫胸が痛いですね。
一生懸命作業をなさっている被ばくのリスクを負いながら頑張ってらっしゃる皆さんを見ると、また胸が詰まってくるんですよね。
≫今日もたくさんの作業員の方たちがいらっしゃいますけれども今日、私たちはこの原発の廃炉の拠点から番組をお伝えしてまいろうと思います。
今日は、私たちが注目するのはこの福島県で今、一体何が起きているのかというところに焦点を当てていこうと思っております。
私たちはまず福島県で動物たちに起きている異変に注目しました。
≫去年6月。
福島県内の帰還困難区域に入った。
立ち入りさえ厳しく制限されている。
人の姿の消えた町。
向かったのは、福島第1原発からわずか6kmの場所にある牧場だった。
牛をよく見てみると体中に無数の白い点がある。
白斑という。
個体によって程度の差はあるが13頭に白斑が出ていた。
特に目立っていたのがたまみ、4歳。
徐々に白斑が出始め全身に広がった避難先から、この牧場に通い餌をやり続けている飼い主は。
≫原発事故のあとこの牧場ではほかの農家の牛も預かったため牛の数が2倍に増加。
一時、過密状態になった。
それが、牛に大きなストレスを与えたのかもしれない。
その後飼い主は牛を3つの群れに分けストレスを減らすように努めた。
しかし、白斑の出る牛は現れ続ける。
≫辺りの放射線量は毎時4マイクロシーベルト。
震災前の100倍以上の値だ。
放射線の影響はないのか。
岩手大学、北里大学の共同研究チームが2年前から、この牧場に通い調査を始めた。
血液や体毛などのサンプルをとり詳細に調べる。
放射線の影響があればDNAの損傷なども認められるはずだ。
先月、安藤はこの牧場を訪れた。
8か月前に比べるとたまみの白斑はなぜか、ほとんど消えていた。
飼育している環境や餌の内容が改善されストレスが減ったからなのか。
それとも線量が下がってきているからなのか。
放射線の影響について研究成果を尋ねてみると…。
≫通常、放射線が遺伝子を切断することによって細胞に変異が起きがんなどの病気の原因となる。
しかし、損傷が少ない場合体の免疫機能によってDNAは損傷を修復する。
この牧場のような低い線量での被ばくではDNAが損傷するスピードよりも修復する力のほうが勝っていると研究者たちは考えていた。
白斑と放射線に因果関係はないとの見方だ。
それを裏づけるような現場があった。
この辺りでも、最も放射線量の高い地区にある牧場。
牛の首に何か取り付けられている。
これは…。
≫この牧場の放射線量は白斑の牛がいた牧場の4倍にもあたるが…。
≫線量が高いにもかかわらずこの牧場で白斑の牛は出ていなかったほかにも異常は見られないという。
≫一方で放射線の影響を無視できないという科学者もいる。
アメリカサウスカロライナ大学のムソー教授。
チェルノブイリで動物の異常を研究し続けている第一人者だ。
≫ムソー教授がチェルノブイリで撮影したツバメ。
これは、通常のツバメだ。
しかし、あるツバメは首元が白くなっていた。
ほかにも白斑が出ているツバメが複数見つかった。
もちろんチェルノブイリの事故で出た放射性物質の量は福島よりもずっと多い。
また、大型哺乳類と小動物を単純に比較することもできない。
それでも小さな生き物に関しては影響を疑う研究結果もある。
≫北海道大学で長年、アブラムシを研究している、秋元信一教授。
注目していたのはアブラムシの一種ヨスジワタムシだ。
震災の翌年に福島県川俣町で採取した個体の姿に息をのんだ。
おわかりだろうか。
おなかの部分に注目していただきたい。
≫調査の結果、足の組織が壊死しているものや足のない個体が多数見つかった。
≫形態異常の原因は被ばくなのではないかと教授は言う。
ワタムシは木の表面に卵を産む。
卵がふ化するまで4か月。
その間に木の表面に付着した放射性物質から至近距離で被ばくし続けたと考えられる。
≫震災の翌年に多く見つかった形態異常だが2013年にはその数は一気に減った。
アブラムシの寿命は2週間ほど。
世代交代が進み、環境に適応した可能性もあるという。
≫いまだ、解明されていない生き物への放射線の影響。
中でも、大型哺乳類への低線量被ばくの影響は世界でも初めての研究となる。
そのデータや意義は大きい。
≫あってはならない原発事故。
しかし、原発がある以上もしものときに備え研究者たちの調査は続く。
≫起きてしまった事故から何かを学ぶための研究が現在も続けられているというVTRをお伝えいたしました。
今日は発生以来4年にわたって震災の取材にあたってきました福島テレビ坂井有生キャスターにも加わってもらいます。
よろしくお願いします。
そして、ジャーナリストの青沼陽一郎さんにも来ていただいています。
よろしくお願いします。
西田さん牛の状況をご覧になっていただいたんですけどもあの牛を飼ってらっしゃる方に聞きますと本来は殺処分されるはずの牛だったんですがもう餌を与えるだけで赤字なわけですよ。
でも、こうやって研究をしてくれることに自分の牛が役立つのであれば本当に、この牛にとっても本望なんじゃないかとおっしゃっているわけです。
どう思われますか。
≫本当に、これは勇気のいることだと思います。
それで、やっぱり未来に向かってどういうふうなデータがいっぱい出てくることによっていろんな選択肢が生まれてくると思うので。
≫殺処分されなかった牛の命が私たちの次に向けた研究に役立っているとこういうことが考えられるんですが。
ツバメも…。
≫ツバメの研究も進んでいましてVTRに登場したアメリカ人の博士も指摘していましたけれどもチェルノブイリではこちらのように白斑がツバメに出たんですね。
実は、福島第1原発の事故後福島県内でも白斑の出たツバメが確認されています。
因果関係はわかってはいないんですが現在も調査が続いているという状況です。
≫青沼さん、チェルノブイリもずっと取材をされていると思うんですが実はチェルノブイリと福島第1原発、飛散した放射性物質の量は全く違うんですけど同じような現象は見られているということなんですよね。
地上にはっているような虫を食べる鳥だとか動物などがまたそれでどんどん放射性物質を蓄積していくわけですよね。
そうしますとチェルノブイリの研究では大型化するほどどんどん放射性物質をため込んでいくということが言われているわけですね。
だから、その影響が出た可能性も否定はできないということが言えると思います。
≫ただ西田さん、さっきの牛でも先生たちの意見も割れるんですね。
福島第1原発の事故が起きて、飼育状況ががらっと変わったんです。
つまり、飼い主たちがみんな逃げなければいけなかった。
置いてけぼりにされた人たちは食べるものも満足に与えられなかった。
そういう環境の激変によるストレスも影響してるんじゃないかという考え方なんですよね。
青沼さんストレスというところについてはどうなんでしょうかね。
≫番組では無線ヘリにカメラをつけて空から被災地の今を見ていきます。
岩手県沿岸を襲った津波。
レールを流され駅舎を破壊された三陸鉄道。
通称さんてつ。
あれから、4年…。
全線で運行を再開していました。
再び地域の足として活躍しています。
徐々にですが観光客も戻ってきました。
観光客のお目当ての1つが…。
塩ゆでした蒸しウニをびっしりと敷き詰めたこの、うに弁当。
手作りのため1日に20個しか作ることができません。
幻の駅弁と呼ばれているんです。
≫現在私は福島県大熊町の上空に来ています。
この辺りは、原発からおよそ5kmしか離れていません。
そのため、空間線量は非常に高く帰還のめどが立っていない帰還困難区域に指定されています。
町民およそ1万1000人は全国各地に避難をしており町中を見てみましても人の姿はありません。
また、車も走っておらず空き地を見てみますと草がボーボーに伸びています。
それでも、少しでも早く大熊町の皆さんが戻れるよう除染作業が進められている状況です。
≫今、ご覧いただいたのは帰還困難区域これは昼間でも立ち入りを制限されているところなんですが非常に、この区域複雑に入り組んでいるんですね。
坂井さん。
≫こちらで避難区域を改めて整理していきます。
現在の福島県には3つの分類があります。
1つは赤で示した帰還困難区域そして黄色で示した居住制限区域などがありましてこちらは、なかなか立ち入りも制限されているというような状況です。
≫そして、これを分ける1つのきっかけはこれですよね。
≫放射性物質の飛散と重ねてみると非常によくわかるかと思います。
≫そして今、説明したところにもう1つ避難指示解除準備区域というのがあるんですがこれは、なるべく早く帰還を目指そうという区域なんですね。
そこに含まれるのが楢葉町です。
この春以降の住民の帰還を目指してはいるんですが事はそう簡単ではありません。
≫福島県楢葉町、午後6時。
≫住民は昼間の立ち入りはできる。
しかし夜間の滞在は許されていない。
楢葉町は避難指示解除準備区域。
国からの指定解除は近いとみられている。
去年6月には常磐線竜田駅も復旧。
町の再生は、少しずつ進んでいるようだ。
だが、日中に戻ってくる住民を当て込むタクシードライバーは…。
≫町に人が戻ってくる気がしないという。
避難先から畑の様子を見に来ていた人がいた。
この町で農業を営んでいた柴田浩光さんだ。
≫今はすっかり雑草に覆われている。
自宅にお邪魔すると…。
≫台所では天井が剥がれ落ち屋根裏の立派な梁が丸見えになっていた。
雨漏りg原因だという。
≫家具が倒れ込み足の踏み場もない部屋。
地震の被害かと思いきや…。
≫誰も住まないことでますます劣化していく我が家。
それでも柴田さんは…。
≫だが、農家としての暮らしは…。
≫柴田さんのようにすぐにでも戻りたいと願う楢葉町の住民は10%にも満たないという。
≫楢葉町の大半の住民が避難するのは福島県内の仮設住宅。
近くには商店もあり生鮮品や日用品がそろっている。
高齢者の中には避難先のほうが買い物が便利になったという人も多い。
≫楢葉町に住宅はおよそ2800棟。
そのうちの1000棟近くが地震や津波で傷んだまま。
人が住める状態ではない。
家を建て直してまで町に帰りたいと願う住民は一体どれほどいるのか。
仮設の店舗で営業する店主からは…。
≫楢葉町の松本幸英町長。
去年12月から特別に許可を得て楢葉の自宅で暮らしている。
毎朝、駅までの道のりは奥さんと愛犬が一緒だ。
一見すると、穏やかな朝の風景。
しかし、駅舎に線量計。
原発事故を意識せずにはいられない。
ひとけのないホームから仮庁舎のあるいわき市まで通う松本町長。
気がかりなことがある。
≫福島県川内村。
原発事故から1年後には住民の帰還が許された。
豊かな自然。
3000人の村民は皆住み慣れたこの村に戻ってくると思われた。
しかし、帰還が始まって3年村の現状について住民からはこんな声が。
≫村を走ってみても、人の姿をほとんど見かけない。
営業をしている鮮魚店を見つけた。
しかし、店に魚はなく冷蔵ショーケースには日持ちのする食料品や生活雑貨が並んでいた。
聞けば1日客が来ない日もあるという。
村に帰還した住民は3年でおよそ1600人。
そのうちの4割が、65歳以上の高齢者だ。
この状況に地元商工会も…。
≫村は、ある対策に乗り出した。
≫ここは最新の野菜工場。
村に戻った若い世代も働ける場として第3セクターで始めた。
しかし…。
≫また、廃校になった高校には金属加工の会社を誘致した。
当初、35人を採用したが辞めていった人も多い。
現在、従業員は19人。
新たに募集をするが…。
≫この現状に、川内村は今後は県外からの移住の受け入れも推し進めていく考えだ。
≫原発事故が壊した地域社会のつながり。
その再生が容易ではないことを川内村は物語っていた。
避難指示の解除が近いといわれる楢葉町。
行政も住民も地域再生への模索を続けている。
故郷・楢葉を追われたことである決意にたどり着いた人もいる。
吉田茂さんだ。
避難先のいわき市から定期的に自宅へ通いこの町で暮らせる日を心待ちにしている。
≫同居していた息子夫婦と幼い孫は今、仙台市で暮らしている。
≫家族と離れていてもなおこの家に通うのはいつかここで暮らす準備のため。
そこには、こんな思いがあった。
≫追悼式が現在行われています東京・千代田区の国立劇場です。
この会場にはすでに天皇・皇后両陛下も到着されています。
これから国歌斉唱です。
♪〜
(国歌斉唱中)≫続きまして14時46分の時報を合図に東日本大震災によって犠牲となられた方々に黙祷を捧げます。
東日本大震災の発生から14時46分で4年が経過いたします。
≫西田さん黙祷ということですが4年のという月日を改めてどのように感じられますか。
≫僕にとってこの4年はある意味長かったもう4年かということですね。
≫長かったけれどももう4年経ってしまったんですね。
≫毎年毎年、福島を中心にこの状況をずっとご覧になられたと思うんですが福島、変わりました?≫変わりました。
人の心も若干、変わったように思います。
≫そういう意味でこの4年という1つの月日の節目ではありますけれども時間の流れというのはこれからも続いていくわけですね。
3月11日、まもなく2時46分そのときを迎えようとしています。
≫ここからは宮城県それから岩手県から中継でお伝えします。
≫まずは宮城県の石巻市立大川小学校からです。
寺田アナウンサーお願いします。
≫朝から大変強い風が続いています。
宮城県石巻市の大川小学校です。
先ほど、こちらでも黙祷が捧げられました。
その場所なんですけれどもあちら校舎の1階黒板が見えます場所あのちょうど裏側のかつて2年生の教室があった場所でご遺族などが集まって黙祷を捧げました。
今日は、この強風のために校舎の中で黙祷を捧げるということになりました。
現在も献花が続いています。
そして、慰霊碑があるところなんですけれどもあちらはかつて、校庭でした。
地震発生直後児童たちはおよそ50分間雪が降る中、あの校庭に待機してそして、避難開始のおよそ1分後に大津波に巻き込まれたのです。
私も、ちょうど震災の9日後にこの大川小学校を取材しています。
当時は、がれきが校舎の中に入り込んでいる状態。
捜索も続いていました。
あの光景は今も忘れることができません。
この大川小学校の校舎今後、震災遺構として残すかそして、取り壊すかというのは4年が経った今も石巻市は、まだ方針を決めていません。
東日本大震災で宮城県内でも関連死を含めますと1万534人そして、1251人が行方不明となっています。
大川小学校からお伝えしました。
≫本当に大川小学校の方たち本当に、もっと早く裏手に避難していればと今も親御さんたちは大変な思いを抱えていらっしゃいます。
それでは岩手県の野田村から飛田アナウンサーです。
≫岩手県野田村です。
ご覧のように海沿いにはほとんど建物がありません。
海からの強い風が直接吹いて、いてつくような寒さです。
こちらは、追悼式の会場です。
岩手県全体では5122人が亡くなりいまだ1129人の行方がわからないままです。
ここ、野田村でも39人が犠牲になりました。
このあと、遺族が献花台に花を手向けることになっています。
≫野田村からお伝えをいたしました。
それでは、画面を追悼式が行われています東京・千代田区の国立劇場のほうに切り替えていきたいと思います。
現在は、安倍総理の挨拶がたった今、終わったところですね。
これから、天皇・皇后両陛下陛下のお言葉があります。
西田さん、私、毎年陛下のお言葉を聞いていて思うんですけれどもやはり本当に心から心配されているというのが言葉の端々にいつも表れているなと思うんですよね。
≫本当に去年、天皇陛下のお言葉を聞いているときについ落涙してしまいました。
≫天皇・皇后両陛下今、中央のほうに歩まれて慰霊碑のほうに参拝をされております。
そして、このあと天皇陛下よりお言葉です。
≫東日本大震災から4年が経ちました。
ここに一同とともに震災によって亡くなった人々とその遺族に対し深く哀悼の意を表します。
4年前の今日、東日本を襲った巨大地震とそれに伴う津波により2万人を超す死者・行方不明者が生じました。
テレビに映った津波の映像は決して忘れることのできない本当に恐ろしいものでした。
死者・行方不明者の中には危険を顧みず人々の救助や防災活動に従事した人々があったことが今も、痛ましく思い出されます。
被災地で、また避難先で被災者の多くが今日もなお困難な暮らしを続けています。
特に、年々、高齢化していく被災者の健康は深く心にかかります。
更に、この被災、震災により原子力発電所の事故が発生し放射能汚染地域の立ち入りが制限されているため多くの人々が住み慣れた地域から離れることを余儀なくされました。
今なお、自らの家に帰還する見通しが立っていない人々が多いことを思うと心が痛みます。
この4年間、被災地においては人々が厳しい状況の中お互いの絆を大切にしつつ幾多の困難を乗り越え復興に向けて努力を続けてきました。
またこうした努力を支援するため国内外の人々が引き続きいろいろな形で尽力しています。
この結果、地場産業の発展防災施設の整備安全な居住地域の造成などさまざまな進展がみられましたが依然として、被災した人々を取り巻く状況は厳しくこれからも、国民皆が心を1つにして寄り添っていくことが大切と思います。
このたびの大震災においては私どもは災害に関し日ごろの避難訓練と津波防災教育がいかに大切かを学びました。
こうした教訓を決して忘れることなく子孫に伝えより安全な国土を築くべく努力を続けることが重要であると思います。
この14日から宮城県仙台市において第3回国連防災世界会議が開催されますがこの、会議において我が国のみならず世界各国においてもこのたびの大震災の教訓が分かち合われ、被害の軽減や人々の安全性の確保に意義ある成果が挙げられることを願っています。
被災地に一日も早く安らかな日々の戻ることを一同とともに願い御霊への追悼の言葉といたします。
≫天皇陛下のお言葉をお聞きいただきました。
西田さん、どういうふうにお感じになりましたか?≫本当に皆さん被災者の方の気持ちを本当にくんでいただいて優しいお言葉をかけていただきました。
本当に頑張らねばという気持ちをもう一度、皆さん再確認できたんじゃないでしょうか。
≫特に、原子力発電所の事故に言及されてそのために家に帰れない人たちがいるんだよとこういうふうにおっしゃられたわけですよね。
≫もう本当に陛下のお気持ちも我々と一緒にあるんだなということを…。
≫帰還ということについて西田さんはどのように捉えていますか?さっきもVTRでちょっと触れたんですが。
≫本当に複雑ですよこればかりは。
やっぱり僕は、町というのはコミュニティーあってこその暮らしだと思うんですね。
それが、コミュニティーが成り立たなかったならばやっぱり、それは暮らしとはいえないのでただ、家に帰ったというだけの現象なんで。
それだとちょっと違うような気がするんです。
本当に帰ったというのは暮らしを全部含めたうえでのことだと僕は思います。
≫その暮らしが成り立つかどうかに本当に直結するのが福島第1原発の廃炉への作業の過程だと思うんですがさまざまな壁に阻まれています。
坂井さん。
≫その壁の1つになっているのが汚染水の問題です。
ここからは政府の汚染水処理対策委員を務められています丸井敦尚さんとともにお伝えしてまいります。
どうぞ、よろしくお願いします。
今の福島第1原発なんですが1号機から3号機はいずれも燃料が溶け落ちました。
そして、この中のどこかにあるんですがまだどこに、どんな形で存在しているのかすらわかっていないんです。
では、それはなぜなのか。
1つは強い放射線。
そしてもう1つがこの汚染水。
今わかりやすく紫で色をつけてあります。
ではなぜ汚染水が発生するのかということなんですが燃料を冷やすための水が原子炉から漏れてきてしまっているんです。
そして更に増える要因があります。
それが、雨や地下水なんです。
原発の近くに降り注いだ雨水更には、流れ込んできた地下水が原子炉建屋更には地下でつながっている続々と流れ込んできているんです。
≫坂井さん、ちょっと染み出してきているんですね。
≫丸井さん、これはまだ水の流れは解明できていないんですか。
≫地下水の流れはおおむねわかってきてはいるんですが具体的にどの部分から原子炉建屋の中に入っていくかといったところについてはまだまだわかっていません。
≫技術的にわからないということなんですか?≫地下水を探査する技術はあるんですが被ばくの問題等がございましてなかなか調査が進んでいないというのが現状です。
≫単純に考えますとこれが染み出していくということは原子炉建屋のどこかが壊れてるから入っていくというそういう単純な考え方でいいんでしょうか?≫壊れていることも1つの要因と考えられています。
≫それから原子炉から水が漏れているのも原子炉が損傷しているということのわけですね。
≫その可能性もございます。
≫じゃあ、食い止められないのかというところですね。
≫結局のところ東京電力によりますと今現在、1日当たり300トンの汚染水が毎日発生しているという状況なんです。
このため東京電力はこの水をためておくタンクをひたすら作り続けています。
そして、そのタンクの上空に酒主さんがいます。
酒主さんお願いします。
≫現在、私は福島第1原発の南側上空に来ています。
現在、ご覧いただいています4号機の建屋です。
去年の12月までに、こちらの4号機の燃料棒の取り出しが終了しました。
しかし、その横にあります1号機から3号機は依然として高い線量で廃炉に向けた作業が難航しています。
また、敷地で一番目に留まるのがタンクの数です。
なんと1000基以上もあり今も作り続けられています。
東京電力は今年度中に全ての汚染水を処理するという目標を立てていましたがその目標も断念しました。
現在も汚染水は増え続けています。
その大量の汚染水を処理するために導入された最新鋭設備の能力を今回、初めてカメラで取材しました。
≫巨大なタンクが立ち並ぶタンクエリア。
≫この辺りは、無数のタンクが設置されています。
現在もタンクが作られているところです。
≫長さおよそ13mもの湾曲した鉄板を1枚ずつクレーンでつりながら組み上げていく。
組み上がった隣のタンクでは溶接作業が行われていた。
≫今見えた作業員の方は防塵式のマスクです。
この辺りタンク設置エリアは放射線量が低いということもありまして作業の負担が軽くなる防塵式のマスクをしている人もいます。
≫作業員の安全性作業の効率化を考慮し急ピッチで行われているタンク設置工事。
これは、事故の前の福島第1原発。
多くの緑に囲まれている。
事故後、緑は減り画面左上にはタンクエリアが作られ始める。
1年で大量のタンクが設置されているのがわかる。
≫事故から4年が経ちましてすぐに設置されたあちらのタンクつなぎ目のところがはげてしまっています。
≫今も敷地内にはつなぎ目がさびた貯留タンクがあった。
その中には、何か所もさびを補修した跡が残るタンクも。
このボルトを使ったタイプのタンクからおととし、汚染水が漏れる事故があり新しいタンクへの移し替えが急がれている。
当初、東京電力は今年9月までに100万トン分のタンクを設置する計画だった。
しかし、今年死亡事故が起き計画は大幅に遅れている。
今、現場で何が起こっているのか。
作業員に話を聞くことができた。
≫増え続ける汚染水と処理水の総水量は現在、およそ60万トン。
これに対して、タンクの総容量はおよそ80万トン。
設置を急いだことで20万トンの猶予ができた。
しかし、決して安心はできないと政府の汚染水処理対策委員の丸井博士は指摘する。
≫その汚染水対策の鍵を握るのが多核種除去設備・ALPS。
≫ずらっとALPSが並んでいます。
これが増設多核種除去設備・ALPSです。
≫薬品により汚染水中の放射性物質を沈殿させ更に18個の吸着フィルターを通すことによって62種類の放射性物質を除去することができるという。
今回、初めてカメラの前でその浄水能力を見せてもらうことができた。
≫処理を行う前の汚染水。
タンク内のさびでわずかに褐色がかって見える。
≫汚染水の濃度はなんと1リットルあたり1億ベクレル。
その汚染水から出る放射線量を測ってみた。
≫私たちの目の前で測定器のメーターが振り切れた。
非常に高い線量を放つ汚染水。
次にALPSを通して処理された水を採取。
果たしてどのくらい放射性物質を除去できているのか。
≫測定器は自然の放射線量を示したままでほとんど反応しなかった。
こちらで用意した線量計で測ってみても汚染水は毎時1500マイクロシーベルトに対し処理した水は、およそ毎時1.4マイクロシーベルトだった。
ALPSによって放射性物質は1リットルあたり0.1ベクレルまで除去されているという。
この施設で処理される汚染水は現在、1日750トン。
そのほかの除去設備とあわせて敷地内全ての汚染水を今月中に処理し汚染水リスクを大幅に低減させる予定だった。
≫もう1つ地下水をめぐる問題がある。
現在、地下水の上流に井戸を掘り地下水をくみ上げている。
これにより、原子炉建屋内で流れ込む地下水が減った。
更に、建屋周辺にある井戸からも地下水をくみ上げ浄化処理を行い安全性を確認したうえで海へ放水する計画を立てていたが…。
≫この下に排水路が流れています。
ここを2号機の建屋から流れ込んだ汚染水が流れていきましてそれがそのまま外の海に流れ込んでしまったということです。
≫先月2号機建屋の屋根で汚染された雨水が、直接海に流出していたことが発覚。
東京電力は去年4月からたびたび排水路の濃度が高くなる状況を把握しながらも公表していなかった。
そのため地元漁業者の不信感が爆発。
これによって建屋周辺の井戸からくみ上げて浄化した水を海に流す計画はストップしてしまった。
現場で働く作業員は…。
≫増え続ける汚染水。
4年経った今もギリギリの対策が迫れている。
≫改めて汚染水をご覧いただきましょう。
タンク、びっしりと敷地内のどこを見ても林立している状況なんですよね。
この汚染水どこまで増えていくのかとにかくこれを解決しないことには一歩も前に進めないという状況だと思います。
坂井さん。
≫再び、丸井さんとともにお伝えしてまいります。
汚染水どうすればいいんでしょうか?≫現状では、汚染水をタンクにためるしかありませんがタンクを作る場所の面積も限られておりますのでいずれは、その汚染水を国際基準に合わせて海洋に放出しなければいけないときがきます。
≫そのために汚染水を浄化するためのALPSなんですが弱点もあるんです。
こちら汚染水だと思ってください。
中に入っているビーズが放射性物質です。
全部で63種類あります。
ALPSを通してみます。
このようにきれいになったかにも見えるんですが小さな赤いつぶつぶのビーズが残っています。
残っています。
これがトリチウムと呼ばれる放射性物質です。
現段階ではこのトリチウムは取り除く技術がありません。
63種類中の62種類は取り除けるんです。
≫ただ、1つトリチウムだけは残っちゃうと。
≫これ、残っていて大丈夫なんですか?≫本当は取り除いたほうがいいんですけども世界中、ほかの原子力発電所でもトリチウムは取り除けないものですから海洋に放出しています。
IAEAが放出する基準を作っていますので国際基準に合わせてそれ以下で日本も放出しなければいけないと考えられます。
≫とリチウムが残っていても国際基準には合致するということなんですか。
≫はい。
≫たださっきもVTRで見たんですけど雨水がずっと排水口を伝って海に流れ出てたとこれは高濃度の放射性物質を含む水だったと。
これがずっとわからなかった。
非常に不信感が広がっているんですが今現在、丸井さんの目から見て本当に安倍総理が言うようにこの状況というのはアンダーコントロールコントロールされているといえるんでしょうか。
≫今回の排水路の問題についてはなかなか難しいところがありますけど今後、トリチウムを海洋放出するということを考えた場合にはコントロールされていない状況であれば国際的な責任を果たしているとは言えません。
≫必ずそこら辺はコントロール下にあるということを確認したうえでしか放出はできないと。
ただ、西田さんさっきの漁業関係者の方はものすごくご立腹だったんですが国際基準に合ってるよといっても海に流すということは皆さんの気持ちを…。
≫この海に流された魚をとってみんな食べるということになるとちょっと風評被害だとかいろんなことで漁業者は大変困ると思いますね。
トリチウムというのは半減期ってどのくらいなんですか。
≫12年です。
≫だったらですよ、水を入らなくすればいいんじゃないかという結論にも至りますよね。
もちろん、そういう対策もとられているんです。
このように、ストップするものこれを凍土遮水壁といいますが丸井さん簡単にでいいので説明していただいていいですか。
この凍土遮水壁というのはおおむね1mごとに鉄管を打ち込んでその中に不凍液を通しましてマイナス30度の不凍液で周辺の土壌を凍らせるというものです。
≫イメージとしてこのようになります。
総延長1.5kmでランニングコストが年間13億。
ただ、計画どおり運用できればこの300トンを50トンまで減らせるそういう試算も出ているんです。
≫これ以上、雨水を入れない地下水を入れない。
ちゃんと凍るんですか。
≫実験段階では十分に凍っております。
≫実際には大丈夫そうなんですか?≫昨年度になるんですが東京電力4号機の山側のところで実験フィールドを作りまして凍土を作る練習をいたしました。
そこでは十分に凍って中の水と遮水することができています。
≫青沼さんさっきの海洋放出の話に戻るんですけれども国際標準に照らして合致すればという話なんですが国際社会の理解は得られるというふうに思いますか?≫国際基準を満たしているとしても市民感覚としてそれを受け入れられるのかどうか。
例えば津波で、がれきがカナダとかアメリカの西海岸にたどり着きましたよね。
ああいうふうに同じ海流に乗ってトリチウムはああいうところにいってしまう。
じゃあそこに住む人たちあるいは漁業関係者が理解を示してくれるのかどうか。
そこは、これから大変な問題になってくるんじゃないかと思いますね。
≫そのためにも、わかりやすく説明してほしいんですよね。
できないことはできないしきちんとできることはどういうふうにできるのかということで私たちも本当にこの廃炉に向けた作業についていろんな問題点を指摘しているんですが私たちはけちをつけているのではなくてなんとか廃炉の作業を作業がうまくいってほしい。
こうやって働いていらっしゃる作業員の皆さんのご苦労に報いるような結果になってほしいというふうに思っているんですね。
もう一度外をご覧いただきたいんですがちょうど作業員の方たちでしょうか作業を終えてそれぞれの車のほうに戻っていかれる姿がちらほらと見受けられます。
≫皆さんは、覚えていますか?7万本もの木が次々と押し流される中でたった1本、津波に耐えた奇跡の一本松。
あれから4年。
今も、希望の象徴としてこの地に立ち続けています。
でも、その周囲は特別な景色に変わっていました。
町中に土砂を運ぶベルトコンベヤー。
新たな町づくりが始まっているんです。
地元で人気のラーメン屋さんを見つけました。
看板メニューは地元・三陸産の海藻をふんだんに使ったこのラーメンです。
≫みんなの合言葉岩張楼と名づけられたラーメン。
そんな、温かな1杯が地元の人たちを勇気付けていました。
奇跡の一本松は復興へと歩みを進める町を見守り続けています。
≫今日は福島第1原発の廃炉の拠点となっていますJヴィレッジからお伝えをしているんですが続いては汚染された廃棄物の問題について取り上げてまいりたいと思います。
今年の春以降の帰還を目指しています福島県楢葉町から福島テレビ鈴木アナウンサーが中継でお伝えいたします。
≫福島第1原発からおよそ15kmの場所にある福島県楢葉町です。
ここは除染で出た廃棄物を一時的に保管する仮置き場です。
廃棄物が入った大型の黒い土のう袋が山積みになっています。
環境省によりますとこの地区の仮置き場の面積は10万平方メートルほどでここだけで土のう袋の数は6万7500袋に上ります。
こういった仮置き場が福島県内には983か所あります。
こちら、ご覧ください。
私が今いるのが楢葉町です。
先ほどご覧いただいた放射性廃棄物は双葉町と大熊町に建設が予定されている中間貯蔵施設にあさってから順次運び込まれることになります。
そもそも中間貯蔵施設というのは除染で出た廃棄物を今後30年にわたって保管する施設です。
中間貯蔵施設への搬入開始によって廃棄物が県内各地に置かれたままになっている状態が徐々に解消されることになります。
≫鈴木さん地権者のお気持ちというのはどうなんでしょうね、今。
≫地権者の方人数は2300人あまりの方がいらっしゃいます。
もちろん、自分の先祖代々の土地を手放したくないそういう方もいらっしゃいます。
中には、こういう方もいるんです。
家族が行方不明のままだという地権者の方もいます。
その方もやはり家族との思い出の土地が大熊町、双葉町なんですね。
ですから手放したくないという思いが強くあります。
≫西田さん土地を手放す、代々の。
特に中間貯蔵施設の敷地の中にお墓があったりする方もいらっしゃるわけですよね。
≫もう本当に、この決断は大変だと思いますよ。
≫ご覧いただいていますのは現在の福島第1原発の様子なんです。
画面の右側には4号機の建屋なんですが現在もクレーンが立てられておりまして作業が続けられています。
こうした作業の中でも例えばがれきですとかそれからさっきご覧いただいたような除染でできたいわゆる核のごみですよね。
こうしたものというのはこれからも出続けていくんですがそうした原発が生む核のごみをどう処理したらいいんでしょうか。
最先端の研究施設をフランスで取材してみました。
≫フランス・パリの東およそ230km。
この日、ある施設の取材が特別に許されました。
≫エレベーターに今から取材に入ります。
非常に狭いエレベーターです。
このエレベーターに乗って地下500mまで下がります。
動き出しました。
風が吹きあがってくるのが感じられます。
≫エレベーターが目指す先にはアリの巣のような空間が広がっています。
最先端の研究が行われているのです。
その研究とは、核のごみの処分。
原発を稼働すると必ず出る高レベル放射性廃棄物の地下貯蔵を研究しています。
エレベーターで降りること5分。
地下およそ500m。
どこまでも続くかのような地下トンネルです。
トンネルの側面には直径70cmほどの横穴が掘られています。
≫こちらが高レベルの廃棄物を貯蔵するための穴です。
現在100m近く掘られて実験をしています。
エコーが響く100m、非常に深い距離になっています。
≫この横穴に、核のごみを貯蔵していく計画なのです。
貯蔵するための容器も特別なものでした。
≫しかし、分厚い鋼鉄で覆っていても放射線は漏れ続けるといいます。
≫そのため貯蔵場所の地質が重要なのです。
≫こちらのこういった石ころのように見えるものを見てみますとこれは粘土質の物質。
≫この辺りは、150m前後の分厚い粘土層です。
粘土層は、地下水も通しません。
更に…。
≫放射性物質を閉じ込める粘土の地層。
これが、貯蔵地として注目される理由でした。
フランスは、研究結果を踏まえ2025年、この辺りに最終処分場を作る計画です。
≫宮城県南三陸町。
あの日、沿岸に迫ってきた大津波。
町の職員はこの防災対策庁舎から最後まで避難を呼びかけ続けました。
あれから4年。
庁舎は震災を後世に伝える遺構としての保存が検討されています。
そのため、建物は今も当時のまま。
そのことに注目したのが地元のホテルでした。
≫津波の恐ろしさを知ってほしいと始めた語り部バス。
必ず案内するのが、あの庁舎です。
これまでに10万人を超える人がここを訪れました。
≫津波で傷ついた庁舎。
震災の記憶を訪れた人たちの胸に刻みます。
≫ここからは被災地の食について見てまいりたいと思います。
≫震災から今日で丸4年となりました。
しかし、今も依然として東北の食材は風評被害を受けています。
実は韓国では厳しい措置が現在も続いているんです。
≫岩手県一関市大東町。
今、1つの悩みを抱えています。
原発事故の影響でした。
町は福島第1原発から250kmほど離れています。
しかし、貯蔵庫を訪ねてみると…。
町特産の大量の干しシイタケ。
暫定基準値を超えたセシウムが検出されたのです。
およそ25トン1億円相当の干しシイタケが出荷できないばかりか廃棄のめども立っていません。
≫町に130軒あったシイタケ農家。
いまや、わずか20軒にまで減ってしまいました。
干しシイタケの専業農家の岩渕謙一さんです。
震災から4年経った今もシイタケの出荷はできません。
≫山には汚染された土壌とシイタケ栽培のほだ木が処分される当てもなく残っています。
≫岩渕さんは再生産を目指したった1人で山を除染しました。
今はハウスでシイタケ栽培をしています。
それでも、風評被害が心配です。
≫放射能。
この言葉の影響は、岩手の海にも影を落としています。
三陸が誇る日本一のワカメと養殖昆布。
売り上げは震災前の半分になってしまいました。
東京の築地市場です。
宮城や岩手の海の幸は徐々に戻ってきました。
しかし、その売れ行きは震災前に比べると明らかに減っています。
≫消費者は、どのように感じているのでしょうか。
実際にスーパーで買い物する方に聞いてみました。
≫街で、主婦100人にアンケートを行ったところおよそ53%の人が被災3県の食材を買わないと答えたのです。
風評被害は国内だけにとどまりません。
特に厳しい対応をとったのが韓国でした。
2013年から岩手、宮城、福島など8県の水産物を輸入禁止としたのです。
韓国の港町、釜山にある魚市場。
市場で働く人に日本の海産物について聞いてみると…。
≫韓国ではある海産物がとてもよく食べられています。
それが、ホヤです。
日本では海のパイナップルと呼ばれ珍味として知られています。
刺し身や酢の物、煮つけなど食べ方はいろいろ。
韓国で一般的な食べ方は刺し身です。
豪快に盛り付けます。
直前まで生きていたホヤ。
鮮度は抜群です。
しょうゆとわさびで食べる刺し身のほか酢を入れたコチュジャンで食べるのも人気です。
若者からお年寄りまで、わざわざホヤだけを食べに来る人もいるほどです。
≫いけすにある大量のホヤ。
今の時期は韓国産のものが主流です。
しかし…。
≫韓国の人たちにおいしいと評判の日本のホヤ。
それは三陸の海の恵みでもありました。
宮城県牡鹿半島。
金華山を望む小さな港、寄磯。
この浜がある鮫浦湾は日本一のホヤ養殖の産地です。
震災で、半島の養殖棚は全て壊れました。
あれから4年。
ホヤは見事に復活していました。
≫震災後、見事に復活した宮城のホヤ。
3年かけ、ようやく売り物のサイズになります。
≫震災発生の年、養殖棚を再建し種付けした4年ものです。
とれたてのホヤをいただいてみました。
≫震災前、宮城のホヤは水揚げの70%を韓国に輸出していました。
≫韓国の輸入禁止措置で打撃を受けたのは漁師だけではありませんでした。
ホヤを輸出していた石巻の業者。
社長の佐々木清孝さんです。
震災で両親と義理の姉を亡くしました。
悲しみを乗り越え再出発した矢先の輸入規制。
会社の売り上げは激減しました。
≫震災の前年度、売り上げはおよそ1億5000万円でした。
ところが、昨年度の売り上げはおよそ10分の1の1400万円にまで落ち込んだのです。
≫このままいくと廃業も考えなければならないといいます。
石巻には韓国への輸出を専門に行ってきたホヤ漁師もいます。
宮城県牡鹿半島の小渕浜で大規模な養殖を手がける佐藤秋義さん。
≫海一面に広がるのはホヤの養殖棚です。
ここでとれるホヤだけで金額にして3億円相当になるといいます。
これだけの量のホヤを国内に出荷すると値崩れしてしまいます。
一切流通させていません。
韓国への輸出が再開しなければ4年もののホヤは廃棄するほかないのです。
現在、佐藤さんは東京電力に対して損害賠償請求をしています。
≫この港に揚がる魚介類の安全性をアピールすることは急務となっていました。
そこで石巻魚市場では独自のシステムを取り入れました。
毎朝、水揚げされる海産物の中から抜粋して放射性物質の影響を調べているのです。
市場では65ベクレルを超えた海産物は自動的にはじかれるように設定しています。
この65ベクレルは国が定める1kgあたり100ベクレル以下という基準よりも厳しい値です。
更に、証明書を求められれば身をすりつぶして別の検査機器にもかけています。
このように二重の検査を行ってもこれまでに放射性物質は一度も検出されていません。
≫今も続く原発事故の影響。
韓国ではすでに別の産地のホヤが出回っています。
このままでは得意先を失う。
養殖業の佐藤さんは将来の輸入禁止解除を見据え業者に直接訴えます。
≫安全で質の高い宮城のホヤを売り込みます。
≫宮城のホヤが消えた韓国の市場。
安全性が理解されるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。
2015/03/11(水) 14:00〜15:50
関西テレビ1
FNN報道特別番組震災と原発と日本の覚悟[字]

あれから4年、報道特別番組は「原発」を考える。今年は原発が再稼働する可能性も…
今だからこそ“私たちが原発と生きる”覚悟を問いかける。

詳細情報
ご案内
http://www.fnn−news.com/311−4yrs/
番組内容
番組は廃炉作業の拠点でもあるJヴィレッジ内の特設スタジオから生放送。

政府主催の追悼式典を被災3県の表情とともに伝え、原発20キロ圏内の住民の暮らし、生産者を悩ます食材の風評被害、さらには廃炉作業を阻む汚染水の問題や放射性廃棄物の行方など…番組は、これまで以上に広く深く、震災と原発を取材し視聴者に「原発」を考える材料を提示。
▽ナゼ?白斑も…福島の動物に異変
▽原発汚染水の問題を専門家と徹底解説
番組内容2
▽旬なのに…3億円相当の海の幸が廃棄の危機
出演者
【キャスター】
安藤優子 
坂井有生(福島テレビアナウンサー) 

【ゲスト】
西田敏行 
青沼陽一郎(ジャーナリスト) 
丸井敦尚(政府の汚染水処理対策委員) 
中川恵一(東京大学医学部附属病院・放射線治療部門長) 

ほか
スタッフ
【チーフプロデューサー】
立石修 

【プロデューサー】
吉澤建一 

【総合演出】
宇田川里 

【制作】
フジテレビ

ジャンル :
ニュース/報道 – 報道特番

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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