社説:東日本大震災4年 復興に関わり続けよう

毎日新聞 2015年03月11日 02時30分(最終更新 03月11日 02時45分)

 総額25兆円の財源を確保した国の5年間の集中復興期間は来春終了する。政府は国による費用の全額負担を見直し、住宅や堤防建設など本体と位置づける事業以外での地元負担を検討している。

 だが、25兆円のうち9兆円近くは事業の遅れなどから使われていない。しかも、少なからぬ財源は被災地以外で流用されていた。被災自治体が集中期間の延長を強く求めるのは、住宅や公共施設の整備以外にもまちづくりに必須な支援事業があり、新たな需要への対応を迫られる可能性もあるためだ。公共事業重視の復興予算のあり方を点検すると同時に、地元負担に慎重に対応することを政府に求めたい。

 ◇重み増す「共助」の役割

 復興で生活再建の比重が増すと、行政だけで対応しきれない課題もこれからは増えてくる。

 毎日新聞の調査では復興住宅に入居する住民の高齢化率は36%にのぼる。今後さらに進む高齢化に対応するため見守りの徹底や地域共同体の維持など、孤立化の防止が欠かせない。きめ細かく住民の相談に応じるなど、民間やNPOとも連携した「共助」が重みを増してくるだろう。

 安定した雇用の確保が生活安定のカギを握る。公共事業を中心とする復興需要はあと数年で必ず終わりが訪れる。付け焼き刃でない持続可能な地域づくりが問われている。

 第1次産業の再興、急速な高齢化と人口減少、地域共同体の維持など被災地が向き合う問題は決して特殊なものではない。むしろ、日本の社会全体が直面する課題の縮図だ。被災地で苦闘する人たちの姿は、明日の私たちの姿でもある。

 東京電力福島第1原発事故に伴い12万人がなお避難する福島の苦悩は、大都市圏の電力供給を地方に立地した原発が担ういびつな構図から生み出された。だとすれば、生活を再建していく責任を国民全体が分かち合わねばなるまい。

 桃浦の会社では最近、希望を感じさせる出来事があった。千葉県など首都圏に住む若者2人が事業に関心を持ち、入社したのだ。震災前には考えられなかった都会からの人材の参入である。

 復興の道は長く険しい。それでもかつて多くの人がボランティアとして現地で復旧作業に参加したように国民一人一人が被災地に関心を持ち続け、できる限りの協力を惜しまないことが自立への大きな力となるはずだ。4回目の「3・11」にあたり、その思いを共有したい。

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