(呼び出し音)
(江木徹)「もしも〜し」
(大原路子)あ!徹?「お仕事…まだ終わらないの?」
(徹)ごめん…。
これからもう1件取材なんだ。
新聞社ってホント人使い荒いんだから…。
ねぇ明日は大丈夫?遅れないでよ。
フフ…。
(キャッチホンの音)あ…ごめん電話だ!じゃ。
「もしもし徹?と…」もしもし…。
江木です。
ご連絡お待ちしてました。
(オルゴール)
(徹)南崎展望台を背に左の道ですね。
わかりました。
うっ…!あー!!
(鐘の音)
(白田美紀)視聴者の皆様本日は名古屋中央テレビ人気レポーター大原路子の結婚式でございます。
何とカメラはその控え室に潜入いたしました。
もうやめてください。
フフフ…。
たまにはレポートされる側の気持ちも味わってみるのもいいんじゃない?はい!今のご気分は?はい!えーっと…。
(咳払い)幸せです。
幸せ過ぎて…フフ…怖いくらい。
フフ…!やれやれ…。
じゃあはい!新郎は?はい新郎どこ?それが…まだ来てないんです。
いやまだってあんた!もうすぐお式始まっちゃうわよ!
(江木倫子)大丈夫!徹は伊勢志摩に住んでた子どもの頃からしっかりした子だったもの。
時間までには必ず来るわ。
あ…徹さんのお姉さんです。
(美紀)本日はどうも…。
はじめまして。
こちらが徹さんのお父様。
本日はどうも…。
(江木信彦)よろしく。
路子さんと同じテレビ局に勤めております白田美紀でございます。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
路子さん…。
はい…。
これ…あなたに。
亡くなった母の形見なんだけど徹にお嫁さんが来たらもらってもらおうと思って。
お義姉さん…。
(黒川次郎)路子さん!あ…黒川さん。
路子さん…落ち着いて聞いてくれ。
江木が…。
死んだ…。
え…?
(踏切の音)
(倫子)徹!
(信彦)どうして…。
どうしてこんなことに…!
(ドアの開く音)刑事課長の松岡です。
事故の概要をご説明します。
(松岡)事故があったのはこの辺りです。
あー!
(松岡)暗い道でハンドル操作を過ったのでしょう。
周囲に人家はなく人通りもほとんどない道なので夜が明けるまで誰にも発見されず朝になって工事現場の作業員が見つけたんです。
(松岡)こちらが車に残されていた江木さんの所持品です。
仕事カバンは?仕事カバン?取材ノートとかパソコンとかナイロン製のカバンに入れていつも持ち歩いているはずなんですが…。
そのような物はありませんでした。
これは…?
(松岡)黒真珠ですね。
伊勢志摩は真珠の本場です。
江木さんはたぶん…これを買いにいらしたんでしょう。
今日が結婚式のご予定だったとか…。
こんなものを買いに来て徹は命を落としたって言うの?だってそうでしょう?大事な弟が真珠のために…真珠のために死ぬなんて…。
私…納得出来ない…。
(倫子の泣き声)これは…。
(鐘の音)
(お経)
(お経)
(島夕子)もしかして…あなたが路子さん?え…?江木くんから聞いていたから…。
でも想像していたのとはだいぶ違うわ。
彼ならもっといい女を選ぶと思ってたけど…。
え…?
(沢村仁志)社長。
そろそろ行かないと…。
待ってください。
あなたは…。
「クイーンズパール代表取締役島夕子」あなたは徹さんの…。
恋人。
え…今何て?ちょっと待ってください…。
待って!
(松岡)大原さん。
はい…。
(松岡)ご子息の車にこのような血痕が付着してました。
血液型はAB型。
事故当日午後9時10分頃鳥羽市内でひき逃げにより死亡した中国人の血液型と同じです。
ひき逃げ?目撃者によればひき逃げの犯人が乗っていたのは白いセダンということです。
江木さんの車も白いセダン…。
はっきり申し上げます。
我々はご子息がひき逃げの犯人ではないかと…。
そんなバカな…。
白いセダンなんてどこにでもあるでしょう!それに血液型だけじゃ証拠にならん!
(松岡)今DNA鑑定を進めてます。
結果が出次第被疑者死亡のまま送検します。
江木徹は自分の犯した罪におののき逃亡を図ろうとしてスピードを出しすぎ事故に遭った。
我々はそう見てます。
ウソよ…ひき逃げなんて…私は信じない…。
徹があの子がそんなこと…するはずない…。
(倫子)あなたのせいよ!あなたと婚約なんかしなかったら徹はこんなことにならなかったのに!倫子…。
厄病神!
(倫子)ご両親の事故死だってあなたのせいじゃないの?落ち着きなさい。
お義姉さん…。
私はあなたのお義姉さんなんかじゃない!お義姉さんなんて二度と呼ばないで!
(倫子の泣き声)路子さん。
こんな時に言いたくないんだがこのマンションは売りに出そうと思ってる。
え…?申し訳ないが1か月以内に出て行ってくれないか。
わかりました…。
(オルゴール)
(オルゴール)徹…どうして…?どうして死んじゃったの?私を置いて…。
どうして…。
(オルゴール)鍵…?
(黒川)んー何の鍵だろうなぁ。
うちのデスクやロッカーの鍵とも違うようだし。
黒川さん徹さん伊勢志摩で何か取材をしていたんじゃないですか?いや…俺は何の報告も受けてないが…。
彼のデスク…ちょっと調べてもいいですか?伊勢志摩関係のネタはないようだねぇ。
でもこれ…番号が飛んでません?え?ほら…ナンバー13の次が15になってる。
フロッピーディスクは…。
これも14番だけ欠けてます。
パソコンと一緒に持ち歩いていたんだろう。
でもパソコンは他の書類と一緒に彼の車から消えていました。
やっぱり変です。
おかしいです!徹さんは…ほぼ即死だったそうです。
でも…彼の車からはパソコンやそして書類のいっぱい詰まったカバンが消えている。
誰かが…持ち出したとしか考えられません。
そうとは限らないよ。
事故の衝撃で外に放り出されることもある。
気持ちはわかるけどね。
ゆるゆる…。
これが本当に…私のために買ってくれた指輪?
(車内アナウンス)「まもなく鳥羽鳥羽に到着いたします」
(徹)大きいほうが男岩で小さいほうが女岩。
へぇ〜。
夫婦岩かぁ。
あ…俺…。
俺たちも夫婦にならないか?みっちゃん。
徹さん…。
(藤田達也)お待たせしてすみません。
松岡課長は?担当者の方とお話ししたいんですけど…。
自分もあの事故の担当者なんですけど。
え?藤田達也です。
先日もお会いしてるんですけど視界に入ってませんでした?あ…すすいません。
いえ。
いつも影薄いって言われてるんで。
フッ。
あっ笑った。
え…?いや…あの大原さんがずっと暗い顔してるの見てて辛かったんです。
それで今日は?ここが事故現場です。
これが江木さんの車のタイヤの跡。
ご覧の通り対向車のタイヤの跡はありません。
明らかに江木さんの単独事故です。
でも!こんな道でミスするなんて…。
彼車の運転は得意だったんですよ。
道路に飛び出してきた動物でもよけようとしたんじゃないですか。
それに…言いにくいんですけども…。
何ですか?言ってください。
ひき逃げの後で精神的に追いつめられていたと考えられます。
私が一番信じられないのはそこなんです!もし仮に間違ってひいてしまったとしてもそのまま逃げるなんて!でも被害者の血が江木さんの車についてたんですよ?じゃあお聞きしますけど彼の仕事道具やパソコンは?どこに消えたんです?それならこちらもお聞きします。
そもそもブレーキに細工もせずに単独で走ってる車にどうやったら事故を起こさせることが出来るんですか?それは…。
江木さんは事故死です。
もっと言えば限りなく自殺に近い事故死です。
そんなはずない!大原さん…。
結婚式だったのよ?次の日。
何があったって死にたいなんて思う訳ないじゃない!ちょっと!そんなとこ下りてったら危ないですよ!大原さん!これは…。
真珠ですね。
真珠…。
事故の目撃者は?本当に1人もいなかったんですか?何しろこれだけ人通りのない道ですからね。
現に今だって車1台…。
来るじゃない。
あっ何するんです!?すみませーん!!止まって!何やってんだよ危ないなぁ。
土曜日の夜10時頃ここで事故があったんですけど何かご覧になってませんか?土曜の夜10時…。
あ〜トモカヅキが出た夜だ。
トモ…カヅキ?トモカヅキとは海女たちが恐れる海の魔物のことです。
海中で海女たちがもっとアワビを獲りたいと欲を出すとこの魔物が現れるといわれてます。
どんな姿をしてるんですか?誰も知りません。
何しろ海でトモカヅキに出会ったら生きては戻れないんですから。
すみません。
(海女たち)はぁい。
あのー5日前の夜にトモカヅキを見たっていうのは…。
はは…そやからトモカヅキやないと言うとるやろ。
は?トモカヅキは海の化けもんやけどあれは山に出たんや。
なぁ?山…ですか?あの北山からや。
光が北山の方から照らしてなぁ。
光?事故現場の方角だ。
トモカヅキ…。
江木様が最初にいらしたのは2か月前です。
それからここひと月は毎週おいででした。
毎週って…。
予約は1人で?はい。
いつもお1人でした。
誰か訪ねて来た人は?いらっしゃいましたよ。
どんな人でした?いやどんな人も何もクイーンズパールの社長さんです。
まさか島夕子?島…夕子。
でそれから2人は?江木様がチェックインなさるのを待ってお2人で外出なさいました。
これが島夕子のプロフィールです。
1年ほど前に社長が亡くなって妻だった彼女が跡継いだんですよ。
あ…この中学!徹さんの通ってたのと同じ中学だわ。
それに生まれた年も同じだわ。
ってことは…2人は同級生か。
同級生…?そうか!わかった。
江木さんは彼女から指輪を買おうとしてたんですよ。
同級生なら安くしてもらえるだろうし。
本当にそれだけだったと思います?もちろんそれだけ…な訳ないですよね。
大原さん。
人生には納得いかなくても受け入れなきゃいけないことってあると思うんですよ。
あの…自分のような若輩者が言うセリフじゃないんですけども警察にいると色んな悲劇を見てましてね。
彼女は地元じゃそんなに有名なんですか?ここじゃ昔から「真珠夫人」といえば彼女のことですよ。
でもクイーンズパールなんて名前聞いたことなかったわ。
海外向けの高級品の売り上げがほとんどですからね。
でも国内での知名度以上にこの地元じゃあ力を持った会社ですよ。
藤田さん。
私明日島夕子さんに会いに行って来ます。
彼女に直接会って話を聞かなきゃ名古屋には帰れません。
(森田早苗)大原様。
社長がお会いするそうです。
1時間ほどお待ちいただけますか?わかりました。
私広報室の森田早苗と申します。
社長が来るまで社内をご案内させていただきます。
名古屋中央テレビの大原路子と申します。
失礼ですが…大原様は社長とはどのような?え…あちょっと個人的にお誘いいただいて。
社長から個人的に?社長がアポもない方とお会いになるなんて珍しいことなんですよ。
とにかくお忙しい方ですから。
さぁ。
(早苗)あぁこれ社長が20歳の時にミス真珠に選ばれた時の写真です。
その時に先代の社長に見初められたんですって。
(早苗)じゃどうぞ。
クイーンズパールがここまで大きくなったのも社長がどんな商談にも夫人を伴って行ったからと言われてるんです。
社長夫人の美貌と気品が最高の広告だったんですね。
それ!社員章ですか?
(早苗)はい。
昨年創立20周年を記念して作られました。
残念ながら非売品です。
これと…同じサイズかしら?
(早苗)ホントだ。
社員の誰かが落としたのかな?あ…どうぞ。
はい。
(森田孝平)ああ君。
あの女性は?名古屋のテレビ局のレポーターさんだそうです専務。
レポーター?はい。
貝殻の美しい真珠層を作るのは外套膜という部分です。
まずはこの外套膜の断片を貝殻から作った丸い核に密着するようにしてあこや貝の内部に移植します。
こうして核入れされた貝は英虞湾や五ヶ所湾などの養殖場に運ばれ1年半ほどで真珠が出来上がるんです。
(早苗)この真珠とこっちの真珠。
どちらが本物かわかりますか?あ…わからないけど…あでも明らかに違うわ。
手触りも輝きも…。
(早苗)本物はこちら。
こっちは人工真珠です。
本物の真珠の表面には人の指紋のような模様があるんです。
一方人工真珠の表面はツルツルしてるのですぐにわかるんですよ。
はぁ〜。
他に簡単な見分け方ってありますか?そうですねぇ…。
マニキュアなどを落とす除光液を使えば本物か偽物かを見分けることが出来ますが…。
はぁ…。
あ!ちょっとすいません。
あのこの真珠を見てもらえますか?うわぁ…。
これはいい真珠ですよ。
南洋産の黒蝶真珠の最高級品です。
たぶん200〜300万はするんじゃないかな。
あ…そうですか。
あ社長です。
この数字はどういうことなの?どうして仕入れ値が前年比1.5倍に跳ね上がるのよ。
(島信也)為替の変動が大きすぎた。
不可抗力です!リスクヘッジはどうしたの?クイーンズパールはあなた1人の会社じゃない。
我々は従業員とその家族の生活を守る義務があるんですよ。
社長は私よ。
あなたの指示は受けないわ。
大した独裁者だ…。
お客様でしたか。
名古屋中央テレビの大原路子と申します。
マスコミの方でしたか。
これはとんだところをお見せいたしました。
あ…大原さん。
こちら島常務。
亡くなられた先代社長の弟さんです。
島信也です。
よろしく。
大原様お待たせしました。
どうぞこちらへ。
はい。
お待たせしました。
島夕子です。
それで?今日はどんなご用かしら。
と…徹さんの泊まっていた宿に行ったらそこの人が…あなたが…あなたが彼と…。
もっと単刀直入に聞いたらどう?「徹さんとはどのようなご関係だったんですか」でしょ?その答えはこの間申し上げたはずよ。
こないだって…。
そう。
コイビト。
フフ…こんな遠くまでわざわざそれを確認しにいらしたの?ご苦労様。
でも可哀想だけどそれが事実よ。
ちゃんと…ちゃんと話してください!でないと私…私…!私たち中学時代の同級生でお互い初恋の相手だったの。
彼が転校することになった時には駆け落ちまで計画したのよ。
ませた子どもだったわ。
彼と再会したのはちょうど2か月前。
仕事で名古屋に行った時に偶然。
彼は結婚を控えてると言ってたけど燃え上がる気持ちは2人とも抑えきれなかった。
あの日…。
徹さんが亡くなったあの日も会っていたんですね。
最後のデートだったわ。
私はこのままずるずる不倫の関係に陥るのが嫌だったから。
でも彼は別れたくないって言い張って。
結局私彼を突き放すようにして帰ってきたの。
それは何時頃ですか?帰宅してから子どもをお風呂に入れたから…8時前には帰ってたはずよ。
8時前…。
私と別れた後ひき逃げ事故を起こしてその揚げ句に死んでしまうなんて…。
徹さんはそんな人じゃありません!正義感に溢れててどんな時でも冷静で…!おやおや。
あなたの前では大人のふりをしてたのねぇ。
江木くんが私の前で見せる顔はもっと狂おしいほど情熱的で時には駄々っ子みたいだった。
そうだわ。
彼あの日私にプレゼントを用意してくれてたの。
大粒の黒蝶真珠の指輪。
あなたご存じない?もし知ってたら返していただきたいんだけど。
彼の形見として。
(汽笛)光…?あの北山からや。
光が北山の方から照らしてなぁ。
そうよ。
光を当てればブレーキに細工をしなくても自動的に事故は起こせる。
そうちょうどこんなライト。
隣町に大きなホールがあるのでそちらで聞いてみてください。
そうですか。
ありがとうございました。
あのすいません。
はい。
このライトなんですけどもこちらにございますか?あそれでしたらあちらの倉庫にございます。
(管理人)へぇ〜。
名古屋中央テレビのディレクターさんですか。
はい。
来年クイーンズパールさんの海女のナイトショーをうちで中継させていただくことに…なったらいいなぁなんて。
(管理人)これですよ。
お捜しのライトは。
最近使われました?いや。
これは年に一度の海女のナイトショーにしか使わないはずですが…。
(電話)あ失礼します。
(電話)
(管理人)すみません今名古屋のテレビ局の方が来ていて…。
女性の方ですよ。
大原路子さんという…。
藤田さん!聞いて!わかったのあの事故のトリックが。
大原さん…。
トモカヅキよ。
海女のおばさんが山の中腹で見た妙な光。
このライトなのよ!ちょっと…ちょっと。
大原さん落ち着いて聞いてください。
徹さんをあの場所に呼び出しちょうど車が来た瞬間に真正面からこのライトを当てれば…。
DNA鑑定の結果が出ました。
江木さんの車についていた血液は間違いなくひき逃げされた中国人のものでした。
恐らく密入国の不法就労者でしょう。
この人にも家族がいるだろうに連絡を取ろうにもまだ身元が不明なんです。
家族…。
あなたは江木さんが誰かに殺されたと言う。
だとしたら動機はなんなんです?犯人は一体誰なんです?動機はわかりません。
でも犯人はきっと…。
まさか島夕子だなんて言うんじゃないでしょうね。
だってそうとしか考えられません!会いに行って彼女から何を言われたんですか?徹さんと付き合っていたと…。
(ため息)でもそんなのウソに決まってるわ。
だから…だから私…。
最初は結婚式前日に新郎を亡くすなんて本当に気の毒だと思いました。
ですからなんとかあなたを元気づけたかった。
でも今のあなたは嫉妬で正気を失ってるとしか思えない。
警察はこれ以上協力出来ません。
わかりました。
もうあなたには頼みません!藤田。
はい。
船泥棒の調書まとめといてくれ。
フン困ったガキどもだ。
外海に逃げ出した理由ってのが化け物を見て怖くなったからだとさ。
またトモカヅキですか。
「山の中腹に大きな光る目を見た」…。
光る目…?そうここよ。
ここで向こうから強烈な光が。
はっ!大原さん!大丈夫ですか!?藤田さん…!これでわかったでしょ?徹さんは殺されたのよ。
だとすれば問題は動機ですね。
江木さん誰かに恨まれるようなことは…。
ありません。
相変わらず自信たっぷりですね。
だって!あなたは本当に婚約者のことを全て知ってたと言えますか?現にあなたの知らない江木さんが見えてきてるじゃないですか。
彼は…彼は私になんでも話してくれていました。
島夕子のことも?大原さん。
1つ約束してください。
え?明日の朝イチで名古屋に帰るって。
ちょっと待ってください!あなたの推理はもしかしたら正しいのかもしれない。
でもだからこそ危険なんです。
この町は真珠でもってます。
その美しい真珠の象徴があの島夕子です。
あなた1人を握りつぶすことぐらい彼女にとっては簡単なんですよ。
明日上司に江木さんの事故を調べ直すよう頼んでみます。
ですからここから後は警察に任せて…。
でも!あんたはここにいちゃいけないんだ!行きましょう。
宿までお送りします。
結構です。
結局手がかりはこの鍵と指輪だけか…。
これはいい真珠ですよ。
南洋産の黒蝶真珠の最高級品です。
たぶん200〜300万はするんじゃないかな。
200〜300万…本当かしら。
マニキュアなどを落とす除光液を使えば本物か偽物かは見分けがつくと思いますが…。
除光液かぁ…。
ウソ!真珠が溶けていく…。
お客さんこれに一体いくら払ったんですか?やっぱり偽物なんですね?本物が除光液で溶けるわけないでしょう。
でも表面に指紋のような模様が…。
確かに。
表面まで本物そっくりに作られた偽物は初めて見ましたね。
これは実によく出来た偽造真珠です。
偽造真珠…。
一体どういうこと?もしもし私です。
例のお捜しのもの見つかりましたよ。
それで持ち込んだ人間は?…そうですか。
お父さーん!早くしないと会社に遅れるわよ!
(松岡)貴様…!上司に口答えする気か!しかし課長。
現に自分は昨日…。
クイーンズパールの捜索などこの私が許さん。
よそ者の女がなんと言おうとお前は鳥羽西署の刑事として俺の命令に従ってればいいんだ!でひき逃げ被害者の身元確認はどうした?それはまだ…。
まず自分の仕事を行ってから生意気な口利くんだな。
え?藤田。
いかがでしたか?あぁ結構ですわ!それにしてもどうして私の会社が疑われるのかしら。
誰かが私を陥れようとしてるとしか思えないわ。
大丈夫です。
この私がついてますから!頼りにしてますわ松岡さん!社長お疲れのようですが大丈夫ですか?平気よ。
今が正念場だもの。
私はね会社を守るためならなんだってやる。
(沢村)あなたが手を汚す必要はありません。
その美しい手を。
沢村…。
汚れ仕事なら俺がやります。
(早苗)大原さん!すいません。
お休みの日に呼び出しちゃって。
(早苗)いいんです。
うちにいても今日は1人だし。
ご家族は?ガンコ親父が1人。
その父も今日は会社の接待で。
お父様。
そうなの?早苗さんって実は専務のご令嬢だったんだ。
(早苗)アハ…。
「専務令嬢」って言えば聞こえはいいけど実態は養殖屋の娘ですよ。
養殖屋?クイーンズパールは最初うちが養殖した真珠を販売する形で始まった会社なんです。
でも最近じゃ自社で養殖した真珠の割合なんてほんの少しだけ。
黒真珠なんかは全て輸入物なんですってね。
日本国内で養殖されているのは実はあこや貝だけなんです。
大粒の白蝶真珠や黒蝶真珠小さい淡水パールなんかは全部輸入品なんですよ。
はぁ…。
海水汚染も年々ひどくなってるし。
海水汚染?特に3年前から原因不明の病気であこや貝がバタバタ死んでるんです。
え…。
でもうちは輸入の南洋パールが主体なんで他社さんに比べると業績は安定してるんですけどね。
ちょっとこれを見てもらいたいんですけど。
これ…!昨日早苗さんに見てもらった指輪。
昨夜除光液を落としたら溶けてしまったんです。
どこをどう見ても本物だと思ったのに。
これと似た偽造真珠の噂って聞いたことありますか?いいえ。
第一ここじゃ誰も偽物なんか売りませんよ。
もしそんなことをしたら歴史ある伊勢志摩のブランド自体が地に落ちてしまいますから。
お帰りなさいませ大原様。
メッセージをお預かりしております。
どうぞ。
あ…すいません。
《「あなたの持っている偽造真珠について話がある」》《「今晩10時潮浜漁港。
必ず1人で来るように」》《「あなたの味方より」》「あなたの味方」…?それでは環境保護団体の方は先生のお力で…。
(佐伯昌造)私がひとこと言えばうるさくは言って来んよ。
その代わり…。
(沢村)失礼します。
はぁ…専務。
お宅までお送りしますわ。
いえ私はちょっと酔いざましに歩いて帰ります。
そう?お気をつけて。
沢村車を。
かしこまりました。
大原さん。
あなたは…。
どうもつけられたようだ。
すまないまた連絡する。
えっつけられたって…。
(悲鳴)
(殴打する音)
(うめき声)うっ…うう…。
大丈夫ですか!?ううっ早苗…早苗を…。
早苗って…森田早苗さんのことですか!?早苗…早苗…。
う…。
しっかり…しっかりしてください!
(沢村)早苗さん!沢村さん…!
(早苗の泣き声)あなたが通報してくださったそうですね。
ええ。
男が逃げていくのを目撃しました。
男?森田専務は何者かに殴り殺されたんです。
そんな!父に限って人に恨まれるようなことは…。
実は私偽造真珠について話があると専務に呼び出されていたんです。
偽造真珠?でもそのことを秘密にしておきたい人間がいた。
専務を殺したのはその人物です。
(早苗)その人物って…。
私…?私が専務を殺させたとでも言うの?違うんですか?それ以上失礼なこと言うと許しませんよ。
(松岡)皆さんおそろいですね。
鳥羽西署の松岡です。
(早苗)刑事さん…父が…父が殺されたって本当ですか!?誰がそんなことを。
お父さんは事故死です。
でも私見たんです!男が逃げていくのを。
「殺された」っておっしゃいましたね。
現場を見たんですか?それは…。
森田専務はあの漁港で足を滑らせ頭を打ったんです。
違います!私は…。
藤田さん!念のため遺体は検視に回しますが明日の朝にはお返し出来ると思います。
どうぞ。
さぁ。
(信也)ここは田舎でね。
大通りに出てもタクシーなんかつかまりませんよ。
島常務。
ホテルまで送りましょう。
よそ者のあなたが1人で歩いているのは危険だ。
あんなふうに社長にたてついた後じゃ特にね。
あー実は私も3年前に経営立て直しのために兄に請われて東京から移ってきたんですが社内じゃいまだによそ者扱い。
連中が何を隠そうとしているのかまったく見えないんですよ。
オープンな経営体質にしないと未来はないと言ってるんですが…。
クイーンズパールという会社はまるで固い殻に覆われたあこや貝だ。
あこや貝?何かあったら相談してください。
力になります。
ありがとうございます。
ありがとう。
(太田菊代)お帰りなさいませ。
菊代さんただいま。
翔太は?
(菊代)今夜は奥様とゲームをする約束だとおっしゃってフフフ10時頃まで起きてらっしゃったんですけど…。
昨日の朝イチで帰ってくださいとお願いしたはずですが。
大原さん?森田専務…私の腕の中で亡くなったのよ。
なのに警察は事故だったって言う。
徹さんの時もそうだった。
ねえどうなってるの?警察は!ダメなんです。
ダメ?何がダメなんですか!?結局あなたも警察という組織の人間なのね。
いいわ。
でも見ていて。
いつか必ずあの女の本当の顔を暴いてみせる。
徹さんの無実を証明してみせるから。
大原さん!お義姉さん…。
すいませんまだ引っ越し先も決まらなくて。
約束の日までには出て行きますから。
今日はそんなことを言いに来たんじゃないの。
この間引き取って帰った書類の中にこれが紛れ込んでたの。
あなた宛ての手紙。
私宛ての手紙?
(倫子)ごめんね。
悪いと思ったんだけど中身読んじゃった。
「路子へ」「君の名札をつけたアタッシュケースを僕が拾ったことにして届け出ている」
(徹の声)「自分が落としたと言って警察でアタッシュケースを受け取ってきてくれ」「中には大切な書類が入っている」「頼んだよ」徹さん…。
あの子やっぱり何かを調べてたのね。
でも私じゃ荷物を引き取れない。
あなたじゃないとダメなの。
お義姉さん。
我が弟ながらよく考えたものだわ。
落とし主が引き取りに行かなければ遺失物は6か月たてば自動的に拾った人間のものになる。
どっちにしてもあなたか徹どちらか2人にしか受け取れない。
しかも預かってくれてるのは警察。
どこよりも安全だわ。
悔しいけど徹はあなたのこと一番信用してたんだわ。
ダメだわ鍵がかかってる。
あそっか!この鍵。
14番…!これだわ。
「謎の海水汚染」…。
(倫子)これ!
(徹の声)「3年前私は中学時代に住んでいた伊勢志摩の海が汚染されているという記事を読み現地に向かった」「汚染の原因は不明だったが一部の海水から自然界には存在するはずのない化学成分が検出された」「同じ頃クイーンズパールが海外の金持ち向けに輸出している高級南洋パールが実はよく出来た偽物だという噂が耳に入ってきた」「私は問題の偽造真珠を入手した」「本物の真珠には表面に指紋のような模様がある」「クイーンズパールの偽造真珠には本物そっくりにこの模様が再現されている」
(徹の声)「偽造真珠の表面にこのような模様を刻みつけるためにはカルシウムを瞬時に溶かす劇薬を使用しなければならない」「そう伊勢志摩の海を汚染している謎の化学薬品だ」「しかしクイーンズパールを告発するにはまだ証拠が足りない」「秘密工場の場所は一体どこなのか」路子さんこれ!
(徹の声)「もし路子がこの手紙を読んでいるならば僕が行方不明になっているかこの世にいないかであろう」「少しの間ではあったが路子僕は君と出会えて世界一幸せだった」「ありがとう」「江木徹」
(嗚咽)路子さん。
あなたもう一度伊勢志摩へ行ってきなさい。
お義姉さん…。
あの女にこの書類を叩きつけて本当のことを聞き出すのよ。
徹の無実を証明出来るのはあなたしかいないのよ。
どうもすみませんでした。
すいませんちょっとお尋ねしたいことがあるんですけども…。
すみません。
あのちょっとお尋ねしたいんですけど最近クイーンズパールの社章を修理に出した人はいないでしょうか。
クイーンズパール?ええ。
こんな感じの物なんですけど。
あそれなら。
おぉ!
(中国語)中国語。
あのーすいません。
ニーハオ。
ちょっとお尋ねしたいんですが。
最近…あれっ?ちょっと。
あのー!この人この人知りませんか!?身元不明で家族に連絡を取りたいんです。
名古屋中央テレビの方がお見えになりました。
どうぞ。
あなた…。
まだうろちょろしてるのか!来い。
放り出してやる!やめなさい。
しかしこの女は!沢村。
お前はもういいわ。
今日は帰って。
あなたを1人には出来ません。
これは命令です。
帰りなさい。
…はい。
沢村は施設にいたのを夫が引き取ったの。
忠誠心に厚い唯一信頼出来る社員だわ。
で?用件は?まさか本当に仕事の話じゃないんでしょ?徹さんが残したフロッピーが見つかりました。
あなた方がしてきたことが全て書かれています。
それは差し上げます。
他にコピーを取ってありますから。
私に何かあったら信頼出来る人間がそれを公表することになっています。
江木くんはこれをあなたに…?そうとわからない方法で私に託してくれていました。
そう…あなたに…。
彼は…私を信じてくれていた。
私を愛してくれていたんです。
はっきり答えて。
あなたが付き合っていたなんて全部でたらめなんでしょ?やっとわかったの?おバカさん。
どうしてそんなウソを…。
あなたが憎らしかったのよ。
私が…?江木くんが初恋の人というのは本当よ。
夫が急死して未亡人になった私の前に彼が現れた時一瞬ロマンチックな想像したわ。
でも彼の目的は違っていた。
彼は新聞記者として私の会社を調べていたのよ。
(徹)見つけたよついに。
君たちの悪事の証拠だ。
知ってるか?この偽造真珠を作るためにどんなに有害な化学物質が志摩の海に垂れ流されているか。
俺たちの育った海が君の会社の利権のために汚されてるんだぞ!江木くんあなた…私を破滅させる気なの?君は社長だ。
経営者として責任を取るのは当然だろ?でも私は…何も知らなかったのよ!全て死んだ夫がやったことなの!夕子…。
お願い江木くん…記事にはしないで。
その代わりあなたが望むもの何でもあげる。
私と結婚して会社も手に入れてもう一度伊勢志摩で一緒に暮らさない?私が欲しいんでしょ?やめろよ!悲しいよ。
いつの間に君はこんな風に…。
もう話し合うこともないようだ。
さよなら。
待って江木くん!お願い!待って…。
おめでとう。
彼はあなたを裏切ってなかったのよ。
これは…?信じてくれないかもしれないけど夫が死ぬまで私は本当に何も知らなかったの。
社長として約束します。
工場は今年中に閉鎖して数年後には今まで我が社が販売した全ての偽造真珠を修理すると言って本物に取り替えるわ。
だから…それまで黙っていて。
お願い!息子に立派な会社を残してやりたいのよ。
息子?いつか…クイーンズパールの社長に就任する7歳の息子…。
私の全て…。
この子のためなら私は何だってするわ。
お願い。
それを受け取って。
足りないならもっと出すわ。
いい加減にして!本気で…私があなたからお金を受け取ると思っているの?徹さんを殺したあなたから!私が…江木くんを殺す?まさか!徹さんだけじゃないわ。
森田専務だって。
私は…誰も殺していない。
いつか必ず…追い詰めてやるわ。
結構ね。
お待ちしています。
翔太…。
ママ…どうしたらいいの?
(パトカーのサイレン)大原路子さんですね。
はい…。
昨夜クイーンズパール社長の島夕子さんとお会いになりましたね?はい。
一緒に来ていただけませんか?え?
(松岡)はいごめんなさい。
(信也)義姉さん…義姉さん!何でこんなことに…。
(信也の泣き声)夕子さん…。
昨夜コーヒーに毒を入れて飲んだんだ。
今朝出勤してきた社員が発見した。
奇麗な死に顔だ…。
昨夜あんたがこの部屋に入ってきた時間は?あ…午後8時ちょっと過ぎぐらいでした。
出て行ったのは?8時半くらい…。
あんたが帰る時と今と部屋の様子で何か変わったことはないかね?あ…特には…。
パソコンは開いていなかったような気が…。
社長はこれで遺書を書いたんだ。
パソコンで?このフロッピーはあんたが持ってきたのか?はい。
徹さんが残した書類です。
それを見てもう逃げられないと思ったようだ。
遺書には江木さんも森田専務も自分が殺したと書いてあった。
信じられない…。
昨夜はあんなに自信たっぷりだったのに。
(警官)お待ちください!刑事さん!これは…これは何かの間違いです!あんたは?島家のお手伝いさんです。
菊代さんダメだよ。
警察の方にご迷惑かけちゃ!最愛の坊ちゃんを残して奥様が自殺なんかするはずありません!奥様は…奥様は殺されたんです!あの…。
はい。
よろしければさっきのお話聞かせていただけませんか?わぁ〜!ハァ…。
暑い!ちょっと待ってて。
どうぞ。
あ…すいません。
明日は坊ちゃんの学校の運動会なんですよ。
奥様何か月も前からお休みを取ってご自分でお弁当を作って応援に行くんだってそれは楽しみにしてらしたんですよ。
そんな奥様が自殺なんかなさるはずありません。
この子のためなら私は何だってするわ。
(翔太)お姉ちゃん!もう1回!よーし!行くよ!せーのっ!うわぁ〜!あぁっ!お姉ちゃんパンツ丸見え〜!坊ちゃん!何てことを!ハァー…。
そうだ…これよ!は?これだわ…。
何か引っかかってる気がしてたけど…。
菊代さん…夕子さんはやっぱり自殺じゃない。
犯人は…。
犯人はそうたぶん…。
藤田さん!どこ行ってたんですか?捜してたんですよ。
え?これ…クイーンズパールの社員章?賢島の小さな真珠店にこれを密かに修理に出した社員がいました。
真珠が取れたと言って…。
藤田さんあなた…。
自分の力では残念ながら警察は動きません。
でも1人の人間としてなら…。
そう思って個人的に調べてたんです。
藤田さん…。
で誰だったと思います?あ…たぶん社長秘書の沢村じゃない?何でわかるんです?夕子さんの遺体のスカートよ。
スカート?毒をあおって倒れたにしてはしわ1つなく奇麗に伸びていたでしょ?まるで誰かが彼女の足を人目にさらされぬよう気を使ったみたいに…。
夕子さんを殺した犯人は彼女を愛していたのよ。
ということは沢村は社長と?具体的な関係はわからない。
でも彼は夕子さんを大切に思っていたっていうことはすごく感じたわ。
あなたを1人には出来ません。
そういえば彼は?朝から見ないけど。
実は行方不明なんです。
自宅にもいません。
社内に友人とかいなかったのかしら。
仕事一筋で口数の少ない男だったようですから…。
待って!そうよ…早苗さんよ。
行きましょう。
はい。
(松岡)藤田!課長…。
お前現場放り出してどこ行く気だ!自分は…自分は刑事として事件解決のために今もっとも必要だと思うことをやろうと思ってます。
何ぃ?黙って行かせてください!後悔しても知らんぞ。
はい…。
そう…ここにも来てないの…。
私も朝から連絡を取ろうとしてるんですけどどこにも…。
大原さん…私彼のことが心配で…。
早苗さんもしかして沢村さんのこと…。
あ…うん…。
やっぱりお付き合いしてるのね。
でも彼の目には社長しか見えてないみたい。
デートの約束してても社長に呼ばれればすっ飛んで行くし…。
口癖は「社長のためだったら命も惜しくない」だし…。
これ…。
中国のお守りですって。
父がどこからか拾ってきたんです。
中国のお守り…中国…。
藤田さん?どうしたんです?いや…ここ何年か不法就労の中国人が見つかっているんだがどこで働いていたかがわからないんだ。
偽造真珠の秘密工場…。
え?秘密工場がなぜ今まで秘密に出来たのか…。
不法滞在の中国人を雇えば秘密は外には漏れないわ。
ひき逃げされた中国人はその秘密工場の従業員だったんじゃない?そうか…あのひき逃げは偶然の事故なんかじゃない。
おそらく工場の秘密を守るために殺されたんだ!あ!どうしたんですか?波石漁港だ!行こう!工場はきっとそこにある!大原さん?先日ひき逃げされた男の身元が判明したんです。
名前はチャン。
知り合いの中国人の話では同じアパートに住む外国人たちと毎日迎えにくるワゴン車に乗ってこの波石漁港にあるカキ加工工場に働きに出てたっていうんですがこの港にそんなカキ工場はないんです。
それがつまり偽造真珠の秘密工場ってことね。
ちょっと…危ないですよ!あなたはそこで見張ってて!偽造真珠…。
あ…。
藤田さん!そこまでだ!沢村さん…。
さっさと名古屋に帰ればよかったのに。
やっぱり…あなたが徹さんを…。
社長を守るためだ!仕方なかったんだ!じゃあどうして夕子さんを殺したの?何?あなたなんでしょ?夕子さんを殺したのは…。
社長が死んだ…?どういうことだ!?知らないの?やめて!どういうことだ!離して!説明しろ!どういうことだ!説明しろよ!
(信也)やめろ!あぁ…大丈夫?島常務…。
危ないとこだった。
あぁ…それにしてもこの場所をどうして知ったの?徹さんのレポートに…。
江木くんの?彼は工場の場所は知らなかったはずだが…。
はっ…!どうしました?今わかったわ…真犯人が…。
真犯人?工場の従業員だった中国人をひき殺し徹さんや森田専務夕子さんを殺したのは…あなたね?何を言い出すんです?突然。
徹さんは確かにこの場所は知らなかった!でもどうしてあなたがそれを知っているの?それは…徹さんを殺し事故現場から彼の仕事カバンを持ち出したのは…あなただからよ!何も気づかなければ…帰してやろうと思ったのに…。
どりゃー!うりゃー!待て!なぜ?なぜあなたが…。
義姉さんを愛していたからだ。
夕子さんを…?初めて会ったのは兄が婚約者として彼女を連れて来た時だった…。
(島順一郎)紹介しよう。
お前の義姉さんになる人だ。
ウフフ…山崎夕子です。
よろしく。
はじめまして。
信也です。
その時以来私は密かに夕子を愛し続けてきた。
3年前に兄からクイーンズパールの経営不振を相談された時も会社と彼女を守るために東京を引き払ってきた。
そして兄を説得して偽造真珠作りを始めたんだ。
中国から技術者を呼んでね。
今のようにプロにも見抜けないほどの品質になるには3年かかったがね。
工場の従業員は全員が不法就労の外国人だ。
廃液の垂れ流しと海水汚染はどうごまかしてきたの?代議士の佐伯の力さ。
(信也)金と女さえあてがっとけば何でもやる男だ。
こうして経営は持ち直してきた。
そんな矢先…。
心臓発作で兄が急死した。
複雑な気持ちだったよ。
兄の死は悲しいが…これで夕子は私のものになる。
十数年待った甲斐があった。
だが…夕子は私のプロポーズを断った。
そして彼女の前に中学時代の初恋の相手とかいう男が現れたんだ。
徹さん…。
ちょっと失礼。
どうしてここに?何やってるんですか!あの男は名古屋の新聞記者ですよ。
海水汚染のことであちこち嗅ぎまわってる。
知ってるわ。
江木徹。
中学校時代の同級生よ。
同級生?ホントにそれだけ?
(信也の声)夕子は何も言わなかった。
その瞬間私の心に嫉妬の炎が燃え上がった。
その頃秘密工場でもトラブルが発生していた。
工場で働いていたチャンという中国人が秘密をばらされたくなければ金を出せと私を脅してきたんだ。
(信也の声)私はチャンと江木を一気に葬る計画を思いついた。
いつも夕子が使っている車を持ち出し人気のない道に誘い出したチャンをひき殺す。
(信也の声)そして社長秘書の沢村を呼び出し夕子が起こした事故だとウソをついて隠ぺい工作への協力を頼んだんだ。
社長が?自分で運転するのはやめておけと言ったんだが…。
(沢村)警察には俺が運転してたことにします。
(信也)いや…それよりもっといい方法がある。
(沢村)いい方法?社長を脅迫している新聞記者がいる。
そいつに罪をなすりつけてやるんだ。
(信也の声)そして私はクイーンズパールの内部告発者を装い江木くんをあの場所に呼び出した。
江木さんですか?ご連絡お待ちしてました。
今どちらに?南崎展望台です。
ではその展望台を背に左の道をまっすぐ…。
えぇずーっとまっすぐ。
(徹)うわぁー!
(信也)あぁー!偽造真珠のことは最初から森田専務には秘密だった。
地元で長年真珠養殖を行ってきた専務は海水汚染についてはことのほかうるさい人だったからね。
だが…専務は気づいていた。
あぁ…留守ですか。
それじゃあ申し訳ありませんが大原さんにメッセージをお願いできますか?
(信也の声)あんたの動きが気になってホテルに行った私はそこであんたにメッセージを残そうとしている専務を目撃したんだ。
(信也の声)そして…。
(森田)あぁー!うぅ…。
大丈夫ですか!?うぅ…。
私を車でひき殺そうとしたのはあなただったのね。
あぁ…。
でもなぜ夕子さんまで…。
愛してたんでしょ?こんなに愛していても夕子は私を受け入れてくれなかった。
それどころか一連の事件の犯人が私だと気づいてあんたが帰った後彼女は私を呼び出したんだ。
君は…私が犯人だと言うのか?江木くんのフロッピーよ!彼は偽造真珠のことをほとんど調べ上げていた。
この秘密を守るために彼を殺さなければと思う人間はあなたしかいないでしょう?君を守りたかったんだ!愛してるんだ夕子…。
君のためなら俺は何だって…。
今すぐ自首して!あなた方が勝手にやったこととはいえ偽造真珠の製造販売は社長である私の責任よ。
私は潔く罪を認めて会社を再生させる道を探るわ。
それなら俺が君を支えて…。
触らないで!人殺し…。
あなたは私の大切な人を奪ったのよ。
絶対許さない!
(信也の声)もうおしまいだ。
夕子は生きて俺のものにはならない。
それならいっそ…。
わかった…。
信也さん…あなた…。
(信也の声)そうして俺は…パソコンで遺書を偽造し彼女を自殺に見せかけたんだ。
(信也の声)夕子の死に顔は美しかったよ。
信じられない…。
どうして愛する人を殺せるの?マスコミのさらし者になり裁判で傷つき牢に繋がれる夕子など俺は見たくない!彼女は本物の真珠だ。
真珠に傷をつけるくらいなら俺がこの手で…!そんなの愛じゃない。
あなたは人が人を愛する心なんて何もわかっていない!彼を失った私がどんな思いでここまで来たかも…何も…。
奴だって偽造真珠のことなんか調べなければ殺されるようなことにはならなかったんだ!徹さんはジャーナリストとして正しいことをしただけよ!幼少時代に過ごしたこの海を汚染から守ろうと。
あなたは…そんな彼を…そんな彼を…。
そんなに彼が恋しいか。
じゃああんたも彼のところに送ってあげよう。
沢村があんたを殺して自殺したってことにすればいい。
ハハハ…。
(沢村)そうはいくか!うわぁぁ…!
(争う声)藤田さん!
(2人の争う声)へぇ〜夫婦岩かぁ。
あ…俺…。
俺たちも夫婦にならないか?みっちゃん。
徹さん…。
撮るよ!
(徹の声)「少しの間ではあったが路子僕は君と出会えて世界一幸せだった」「ありがとう。
江木徹」2015/03/10(火) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
山村美紗サスペンス 伊勢志摩殺人事件!殺された婚約者の謎[字]
伊勢志摩殺人事件・真珠夫人に婚約者が殺された!サイズの違う黒真珠の指輪の謎…
詳細情報
◇番組内容
結婚式前夜、婚約者に死なれてしまったTVリポーターの女性を遠藤久美子が熱演!悲しみに耐え、真相を追究していくヒロインをお楽しみに!秋の風光明媚な伊勢志摩が舞台。
◇出演者
遠藤久美子、荻野目慶子、渡辺いっけい、山村紅葉、小野武彦、石丸謙二郎、湯江健幸、西川忠志
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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