(東孝彦)やあ諸君!今日もいい天気だね!はい。
これこれ差し入れ。
ありがとうございます!皆さん署長から差し入れ頂きましたー!はいはいはいはい。
(遠山修介)署長ご機嫌ですね?
(二宮功一)何かいいことあったんですか?いやいやいやもう全然たいした事ないんだけどさ次の人事で銀座署署長への異動の内示もらっちゃってさ。
(仙堂卓巳)すごい!それって栄転じゃないですか!おめでとうございます!いやいやいや…。
それもこれも私の人徳?あっいやいやあの…みんなのさ尽力のおかげだよ。
いやいやいや署長の人徳ですよ〜!私一生ついていきます!いやいや…。
いや…そういえば佐久間はどうしたの?
(二宮)あ今日はランチお見合いです。
え?相手は?
(水沢響子)私のね友達の妹なんですけど…。
証券会社に勤めててすっごくまじめでいい子なんですけどなかなか縁がなくて…。
だからその子と。
(中野真理)佐久間さん。
1つ聞いてもいいですか?
(佐久間裕司)はいどうぞ。
(真理)退屈な人間はどうやって自分の殻を破ったらいいんでしょう?…はい?あっ…私趣味もないし仕事も株価とのにらめっこだし男の人と付き合った事もありません。
こんな退屈な私でも変わる事が出来るんでしょうか?いや…えっ…どうしてそんな話を僕に?だって佐久間さん刑事だし刺激的な毎日を送ってらっしゃるでしょ?刺激的…いや結構大変ですよ?危険な目にも遭いますし…。
うらやましい…。
うらやましい?私もそんな体験してみたい。
風も気持ちいいし最高ですね屋形船。
(長崎雄彦)おい!船を止めろ!大人しくしろ!動いたら撃つぞ!キャーッ!
(鈴木洋介)バカなまねはよしなさい。
この野郎死にてえのか!大丈夫ですか!?なめんじゃねえよ!
(銃声)ありがとう。
はい。
(携帯電話の呼び出し音)ありがとうって言われました〜!何それ。
(糸村聡)誰もいない…。
(電話)もしもし?屋形船がシージャックされています。
(佐久間)散弾銃を持った男が従業員と客を人質に立てこもっています。
「立てこもりって…」立てこもり!?
(佐久間)現在人質は13名。
内1名が散弾銃で頭部を殴られ負傷しています。
(長崎)余計な事言うな!その携帯置いて下がれ。
新機種に換えたばっかりだから乱暴に扱わないでね。
(長崎)下がれ。
警視庁の高山刑事部長を呼べ。
(長崎)「こちらの要求はそいつに話す」「この携帯の番号にかけ直せ!」
(高山刑事部長)私と交渉したい?なぜ?
(野口)どうやら先日の新聞のインタビューを見たそうです。
(佐久間)おしぼりで拭いてあげて。
はい。
あのちょっといいかな?こんなにたくさん人質がいてもしょうがないだろ。
逃げにくいだろうし。
俺が代表して人質になる。
他のみんなを解放してやったらどうだ?
(長崎)うるせえ。
黙ってろ!
(携帯電話)もしもし?警視庁の高山だ。
私に話があるそうだな。
(長崎)「あんたに調べてほしい事がある」
(高山)なんだ?2週間前西田紀子という女が死んだ。
(長崎)「警察は自殺として処理したがそれは違う」彼女は殺されたんだ!
(高山)殺された?誰に?それを探すのがお前たちの仕事だ!いいか?今日の夜12時までに真犯人を探してここに連れて来い。
さもないと人質は全員殺す!ちょっと待て。
君は一体誰なんだ?なんの根拠があって殺されたなんて言ってる?亡くなる直前…。
「彼女は会社の不正経理の証拠をつかんでた」不正経理?それは本当か?いいから急げ!おい!ちょっと…。
「西田紀子」ヒットしました。
2週間ほど前渋谷区笹塚の自宅アパートで自殺してますね。
管轄は渋谷北署ね。
(野元)亡くなったのは西田紀子30歳。
晴海陶器に勤めるOLだ。
2週間前に会社から彼女と連絡が取れないと通報を受け自宅に向かったところ浴室から遺体で発見された。
(野元)死因は一酸化炭素中毒及び左手首をリストカットした失血死。
遺体は死後2日が経過しており争った形跡もなく金銭や人間関係のトラブルも見当たらず携帯に遺書らしき文面が残っていた事から俺たちは自殺と断定した。
その遺書の文面というのは…?ああこれだ。
「もう疲れました。
楽になります」
(野元)彼女は営業部でガラスや陶器の原料の買い付けを担当してたんだが昨年までは企画本部で商品開発を手掛けていたそうだ。
彼女が不正経理の証拠をつかんでいたっていうのは…?
(野元)ああ確かに匿名でそういうメールももらった。
ただ会社の経理の協力を得て調べたんだがそういう事実はなかった。
ああ…。
となると立てこもり犯の訴えは…。
(野元)そいつの勘違いかガセネタだろ。
遺留品も見るか?残ってるんですか?
(野元)遺族が受け取りを拒んでるんだよ。
これは…?ああバッグの中に入ってた。
なぜこんな物が彼女のバッグの中に…?いや知らないよ。
これ指紋は検出されたんですか?ああ彼女の指紋だけな。
あんたら本気で再捜査するつもりか?それが犯人の要求ですから。
月島中央署ってのは一番暇こいてる所轄だよな?平和ボケしたあんたらに俺たち以上の事が出来るのかね?
(佐久間)なあ亡くなった西田紀子さんっていうのは君にとって何なんだ?いや…こんな犯罪まで犯して真相を探ろうとするなんてどういう関係なんだろうな〜と思って…。
いや…彼氏だったらもっと詳しい話を知ってるだろうし兄弟でもなさそうだしさ…。
(長崎)無駄口たたくなって言っただろ。
「犯人から警察への要求が明らかになってきました」「2週間前陶器メーカー勤務のOLが自殺したのは…」刑事部長!速報が!「会社の不正経理が原因の殺人事件であり警察にこの事件の再捜査を要求するというもので…」なんだこれ…。
どこから情報が漏れた!「連れて来るよう要求している事も…」失礼ですが会社ぐるみで隠蔽してるなんて事は…?
(五十嵐)表沙汰になった時のダメージを考えたらそんな事は出来ませんよ。
今回の騒動を見てください。
不正経理を疑われただけで会社の株は暴落し抗議の電話が殺到してるんですよ?あの西田さんは半年前まで商品企画部にいたんですよね?
(五十嵐)ええ…会社の都合で営業部に異動になりました。
確かに彼女その事については強い不満を持ってるようでした。
(五十嵐)空いた時間によく企画書を作っては商品企画部の上司に送ってましたから。
(立花裕一)これはうちで販売している物ではありませんね。
そうなんですか…。
こちらうちの商品なんですがデザインも仕上がりも正直うちの方が上です。
まあただ職人さんが作る本格的な物には全然かないませんけどね。
てっきり西田さんが手掛けた物かと思ってました。
彼女は主に食器などの陶器を担当してましたからね。
それに…。
江戸切り子を外したのは本当かね?
(西田紀子)主任。
お言葉ですがいつまでも過去の産物に固執するのはいかがなものかと。
過去の産物…。
携帯2つも持ってらしたんですか?ああこれは仕事用に支給されてるものです。
あっ中野さんちょっといいですか?えっそんな事出来ません…。
少しでも犯人の情報を外に伝えたいんです。
でも…。
大丈夫。
僕を信じてください。
そう。
いきますよ。
(携帯カメラのシャッター音)おい何撮ってんだ!?いや無事にここを脱出できたら週刊誌とかに売れるかなと思って…。
お前ふざけんなよ!
(長崎)命が惜しけりゃ大人しくしてろ!監査法人にも確認を取りましたが不正経理の実態はやはり見当たりませんね。
被害者が他殺の可能性は?
(仙堂)捜査員の話を聞く限り西田さんの死を自殺だと断定した渋谷北署の見方に間違いはないと思います。
やっぱり立てこもり犯の思い込みなんじゃないのか?
(メールの受信音)真理ちゃんからだ。
犯人の写真だ!遠山!これこれすぐにプリントアウトして!はい!すみません。
西田英也さんいらっしゃいますか?親方なら出てるよ。
じゃあ待たせてもらいますね。
ふ〜ん…。
これは見事ですね〜。
職人の技って感じで。
え?まあ自分も職人の端くれなんで。
こちらの工房は西田さんとあなたで?人雇う余裕なんてないよ。
ってか新しい奴入れたって親方に付いて行けっこねえな。
厳しい方なんですね。
厳しいなんてもんじゃ…。
でも親方の腕日本一だからな〜。
日本一の江戸切り子職人です。
間違いないです。
じゃあ未来はあなたも巨匠ですね。
へへへ…。
まあ一応一番弟子なんで。
俺しかいないけど…。
あっ時に…。
西田さんの娘さんの紀子さんご存じですか?ああ紀ちゃん…?もう随分前に出てってかわいそうに自殺しちゃったんだ。
この間親戚のおばさんが紀ちゃんの遺骨持ってきて親方ともめたんだよ。
親戚…?なんか亡くなった親方の奥さんの姉さんだか妹だか…。
あ〜亀有の方で居酒屋やってるとか…。
あっ親方!なんかお客さんが…。
えっと?えっと?誰だっけ?えっ誰でしたっけ?わたくし月島中央署の糸村と…。
(西田英也)帰ってくんな。
油売ってんじゃねえこのタコスケ野郎!絶対にあの男だけは許せない!紀ちゃんがあんな事になったのに自分には資格がないの一点張りで荼毘に付す時でさえ来ないのよ?もう私頭にきちゃって。
いくら血が繋がってなくてもあんたの娘でしょって…。
それじゃあ紀子さんはその…連れ子さんだったんですか。
ええ。
紀ちゃんが5歳の頃だったかな…。
うちの姉と再婚して。
最初は親子3人和気あいあいうまくいってたんだけどね…。
まあ時代なのか大企業の大量生産や輸入品に押されてどんどん西田の仕事も減ってったのよ。
健気なのはうちのたみ姉ちゃん。
朝から晩までボロボロになるまで働いて必死に家計を支えて…。
西田からは何一つねぎらいの言葉もなくそれでも姉は黙って働き続けて…。
それで無理がたたって…。
お母さーん!
(女性の声)それ以来紀ちゃん西田と口をきかなくなってね。
(西田)紀子!
(岡本幸子)大学の時一度だけ紀子が酔って話してくれた事があります。
家が苦境に立たされてた頃ある大企業が紀子のお父さんに業務提携を申し込んだそうです。
でも紀子のお父さん職人の魂を売りたくないって断ったそうなんです。
断った…?
(紀子)あの人がくだらないプライドを捨てて企業と手を組んでくれたらお母さんはあんな苦労せずに済んだの。
死なずに済んだのよ…。
(幸子)ちょちょちょ…。
紀子…。
私はあの人絶対許さない。
死ぬまで絶対許さない…!
(遠山)立てこもり犯の素性が割れました。
亡くなった西田紀子の同僚で名前は長崎雄彦。
さっきはドキドキしました。
え?犯人を捕まえるためにあんな危険を冒せるなんてやっぱり刑事ってすごい…。
(佐久間)シーッ!
(携帯電話)もしもし?
(高山)君が誰だかわかったよ。
長崎雄彦だね?
(高山)「西田紀子さんはやはり自殺だったよ」横領の実態もなかった。
そんなバカな…!本当にちゃんと調べたのか!?もちろんだ。
会社側もキッパリ否定してる。
(高山)「君どこで横領の疑惑を知った?」君が彼女にストーカー行為を繰り返し会社に注意された事は知ってる。
少なくとも彼女の口から聞いたとは思えないんだがなあ。
いや…それは…。
これ以上立てこもっても無駄だ。
(高山)「大人しく出てきなさい」出動!
(一同)オーッ!なあ今ならまだ軽い罪で済む。
(佐久間)「刑事の俺が言うんだから間違いないよ」だから今すぐその銃を捨てて人質を解放しなさい。
残りの人生刑務所で過ごすような事になってもいいのか!?うわー!もしもし?もしもし!?
(鈴木)助けてくれー!助けてくれー!助けてくれー!助けてくれー!
(鈴木)助けてくれ!
(銃声)
(女性たちの悲鳴)
(銃声)
(SIT隊員)制圧!
(女性たちの悲鳴)
(サイレン)
(高山)「犯人は散弾銃を所持し非常に興奮状態にありました」「あのまま放っておけば人質に危害が及ぶ危険があった」「よって緊急避難の規定により今回の射殺は正当な判断によるものであり何ら問題はなかったと…」なるほど…わかりました。
えーでは屋形船に同乗していた鈴木洋介さんとはどういったご関係ですか?ご関係…。
ただのギャンブル仲間ですよ。
ギャンブル。
ええ。
なんか大きな穴とったんで屋形船ごちそうしてくれるって言うからついてきただけなんです。
犯人死んじゃったけど無事解決してよかったよ。
ケガ人でも出てたら栄転の内示ぶっ飛んでたかもしれないからな。
署長は自分の事しか頭にないんですか?いやだって思いがけない誤算って人生にはあるだろ?結婚に失敗した君ならわかるだろ?な?ハハハハ…。
大きなお世話です!おお佐久間!ご苦労さんご苦労さん。
なんだよなんか冷たいな…。
佐久間?なんかあったの?いやなんか…。
なんか気になるんですよね…。
ちょっと…ちょ…糸村君じゃないんだからさまとめていかないといつまで経っても終わらないよ?お疲れさまです。
ああ真理ちゃん事情聴取終わった?はい。
(遠山)ご協力ありがとうございました。
私にとって今日は色んな意味で運命的な一日になりました。
今日疲れたでしょ?もう明日さ会社休んじゃったら?大丈夫です。
今回の立てこもり事件と不正経理疑惑で晴海陶器の株価が2割以上下がってうちの会社も大変みたいで…そんな事言ってられません。
じゃあさもう夜も遅いし佐久間送ってってあげたら?いいですいいです大丈夫です。
うち近いですし。
あ…。
ありがとうございました。
では…。
じゃあ気をつけてね…。
はい。
はあ…。
こんな事になんなきゃね…。
でも佐久間いい子でしょ?おい二宮!お前鈴木さんと連絡取れたか?いやまだ病院にいるみたいであと2時間ぐらいかかるそうです。
俺ちょっと行ってくるわ。
ちょ…ちょっと佐久間!?こんな…刑事さんにご足労をわざわざ頂かなくても私の方から伺いましたのに。
ああ…いや全然たいした事じゃないんですよ。
一通り話を聞くっていうのがまあ決まりみたいなもので。
あっそれよりケガ大丈夫ですか?ええおかげさまで。
1週間もあれば完治するそうで。
刑事さんの方こそ大丈夫なんですか?いえいえ僕なんか…お酒飲んでれば治ります。
(2人の笑い声)はあ…。
いやあでも最初鈴木さんが犯人に向かって行った時は驚きましたよ。
勇気ありますね。
いやあそんな…全然。
最後に屋形船から飛び出した時も驚きましたが。
暑さと緊張でパニック起こしちゃって。
いやいや…。
あっちなみに鈴木さんお仕事何されてるんですか?私フリーターなんです。
フリーター…。
ちなみにどんな?まあ色々と。
ああどうぞ。
すいません。
つかぬ事をお伺いしますが鈴木さんギャンブルお好きみたいで。
まあ人並み程度です。
でギャンブルに勝つと屋形船に乗られるわけですか。
なんか取り調べ受けてるみたいですね。
ああいえいえ…すいません。
じゃあもう遅いんで僕行きます。
お父さんおいくらですか?いやいやここは私が。
いやいや…じゃあ割り勘って事で。
1人…これ?2?2。
じゃあ2置いときます。
いや〜今度またゆっくり飲みましょうよ。
私しばらく旅に出ますんで戻ったらぜひ。
うらやましいな〜。
じゃあ土産話楽しみにしてます。
じゃあまたいつか。
また。
(佐久間)あの犯人に立ち向かってった人覚えてますか?はい。
あの人はよくこの屋形船利用しますか?ええ。
年に2〜3回は会社の人と歓送迎会なんかに。
会社の人…?アルバイト仲間とか?いえいえ角紅物産ですよ。
領収書お切りしてるので間違いありません。
角紅物産…。
一流企業ですね。
(望月)鈴木は確かにうちの社員でした。
ただひと月前一身上の都合とかで突然退職しまして。
(佐久間)ひと月前…。
ちなみに鈴木さんはこちらでどんな仕事を?鈴木は国外からの珪砂の仕入れを担当してました。
ごめんなさい。
珪砂ってのは?
(望月)主にガラスや瓶の原料に使用されるものです。
(佐久間)という事は晴海陶器とも取引を?
(望月)ええ大口のお得意さんです。
あのその晴海陶器の担当の方のお名前わかりますか?それが2週間前にお亡くなりになられて後任がまだはっきり決まってないんですよね。
その方もしかして西田紀子さんという方じゃないですか?えっ?よくご存じですね。
繋がった!
(仙堂)どうも。
(野元)あんたらもしつこいなあ。
どんな些細な事でも結構なので。
(野元)上には上げてないんだけど1つだけ気になる事があってな。
というと?
(野元)テレビがついたままだった。
しかもマル害とはとても縁があるとは思えないギャンブルチャンネルがついてた。
リモコンから対照可能な遺留指紋が出たが前歴者に該当者がなく自殺と判断した。
2人が顔見知りだった!?ええ。
西田紀子さんは晴海陶器で珪砂の仕入れを担当しています。
しかも彼女亡くなる直前頻繁に鈴木に連絡を取っています。
こんな大事な事を隠してるっておかしいと思いませんか?でも…それと西田さんの死を結びつけるのはちょっと無理があるんじゃないのかな。
課長!西田紀子さんなんですが生前色々なガラス工房を回って珪砂を集めていたそうなんです。
なんでそんな事?自分の会社の珪砂と比べたいからだと。
すいませんでした。
失礼します!工場長の話によると仕入れた珪砂の質がよくなかったので営業の西田さんを呼び出して仕入先に確認してもらえるよう頼んだそうなんです。
(遠山)課長その珪砂分析してみましょう。
それはもう科捜研にお願いしてあります。
もうすぐ来るはずなんですけどねえ。
(村木繁)糸村さん。
ん?出ましたよ検査結果。
何してるんですかそんなところで…。
えっいや…。
あれ?オシャレしてる!
(村木)いやいやいや…。
オシャレしてる!いいですからそんな事。
あの科捜研の村木さんです。
すいませんわざわざこんなところまで。
いえ糸村さんの非常識さにはもう慣れっこちゃんですから。
ハハハハ…。
シーッ!慣れっこちゃんってなんですか?うるさい!よろしいですか?お願いします。
これは晴海陶器が仕入れている珪砂。
と糸村さんが江戸切り子の工房から分けてもらった珪砂。
どちらも角紅物産から同じ種類の珪砂を仕入れていました…が中身が違います。
この晴海陶器が仕入れていた珪砂には安物の珪砂が混じっていました。
どういう事?つまり不正が行われていたのは仕入先の角紅物産だったって事だ。
その事を西田さんは知っていた。
だから頻繁に鈴木のもとを訪れてたんだ。
じゃあ長崎は…?長崎は西田さんをストーキングしていた。
その過程で鈴木を知った。
いやでもあの2人屋形船では他人のふりをしてた。
なんでだ?丸め込まれたんじゃないかな。
丸め込まれた!?ええ。
西田さんの自殺に疑問を持った長崎は鈴木を問いただした。
鈴木は弁明したでしょうね。
自分は西田さんから会社の横領について相談を受けただけだと。
しかし長崎は納得しなかった。
そこで鈴木は長崎に立てこもりを持ちかけたんです。
警察に再捜査してもらうためにはそれしかないと。
(二宮)それじゃあ一体なんのために?おそらくそれは長崎の口を封じるためだ。
鈴木は最初から長崎を警察に射殺させるつもりだったんだ!だから我々の説得に長崎が応じそうになった時急に大声を出して外に飛び出し長崎を慌てさせた。
助けてくれー!助けてくれー!助けてくれ!課長鈴木を任意で呼びましょう。
署長に相談してくる。
(電話)はい東です。
ああ刑事部長その節はどうも。
(高山)「月島中央署は何をやっとるんだ!」角紅物産と晴海陶器から連絡があった。
君たち何を嗅ぎ回ってる?立てこもり事件に裏があった可能性があります。
それに西田紀子さんがやはり殺害されていた可能性も…。
事件はもう解決してんだ!余計なまねすんな!ですが…刑事部長!君ら組織に泥を塗る気か?それが何を意味するのかわかってるのか?お言葉を返すようですが刑事部長捜査はこのまま継続させます。
署長…?あいつら必死になって調べて真犯人の尻尾をつかみかけてます。
真実を追求し闇に潜む悪を暴く。
それが警察の仕事です。
確か刑事部長のお言葉ですよね?
(真理)今回の立てこもり事件と不正経理疑惑で晴海陶器の株価が2割以上下がってうちの会社も大変みたいで…。
大丈夫だから。
うわー!
(銃声)
(野元)リモコンから対照可能な遺留指紋が出たが…。
ギャンブル仲間ですよ。
そうか…全部ギャンブルだ!鈴木の自作自演…?高飛びする可能性があります。
金融商品取引法違反容疑で逮捕状請求!責任は私が取ります。
ありがとうございます。
行くぞ!
(一同)はい!
(遠山)すみません警察です。
鈴木洋介さんあなたには逮捕状が出ています。
金融商品取引法違反。
あなたは長崎を利用し故意に晴海陶器の株価を暴落させた。
これはあなたの株の取引の記録です。
立てこもり事件の前に大量に空売りをして株価暴落のあとに買い戻している。
その差額で得た利益はおよそ1億円。
金融商品取引法違反についての罪は認めるんですね?
(鈴木)ええ。
では西田紀子さん殺害についてなんですが…。
ちょっと刑事さん…。
確かに株の不正に関しては認めます。
しかしさっきからなんですか?これは明らかに別件逮捕だ。
速やかに弁護士を呼んでください。
もちろん弁護士は手配させて頂きます。
しかしその前に僕に5分だけ時間をくれませんか?
(鈴木)これ以上何を聞く事があるんですか?これはあくまでも仮定の話です。
あなたと西田紀子さんとそして屋形船籠城事件についての。
続けます。
えー例えばあなたは晴海陶器に卸していた珪砂に質の悪いものを混ぜその差額をせしめた。
そしてそれを知った西田紀子さんはあなたに詰め寄る。
告発しますから!ちょっと…話しましょうよ。
絶対告発しますから!
(佐久間)彼女は告発すると言ってきかない。
困ったあなたは彼女を襲い自殺に見せかけて殺害した。
(鈴木)素晴らしい想像力ですね。
刑事なんて辞めて小説でも書いた方がずっといい。
いやいやいや…。
むしろあなたの方が向いてるじゃありませんか。
だってあなたは西田紀子さんを殺害しただけではなくそれを利用した屋形船籠城事件まで思いついたわけですから。
私が自ら人質になるんだから心配する事ない。
でも…。
愛する人の無念を晴らすため大きな組織に立ち向かう…。
事件が終わる頃には君は間違いなくヒーローだ。
(佐久間)西田紀子さんのストーカーだった長崎に目をつけあなたは長崎を丸め込んだ。
早く弁護士を呼んでください。
まだ話は終わっていません!あなたに付き合いきれない。
証拠も何もないのに侮辱するのも程がある。
(ノック)きた…。
どうぞ。
失礼します。
鈴木さんあなたは西田紀子さんの部屋に伺った事ありますか?あるわけないでしょ。
そうですか。
西田紀子さんが亡くなった夜西田さんの部屋のテレビはついたままでした。
そうですよね?佐久間君。
ええ。
しかも彼女に到底縁があるとは思えないギャンブルチャンネルが。
「
(競馬の実況)」先ほどあなたからご提供頂いた指紋と西田紀子さんの部屋にあったテレビのリモコンから検出された指紋が一致しました。
(佐久間)ギャンブル好きがあだになりましたね。
俺の最大の誤算は人質の中に刑事がいた事だな。
あんたの事出会った時から俺の一番嫌いなタイプだと思ってたよ。
(佐久間)そいつはすいませんでしたね。
(ため息)刑事さん…人生なんてギャンブルなんです。
勝つか負けるか。
でも勝負に出ないと勝つ事なんて出来るわけがない。
だから俺は今までずっと勝負してきた。
今回だって俺からすれば博打に過ぎないんですよ。
人の命がギャンブルですか?フッ…。
ハハハ…。
もうとっくにジャンは鳴っていた。
俺はこのまま逃げ切るはずだった。
まさかあんたらみたいな下っ端刑事たちに邪魔されるとは…。
あんたたちの勝ちだ。
勝ち負けじゃないんですって。
たとえあなたがどこでどんな悪さをしようと必ずその町の刑事たちがあなたを追い詰める。
現場の刑事たちを甘く見ないで!タバコ消してもらっていいですか?紀ちゃん…お父さんのところに帰ってきたんだよ。
今までの事…義兄さんの事目の敵にして本当すいませんでした!言いたい事言ったんなら帰ってくんな。
西田さん…。
あんたって人は…!親方…。
うるせえ!あんたも帰ってくんな。
仕事の邪魔だ。
西田さん僕に3分だけ時間をもらえませんか?紀子さんの足取りを追う中で江戸切り子職人の小野寺さんを訪ねました。
(小野寺聡)彼女は私と息子の恩人の娘さんです。
20年前大手のガラス会社から業務提携の話があったそうですね。
でも結局あなたはその話を断った。
いえ正確には小野寺さんにその話を譲り渡した。
なぜなら小野寺さんの息子さんは心臓に難病を抱えていてその治療に多額の費用が必要だったからです。
小野寺さんの息子さんはそのかいあって病気を克服し今では江戸切り子職人として父親のもとで修業をしています。
西田さんの善意が彼の命を救ったんです。
やめてくれそんな話。
そんなのは私のエゴだ。
結局そのせいで私は妻も娘も失った…。
西田さん紀子さんは亡くなる少し前に小野寺さんからその話を聞いています。
あなたの下した決断が一人の人間の命を救ったという事実を紀子さんは知ってたんです。
その話を聞いた直後から紀子さんは江戸切り子の教室に通い始めました。
そして…このお猪口を作りました。
(西田)キュー…。
ほーら。
ほら見てごらん。
ほらきれいに出来た。
面白いか?面白い!ハハハハハ…。
紀子さんの遺品のパソコンの中には江戸切り子の伝統技術を世界に向けて発信するという企画が残っていました。
その職人の候補者の中には西田さんの名前もあります。
紀子さんは西田さんの本当の優しさを知って西田さんの姿を思いながらこのお猪口を作ったんじゃないかと思うんです。
(西田)そーっとだよ。
そうだそうだ。
はいいくよ。
はい!紀子さんはこのお猪口をいつの日かあなたに渡すつもりだったんじゃないでしょうか。
言葉ではうまく伝えられない不器用な紀子さんにとってこのお猪口はあなたへの詫び状だったんじゃないかと僕は思います。
俺に資格はないだろ…。
だって…お前の母さん殺したのは俺じゃないか…。
紀子…。
お前を一人ぼっちにしたのは俺じゃないか…。
ん?えっ!?栄転話が飛んだ?それどころか左遷の話も浮上してるそうです。
(遠山)いやいや…でもなんでそんな急に?だから言ったろ。
俺はお前たちの捜査を継続させるために体を張ってだな…。
(佐久間)いやいやいやいやそういう恩着せがましい嘘とかいいですから。
水沢君なんとか言ってやってくれよ!あっああ…。
真理ちゃんどうしたの?突然押しかけてすみません。
でもあふれる胸の思いをどうしても抑え切れなくて…。
あっ…。
しっかり受け止めなきゃダメですよ。
佐久間!あなたに救出された時この人だって思いました。
遠山さん結婚を前提に付き合ってください。
女性を優先します!はい?いやいや困りますよそんなの…。
佐久間さん!遠山…。
(遠山)はい。
おめでとう。
2015/03/11(水) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
[終]遺留捜査2[再][字]
「屋形船が乗っ取られた!!母を殺した江戸切子グラス」
詳細情報
◇番組内容
「遺留品」に込められた最後のメッセージに耳を傾け、被害者の本当の想いと事件の真相に迫る刑事・糸村聡(上川隆也)——
あの風変わり刑事・糸村が帰ってきた!
◇出演者
上川隆也、斉藤由貴、八嶋智人、田中哲司、岡田義徳、正名僕蔵、眞島秀和 / 三宅裕司 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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