ガイアの夜明け【「復興への道」第18章 “知られざる特産品”に光を!】 2015.03.10


「GAIA」…それは息づく大きな生命体。
混沌の時代にも希望を見いだし再生を果たして未来へ向かう。
そこにきっと夜明けがやってくる。
東日本大震災では高さ10mの津波が町を飲み込みました。
あれから4年復興に向けて工事が進められています。
こちらは仮設の食堂。
元の店舗は津波で流されたといいます。
震災前から店の看板メニューは変わりません。
黒っぽい海藻がのったこのラーメンです。
この海藻名前はアカモク。
地元では家庭でも食べられています。
この家ではみそ汁にアカモクをたっぷりと入れていました。
アカモクは町の目の前に広がる山田湾でよくとれるといいます。
海の中にカメラを入れると…。
海底から海面に向かってまっすぐ伸びています。
これはカキを育てる養殖用のイカダ。
イカダを固定するロープにアカモクが絡みついていました。
この厄介者のアカモクを漁師から買い取っている人がいます。
地元山田町で生まれ育ったアカモクは秋田や新潟などの日本海側では古くから食べられていましたが岩手など太平洋側では食べる習慣がありませんでした。
橋さんは17年前にアカモクに注目。
加工会社をつくりました。
成分をカリウムはワカメのおよそ2倍。
カルシウムも昆布やワカメより多く含まれていることがわかったのです。
橋さんはこの小さな工場で細々とアカモクを加工し販売してきました。
すると徐々に評判になり今では地元の店や家庭などで食べてもらえるようになったのです。
この限られた地域で食べられてきたアカモクに目をつけた人たちがいます。
被災地の知られざる特産品を全国に売っていく。
新たな復興支援の姿を追いました。
日本最大級の食の商談会。
そこで東北の珍しい食材に脚光が。
そして一気に全国へ。
かつて三陸の人々に愛用されていた幻の椿油。
今驚きの商品に変身する。
津波で愛する者を失った職人が再び立ち上がる。
誇り高き職人魂。
こちらは青森県の南部から岩手県。
更に宮城県の中部までまたがる三陸海岸です。
この三陸沖はプランクトンが豊富なため魚が繁殖しやすく世界三大漁場と呼ばれています。
東日本大震災から4年が経ち三陸の水産業はどこまで回復しているのでしょうか。
例えば岩手県の魚の水揚げ量を見てみると…。
震災前に比べて約64%ですが徐々に回復してきているといいます。
そんな三陸の海の特産品はというとまずこちらのワカメです。
三陸のワカメは色が濃く歯応えがあるのが特徴で今が旬だそうです。
そして次はアワビ。
三陸ではこのように肉厚で甘みのあるアワビがとれるということです。
そして実は三陸にはこんな海の幸もあります。
アカモクというものだそうですが地元以外ではほとんど知られていない海藻です。
今このアカモクに大手企業が注目し全国に売り出そうという動きが始まっています。
『ガイアの夜明け』今回は被災地の知られざる特産品を掘り起こし日本中に売っていく。
東北復興の新しい形を追いました。
ここにOisixという会社があります。
これは独特の香りがするアロマイタケ。
こちらはキャラメルのような甘みがある生キャラメルいも。
Oisixの復興支援のため被災地の知られざる食材を全国に売っていく手伝いができないかと考えていました。
実は高橋さん食の力で被災地を復興させようという団体のメンバーです。
名前は東の食の会。
OisixやCAFECOMPANY。
それにキューピーやKIRINぐるなびといった企業34社が名を連ねています。
Oisixの高橋さんがやって来ました。
おはようございます。
おはようございます。
ここであるセミナーを開くためです。
セミナーは東の食の会が主催しこの日が14回目の集まりでした。
震災でダメージを受けた三陸の漁業を復活させるため地域や県の垣根を越えて協力し合おうという試みです。
そこに岩手県・山田町のあのアカモク加工業者橋清隆さんも参加していました。
続いて立ち上がったのは…。
宮城県・塩釜市でアカモクの加工をしているこのセミナーで知り合った同業者の2人。
これまで互いに細々とアカモクを売ってきましたが今後は一緒になって販路を拡大していこうとしていました。
セミナー終了後…。
Oisixの高橋大就さんがアカモクを全国に売り出すためのアドバイスをしていました。
実は岩手の橋さんはあかもくという名前で販売しています。
一方宮城の赤間さんはぎばさという名前で販売。
しかも新潟ではながもという名前で売られています。
地域によってバラバラなのです。
日本三景のひとつとして知られるセミナーの翌日Oisixの高橋大就さんがやって来ました。
出迎えたのは赤間さんです。
岩手と同様宮城でももともとアカモクを食べる習慣はありませんでした。
ここ松島湾でもアカモクが大量にとれることから製品化に取り組んだんですけど…。
ここが赤間さんの工場。
高橋さん加工の様子を見学に来ました。
収穫したアカモクは異物やかたい茎の部分を取り除きます。
そしてお湯に浸すとすぐに鮮やかな緑色に変わりました。
それを冷ましてから細かくミンチ状にすると…。
一気にネバネバ感が出てきました。
高橋さん初めてできたてを食べてみます。
赤間さんは月に平均8,000個ほどを販売しています。
商品名に使っているのはぎばさ。
もともと秋田で呼ばれていた名前です。
こちらは料理教室のABCCookingStudio。
東北から帰った高橋さん早速仕掛けたことがありました。
若い女性たちを集めてアカモクの試食会を開いたのです。
まずは何も味付けしていないアカモクを食べてもらうことに。
すると…。
すみませんあえての何もつけないで食べてもらったんですが。
次に麺つゆをかけたものを用意します。
おいしいおいしくなりました。
更にアカモクをトマトやアボカドとあえてサラダにしてみます。
おいしい。
若い女性にもうけることがわかりました。
アカモクは東北では酢の物や味噌汁卵かけご飯などで食べられています。
高橋さんは全国で販売するにあたり新しいレシピを考えることにしました。
例えばこれはアカモクのリゾット。
このネバネバ新食感です。
そのアカモクを持って日本最大級の商談会に臨むことに。
そこには凄腕のバイヤーたちが待ち構えていました。
そしてこのあと驚きの展開に…。
東京江東区のビッグサイト。
2月上旬日本最大級の食の商談会が開かれていました。
そこに宮城のアカモク加工業者赤間さんと岩手のアカモク加工業者橋さんが一緒に参加していました。
この日のために用意していたのがレシピブック。
例えばこれはアカモクとたらこをからめたパスタです。
他にもだし汁と合わせたぞうすいにしめじを混ぜた炊き込みご飯などさまざまなレシピを提案しています。
そして試食会で好評だったあのサラダも用意しました。
どうぞ食べてみてください。
いいんですか?早速バイヤーに食べてもらいます。
うんおいしいです。
ゆっくり全部食べて…。
はい。
あっおいしい。
特に女性のバイヤーには好評です。
次々と試食していきます。
すかさず名刺を交換。
そこに一人の男性バイヤーが現れました。
試食を勧めてみると…。
いかがでしょうか?おいしいですね。
どうもお世話になります。
この人実はイトーヨーカ堂の鮮魚部門の責任者でした。
あのアカモクが売り出されることになりました。
商談会から1か月。
ヨーカ堂のバイヤー小谷さんが取り扱ってくれたのです。
岩手の橋さんと宮城の赤間さん。
店頭に2人並んで売り込みです。
いらっしゃいませどうぞ。
いらっしゃいませ。
いかがでしょうか。
全国展開に向けて共通のパッケージを作りました。
バラバラだった名前も「AKAMOKU」に統一することに。
さて客の反応は?全国展開の第一歩です。
アカモクの仕掛け人Oisixの高橋大就さん。
すでに次の可能性を探っていました。
それをこういった形で一方岩手県の陸前高田。
地域のシンボルである椿を全国に売り出そうと動き出した人たちがいました。
今日は東北のある特産品を使って新商品を開発している会社があると聞いてここ川崎市に来ています。
こんにちは。
よろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
こちらで何かそういう新商品を開発してるってことなんですけども。
特産品を使ったクリームを作っておりますのでどうぞこちらにご案内いたします。
よろしくお願いします。
椿ですね。
すごくこれは自然なものですかね。
植えたんじゃない。
はい自然なものですね。
なんかきれいですねハチミツのような。
この原液のオイルのまま使われてるのかな?昔は。
はいそうです。
それをこちらでは何か調合して…。
そうですね。
クリーム?ふ〜んなるほど。
こちらに投入します。
椿油を入れるわけですか。
はい。
こちらの中で乳化が終わってからすごいな。
わっ!もうベルトコンベアーで流れてきてますね。
先ほど作ったクリームがこのような形でチューブに充填されて仕上がっていきます。
どうぞこちらに。
あっホントだ。
こういった…。
ハンドクリームなんですね。
もしよろしければ。
いいですか?お願いします。
あっなんか香りもいいですね。
そうですね。
カメリア椿っていうのはジャパニーズローズって言われているので。
確かにローズっぽいわ。
どういう思いでこの気仙椿のクリームを作り始めたんですか?やはりそれですと…。
なるほどそうか。
津波の被害が大きかった沿岸部では高台を造るための大掛かりな造成工事が進められています。
この陸前高田の市の花は椿。
3月中旬から4月にかけて見頃を迎え地元では気仙椿の愛称で親しまれてきました。
近所に住む女性が木のまわりで何かを探し始めました。
拾い集めていたのは…。
地元の女性たちが集まっていました。
野菜をふんだんに使ったけんちん汁を作ろうというのです。
具材を炒めるために鍋に入れたのが椿油です。
三陸地方では昔からけんちん汁だけでなく炒め物や天ぷらなどさまざまな料理に椿油を使ってきました。
(スタッフ)椿油を使うとどう味が違うんですか?あのね全然ね…。
こうした料理の他にも椿油はところが徐々に椿の実を拾って搾る人も減り今では椿油はあまり使われなくなってしまいました。
この気仙椿の油を新たな産業に育てようと動き出した女性がいます。
東京からやってきた渡邉さんは以前大手コンピューター会社震災を機に退社し陸前高田でボランティア活動を始めたそうです。
現在は会社を立ち上げ椿油を使った商品の開発を行っています。
この日渡邉さんがやって来たのは江口さんも訪れたあのハリウッド化粧品の工場です。
おはようございます。
お世話になります。
渡邉さんは気仙椿の油を使って化粧品を作りたいと考えました。
いくつかのメーカーに依頼したところ協力してくれたのがハリウッド化粧品だったのです。
全国の百貨店や美容院などで商品を販売しています。
特に中高年から根強く支持されているメーカーです。
渡邉さんとハリウッド化粧品が共同で開発したのがこの2012年に3,000個を試しに作ってみたところ1か月ほどで完売。
渡邉さんは一時的な支援に終わらせないためにも販売先を更に広げていきたいと考えていました。
そこで狙いを定めたのが若い買い物客も多い…。
渡邉さんはハリウッド化粧品の平本さんとともに商談に訪れました。
失礼します。
失礼します。
対応してくれたのは婦人雑貨を担当するバイヤーです。
突然といいますかお忙しいところをご連絡させていただいて…時間取っていただいて非常に感謝しております。
ありがとうございます。
渡邉さん早速気仙椿を使ったハンドクリームを売り込みます。
実際触ってみていただいて…。
化粧品を知り尽くしたバイヤーたちの評価はどうか?穏やかです。
穏やか。
優しい。
上々の反応です。
失礼します。
ありがとうございました。
ありがとうございます。
取り扱いを検討してもらえることになりました。
一方国内最大手の化粧品メーカーも気仙椿の油に注目していました。
椿をシンボルマークにするあの会社です。
12階の社員食堂であるイベントが行われていました。
岩手や宮城の特産品を販売するそこにはこんなポスターが。
三陸・大船渡の名産品を購入して椿を植えよう!資生堂では復興支援の一環として2012年からイベントの売り上げの一部をその植樹の資金にあてようというのです。
こうした復興事業を担当するのが粒マスタード味とオニオン味の2種類を5,000本限定で販売したところ1か月ほどで完売しました。
家田さんある場所へやってきました。
椿油の製油所です。
資生堂やハリウッド化粧品が使う気仙椿の油はすべてここで作られています。
今年も引き続きドレッシングを販売することになったのです。
製油所の入り口には1枚の古い看板が掲げられています。
そこにはある思いが込められていました。
こちらの社会福祉施設の一角に震災後新たにつくられた椿油の製油所があります。
ここで働く一人のベテラン職人がいます。
一緒に働いています。
震災前震災後新たに建てたという石川さんの自宅を訪ねました。
津波は製油所だけでなくあとを継ぐはずだった一日たりとも私の息子のこと忘れることはできないし忘れられないねホントにね。
我が子に手を合わせなきゃならないっていうことがねなんとも言えません本当に。
立ち上がることなかなかできなかったもんね。
でいち早く製油所を椿を搾ることはもうやめようやということをいち早く決めたもんだしまあやる気にももちろんならなかったから…。
やっぱりこうやって現に椿の実はもう花咲いて実がつけてそれは誰がやるの?そう思ってしまえばやっぱり私たちがまたやらなきゃダメなんだな…。
石川さんの復帰を後押ししたものが新たな製油所の入り口に掲げられていました。
以前の製油所はすべて流されましたがこの看板だけは奇跡的に発見されたのです。
加熱した椿の実を搾油機に入れて搾ります。
その日の天候や実の状態を見て圧力のかけ方を調整するのがよい油を作るコツだと言います。
2〜3日寝かせてからろ過すると黄金色の椿油が完成します。
石川さんは今培った技術を未来に繋げるため後継者を育てています。
地下2階にバイヤーが厳選した商品が並ぶ売り場があります。
そこに気仙椿のハンドクリームを企画した渡邉さんとハリウッド化粧品の平本さんの姿がありました。
3月から気仙椿ハンドクリームを置いてもらえることになったのです。
復興への想いをのせた商品がまた一つ新たな一歩を踏み出しました。
地元で食べられている海草のアカモク。
そして昔から料理などに使われてきた気仙椿のオイル。
いずれも地元以外ではほとんど知られていなかったものです。
こうした特産品を企業の力で掘り起こし全国に売り出していく。
そうすることで被災地に新たな産業を生み出す。
そんな取り組みをこれからも応援していきたいと思います。
2015/03/10(火) 22:00〜22:54
テレビ大阪1
ガイアの夜明け【「復興への道」第18章 “知られざる特産品”に光を!】[字]

大手化粧品メーカーが注目するオイル!“気仙椿”の油を使ったドレッシングは瞬く間に完売▼漁師には嫌われる意外な食材、ネバネバした新しい食感の「アカモク」を全国へ!

詳細情報
番組内容
東日本大震災から4年。甚大な被害にあった三陸海岸には、これまで地元以外ではほとんど知られていなかった特産品がある。その特産品に目をつけ、全国に売り出そうという企業が出てきた。被災地に産業を生み出すことで、一過性の支援ではなく長期的な復興支援につなげようという狙いだ。そうした取り組みを取材する。
出演者
【案内人】江口洋介
【ナレーター】杉本哲太
音楽
【音楽】
新井誠志
【テーマ曲】
◆オープニング曲
 「鼓動〜ガイアの夜明け」(作曲/岸利至)
◆エンディング曲
 「夜空の花」(作曲/新井誠志)
「ガイア」とは
ギリシャ神話に登場する「大地の女神」を意味し、後にノーベル賞作家のウイリアム・ゴールディングが「地球」を指して“ガイア”と呼んだことから「ガイア=地球」という解釈が定着している。「ガイアの夜明け」という番組タイトルには、地球規模で経済事象を捉えることで21世紀の新たな日本像を模索すること、そして低迷する経済状況からの再生=「夜明け」を目指す現在の日本を描くという意味合いが込められている。
関連情報
◆ホームページ

http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/

◆公式Twitter

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